筋繊維がレンガで筋膜は中継ぎセメント

体が詰まったり固まったりしている部分があるから、
ストレッチした方がよいでしょうかと尋ねられる。


それは場合ごとのケースバイケースです。
筋肉の全体的な柔軟性が十分あるようならば、
ストレッチを採用してもいいでしょう。
ただし十分正確なストレッチ要件を守る事。
・反動は付けない
・気持ちよい程度
・食後は控える
etc...


既に肉体面で慢性化した筋硬化をお持ちの方が
この質問をなさるときもあります。
その場合には素晴らしい指導者などのサポートが受けられるなど、
よほどの事がない限りストレッチは辞めた方がよいと言います。
ストレッチ関係の一般書やビデオを参考にしながらやると、
かえって体のダメージを増長するというケースが多い。
一斉指導でのストレッチ講座も眼が行き届きません。
しっかりした指導者がいてプログラムされた、
お体の現状に合わせられたメニューであれば、
ストレッチ手法を使っても改善できます。
そのような場合ならOKでしょうという条件付きとなります。


体の中の筋肉は筋膜というもので仕切られています。
例えればレンガを積み重ねてできている家があるとします。
レンガ部分は筋繊維、レンガとレンガをつなぐセメント部分が筋膜。
筋繊維は硬くはなりません。
もともとタンパク質の集まりなんで、
素材的には柔軟性がある。
筋繊維を短くして筋パワーを発揮しても、
緩めればつきたての餅と同じかそれ以上の柔らかさになるのが筋繊維。


ですが筋繊維の間にある筋膜というセメントのような中継ぎ部分。
ここに日頃から強いストレスをかけつづけるとどうなるでしょう。
レンガの家もレンガの石が割れる前に、
この中継ぎのセメント部分から崩れる。
中継ぎ部分の強度は強すぎても弱すぎてもダメで、
適度な状態でなければ地震の揺れに耐えられない。


人体もそういうものです。
筋膜という中継ぎが壊れる。
または状態が改悪されたまま元に戻らなくなる。
その筋膜という容器の中に入っている筋繊維が
引きずられるように引き延ばされたり萎縮する。


筋膜という中継ぎ部分。
ここが体の歪みの情報を蓄積している本体です。



そして無理をしたストレッチがなぜよくないかといえば、
筋膜も粋が良いときは柔軟性に富んでいるのです。
そのときはストレッチされても筋膜自体も気持ちよく伸びる。
それにより筋膜も緩むし血液量やリンパ液の流れもよくなる。
ですが硬化した筋膜は水分量を減らし冷めて萎縮している。
この様子のときに無理に伸ばされると筋膜自体が物理的に
避けたり傷つくのです。
筋膜は筋繊維の保護膜の役割をしているので、
筋膜が避けたときに筋繊維も同時に傷つく事もあります。


人為的なストレッチという外圧がかけられて、
体のバランスが崩されたとき。
多くの場合、体の重力線に沿った歪み方とはことなるのです。
より複雑な体の歪みを造り出してしまうことがあるのです。


ではストレッチができなければどのような対応策があるのでしょう。


これは専門的なこととなりますが、
オステオパシーの手技のひとつにカウンターストレインがあります。
萎縮してしまった筋肉部分をもっと縮める姿勢を90秒以上保持する。
それからゆっくりとゆっくりとニュートラルポジションに戻す方法です。
無痛で安全、そして効果的な筋膜リリーステクニックのひとつとして、
多くの治療者も利用しているテクニックです。


専門書ですが、
書名:ポジショナル・リリース・セラピー
出版:科学新聞社出版局


ビデオでは、
ビデオ: ポジショナル・リリース・セラピー
価格:\8,400(税込)
出版:医道の日本社
該当紹介URL( http://www.idononippon.com/inc/product.php?id=IV0046-7 )
などがあります。


ただ専門書の方は特に
一般の方が観ても理解しづらくて読んでいて苦痛だと思います。
ビデオの方は参考になるかもしれません。
両者ともちょっと高いのが難点・・・。--;


またこのテクニックをおこなうときにさらなる効果を発揮させる目的で、
『小刻みに縮められている患部を揺する方法』や
『患部に手を当てて3分くらい置く方法』など
利用する先生方はいろいろ工夫してます。
ひと工夫で成果が大きく引き延ばせます。
特に私が自分の体に対しておこなうカウンターストレインでは、
時間に余裕をもたせる事ができるので手を当てて3分間キープが主流です。^-^)