筋膜の大切な話(腹部筋膜の特異性)


筋膜が一番層が折り重なっているところはどこかご存じでしょうか?


答えは『お腹』です。
開腹手術をするドキュメンタリー映像を観て、
ひやぁ〜ぁと思いつつ腹部の筋膜をめくっているシーンを観て納得。
驚くほどの筋層、厚みがみえました。


腹部ほど筋膜が集中している箇所はありません。


内臓を保護するためです。
腹部前側は骨で守られることもありません。
そして背部の腰方形筋などの太い筋肉もありません。
非常に衝撃などに脆弱なウィークポイントです。
それを守る器官が筋膜なのです。
必要に迫られた強靱な筋膜組織と言えるでしょう。
腹部の表面から(皮膚→皮下組織→筋肉を挟んだ3層にわたる深層筋膜→腹膜)の構成です。
他の体の部位の筋膜と比べれば別格。


ということは腹部筋膜ほど筋膜リリースに重要な点はありません。
ですが特異な組織構成を理解すれば腹部筋膜ほど解きづらい箇所はない。
内臓の保護膜である筋膜自体がしこり化しているということは、
すでに内臓に対しての保護力が低下しています。
その影響を内臓は受けています。
そしてしこり化している筋膜。
筋膜が寄り集まっているだけではありません。
筋膜が避けてヘルニア・トリガーポイントのような、
下にある筋肉が出っ張って出てきていたりもします。
その下にあるのが普通の筋組織ならば、
ヘルニア・トリガーバンドを処理するテクニックで対処できます。
でもその下に内臓が直接であれば大変リスキーです。


私は『お腹を解くことは難しいし下ごしらえの手間をかけるべきだ』といいます。
その言葉の裏には、
身体の腹部以外の箇所とリスクが別格で、
そのリスクを低減させることなしに無理をすれば後悔することもある。
実際に事故が起こったことはありません。
そうならない私なりの工夫をしています。
それに本当に驚異的な集中力を使います。


先日こちらの日記で、
アトピーのお腹の硬化パターン』を紹介いたしました。
そちらをご覧いただいて
「自分では「もむ」「暖める」くらいで、手が出ません。」
というメールをいただきました。
基本的にはご自身で行うことは無理をしないように。


病院などでは腹部の硬さをとることはしていないと思われます。
内臓マニュピレーションが得意なオステオパスや、
内臓施術技術をお持ちの整体などに
お願いするようにしてはいかがでしょう。