状態の先天的なものと器質的なものの違い

5〜6年前のこと。
ある大手O脚矯正でのお話。


説明を聴きにいった折りに、
隣の部屋で電話応対している方の声が聞こえた。


『あなたは先天的なの!だから治るもんじゃないの!』


10分もすれば同じような電話口の声。
先天的な方が大勢おられるものです。


そのようなことは先に説明してくれれば、
大きな声を張り上げる必要もないに。
そう思って後にしました。

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女性に多いのですが小児期に股関節脱臼して、
見過ごされてきたり処置が悪い時があります。
その影響で先天的と思いたくなる状態になります。



ですがこれは先天的ではありません。


股関節のずれが生じて膝関節や足首の関節、
またはそれを取り巻く筋肉群を硬化させる。


その硬化の度合い強すぎるようならば、
なかなかその状態を抜け出すことができない。
溶けやすいしこりは硬質から軟質に変化する。
可逆的なものです。


ですが実質問題として考えてみてください。
硬くなりすぎればなかなか容易に溶けるものではない。
しこりの部分は血行が悪化して溶けにくい。
筋肉や靱帯、骨なども長期にわたり機械的な刺激や圧迫を受けたり、
過剰な運動を強いられることで器質的変質を起こす。


そうなると、
解く技術をもつワーカーを見つけられるかどうかは、
先生と縁があるかどうかといえるほど不確かな確率。


実質的には不可逆的な状態といえます。
不可逆的な状態を『器質的』なものと呼ぶわけです。


この筋肉は自然に可逆できるかどうか。
そこがしこり状況の判断の一つになります。
(注:他にもいくつもの判断基準があります)

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可逆性のあるしこりであれば、
本人の生活の中でケアすれば十分でしょう。
セルフマッサージや軽い運動で代謝をあげる。
また解放までの時間を節約したいときは、
専門家のところへ行けば容易に対処できる。


ですが器質的な硬さを保持してしまえば、
その状態を変化させることは難しいのです。
自分自身でのケアで対応できるかどうか、
その判断こそ現状をボディチェックしなければお話することはできません。


このようなところが、
『お身体の現状をチェックしなければ正確なことはお伝えできません。
これからの説明は一般的なもので参考程度にお聞きください』
という説明前の言葉が必要になるのですね。