放ちきれない力の内攻

ワークのとき。

ワーク回数が進み、
お客様の太い筋断面の筋肉群が柔らかくなってきたとき。
ハムストリングとか、起立筋などなど。
そのときには圧をかけるときに、
うまく力を放つことができる。

筋膜が癒着を起こしていてしこりになっている部分は、
すでに炎症を持っている箇所。
その炎症の度合いが強ければ、
指先で軽めに押しただけでも、
「ひえぇ〜」という痛み。
こんなところが痛かったなんて、
という場所を見つけていく。
そこかしこにそのような痛い部分がある方が多い。
そのような場合、かける圧の量がかなり微妙。
圧を放ちきった状態の調整して発しなければならない。
体バランスを計算して圧の質を制御し続ける。
質のいい圧をかけなければ、
お客様の体は筋膜が解けるどころではない。
体が制御できないワーカーに受けたワークは、
浸透力のない圧で表層筋や中層筋の断列が起こるリスクもある。

この圧を放ちきれない時間。
そのときが一番のワーカー泣かせのつらい時期。

一回のワークごとに体が軋んでいく。
腰部・背部・首・太もも・足首が悲鳴を上げる。
力を放ちきれないとき、
そのときの放てなかった力が逆流してワーカーの体内に滞る感じ。

以前ワークのやり方を伝えた方に、
これを体験していただくと1時間しないうちに
腰がはれ上がって立てない。
「身内にはやってあげるけど、
仕事で取り入れるのはムリ。」
そうおっしゃる気持ちがわかります。

力は放ち切れれば筋肉は硬化しないようだ。
たとえ心拍数が上がって動悸がしてめまいを起こしても、
一晩寝ればけろっとしている。

だが放ちきれないときに、
力が自分の体を内攻し続ける。
ワーカーの体を傷つける。

「ワークが進むにつれて強い圧をかけるのでは大変でしょう」
といわれるときがあります。
ですがあきらかに力を可変させて滞らせることのほうがきつい。
体のウエイトバランスを制御しながら動き続けるほうがきつい。

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この力の内攻がなければワーカーは2時間もの間、
動き詰めで思考フル回転しても心地いい疲労感しか残らない。

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呼吸でも呼吸代謝の効率が悪ければ、
酸化した毒素のある息が体内に滞る。
それで体が老化していく。

放ちきれない力の滞りも同様。
それで体が老化していく。

力は内攻させず放ちきれるようにしたいですよね。