下半身安定と名演奏+顎関節症のこと

NHK教育テレビ
スーパーピアノレッスンモーツァルト
(4月5日火曜から毎週火曜・教育・午後7時25〜7時50分)
名ピアニスト、フィリップ・アントルモン
ピアノレッスンを生徒につけてくれる番組。


ピアノなぞ弾けはしないくせに、
アントルモンの繊細なピアノのタッチと姿勢に魅せられています。


生徒が隣にいて弾いている。
それを「こんなように弾いて〜」と軽く模範を示すときに弾く音。
生徒の響きとは違う。
それが不思議なほど。


生徒は体を右から左まで上半身を揺するように弾いている。
上半身が揺れるたびに音がバラける。
情熱的で一生懸命だという捉え方もできる。
(注:毎回生徒さんは変わるみたい)


だがその隣で弾くアントルモンを観ると、
その言葉が引っ込んでしまう。
アントルモンは下半身が根が生えたように安定している。
その下半身から上半身が細い繊細な枝葉のように伸びている。
そのような感じ。


ホロビッツがピアノを弾いているときのエピソード。
老朽化した椅子が演奏の最中に壊れて崩壊。
だがホロビッツはこともなく空気椅子状態で、
最後まで演奏を中断することはなかったといいます。


ピアノの演奏は下半身の充実が上半身に伝わること。
そのようなメッセージを伝えているような気がします。


アントルモンの姿勢を観て、
ホロビッツのエピソードを思い出し、
アントルモンを通してホロビッツを感じられたようで感動しました。

      • -


下半身の充実と聴覚の関係について、
体の作用で考えてみます。


股関節部分の正確なかみ合いが実現できているとき。
深く臀部筋が適度に緩み筋力発揮が良好になります。
大臀筋・中臀筋・小臀筋ともにその恩恵を受けます。
正確にいうと小臀筋や中臀筋などの深部の筋は充実。
股関節をはさみ骨盤と大腿骨をよく引きつけてくれます。
それにより大臀筋が緩みだす。
腰の張らない安定したお尻です。


するとちょっと説明をさっ引きますが、
臀部筋と側頭筋の関係に着目。
決まり事の一つに
『臀部筋が固ければ同側の側頭筋が固まる』。


そしてもう一つ。


『側頭筋の硬さは聴覚に悪影響を及ぼす』。


つまり上記条件を計算するとA=B。B=C。したがってA=C的に読める、


『臀部筋が固ければ聴覚に悪影響がでる』といえますよね。


耳の真上にある側頭筋が固まれば、
耳の内部組織が側頭筋に牽引されます。
血行不良(ざぁ〜っという耳の中のノイズ発生など)を引き起こす。
(注:本人は聴き慣れてノイズと感じてないことも多いようです)
最小の骨と呼ばれる精密機器の耳の骨や音感繊維毛センサーへ影響がでます。
(実験:耳の上の筋肉を上にずらしあげて音を聞いてみてください。変音しますよね)


私の体感でも股関節をずらしているときと、
股関節をゆるめた出し手からのの聴覚感度では異なります。
股関節が緩んでいるときには、
ウサギが耳を動かして集音するような感覚があります。
実際はあまり動いてないんですけど、
耳とつながる筋肉群が奥で動いている。
すると聴覚意識が前後左右隈なくなり、
聞こえてくるサウンドもリアルです。


それに対して、
股関節が固まっているときは耳の感じが固い。
耳の動きは感じられず音も曇ります。


ですから優れた姿勢を保持できれば正しい聴覚センスを維持できます。
優れた聴覚は優れた音を聞き分けます。
人は自分の耳で認識できた音のみを表現できます。
その認識には明瞭性が重要です。
明瞭にわからなければ表現不可。


演奏者にしてみれば重要ですね。
「良い耳のセンス」と「音のセンス」は比例しますから。
その意味で体の姿勢をみることにより、
演奏者の技量を推し量れる参考になります。
姿勢がよければ名演奏者の可能性がありますが、
姿勢が悪ければ名演奏者の可能性は期待できない。
僕の場合クラシック音楽は特に姿勢重視ですよね。


だが聴衆は明瞭に音が聞き分けられなくとも大丈夫。
明瞭に弾かれた音には、
人の意識を高次へ誘う力があります。
高次の意識に感応し引き上げてくれる。
名演奏者の特徴ですよね。


      • -