しびれるほどの練習は御法度です。

『酸は練を多くし、
痛は練を少なくし、
麻は練せず。』


運動のしすぎは健康に害がでます。
そのことを端的に表した言葉です。


「酸」=体がだるいこと。
「痛」=痛み。
「麻」=しびれやマヒ。


体がだるい「酸」では、
練習中に現れてくるごくごく普通の生理現象。
この時のだるさは体には無害です。
練習量を増やすことでだるさを刺激し、
数日のうちに克服することができます。
このときには、
だるい部分へのマッサージも効果的。
だるいからといってそこで練習を中止すれば、
それまでの練習効果もなくなってしまいます。


痛み「痛」は、筋肉疲労や怪我の症状。
筋肉の疲労がひどくなると炎症を引き起こします。
打ち身などの怪我で、外部からは気がつかなくても、
内出血などが起きているときもあります。
また骨や筋肉を痛めているときもあります。
痛みがあるときには、
練習量を減らして様子を観るべきです。


しびれ「=麻」は、
筋肉の腱部分が疲労している状態。
適切な運動方法を無視して、
むやみと激しい練習をしたときなどにみられます。
しびれの感覚があるときは、
練習をしばらく辞めて、
軽い運動ぐらいにしてください。
そして腱の回復を待たなければなりません。
この状態で無理して練習を続ければ、
より重篤な障害につながります。

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厳しい修行で有名な中国武術の口伝です。


無理を通した武人は結局は体がゆがみだします。


痛いと人間は本能的に体をひねって
痛みから逃れようとします。
その状態で無理を続けると、
体をひねったねじりが入った状態で体が固まります。
痛みを逃げるねじり動作は、
痛い思いをしたくない本能に突き動かされています。
患部が癒えた後もこの強烈なねじれは抜けないもの。


それじゃ武芸の達人には至れませんから。


合理的な口伝といえるでしょう。


他のスポーツやダンスも同じことだと思います。


しびれたり痛んだら、
「運動を控えたり休んだほうがいいのよ。
そうしたほうが長い目でみれば伸びるんだから」


そう受け入れてみることも大切ですよね。
頑張り屋さんの方にとっては、
「そう開き直る」という表現かもしれませんね。^^1


体を痛めたら、
理合の思索に力を入れる好機です。
なぜ痛めたのだろうかという疑問から、
痛めないで練習する方法は?などと考えるのもよいでしょう。