筋肉を分化・統合して動かす手続き概要


先日ワークをしていて。
『脚部の筋肉を断面化すると、
どれくらいの筋肉があると思いますか?』


という質問をいたしました。


その回答。


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ふとももの筋肉をみると太い筋肉から細い筋肉まで。
いくつもの筋肉があるものですよね。


各筋肉ごとにそれぞれ仕事分担があります。
例えばいくつかの太股の筋肉をピックアップして機能を紹介すると...
大腿直筋=膝蓋骨の伸展、股関節屈曲
中間広筋・外側広筋=膝関節伸展
内側広筋=膝関節伸展および膝蓋骨を内側にひく
縫工筋=膝屈曲、股関節屈曲、大腿外旋
大内転筋=股関節内転、上部は股関節の屈曲、下部は股関節の伸展
長内転筋=股関節内転および股関節屈曲の補助
薄筋=膝関節の屈曲および股関節内旋、股関節内転


などです。


ただここで注意しなければなりません。
例えば縫工筋も内転筋も股関節の屈曲という機能があるわけです。
でもこの両者とも屈曲の仕方がおのずと異なっているのです。
筋肉の起始・付着が両者異なりますし、
筋肉の通る位置も異なるからです。
筋肉の太さも図で観ればわかるように異なります。
同じ股関節の屈曲という機能を持っていても
そのような相違点があれば別物的な使い分けが必要です。


特にこの質問をさせていただいた方は、
モダンダンスをしておられるダンサー。
筋肉の機能的な使い分けを考えて、
一端は各々の筋肉にとって得意な機能を身体に教える。
一本ごと動かしていきましょう。
目的の筋肉が適切に作動しているかどうかチェック。
正しく動いていると確認できたら次の筋肉を同じようにチェック。
太股の筋肉本数分のチェックをしていきます。


次のステップで複数の筋肉を同時に分けて動かす感覚を確かめる。
例えば大腿直筋が最もスムースに動く動き方をして膝を屈曲させつつ、
内転筋や縫工筋なども同様に最もスムースに膝を屈曲させるよう動かす。
その三者が協力しあい最も合理的な軌跡をとらせて動かす。
各々の筋肉が分化して各自得意な動きを行う。
それが組合わさる事で今まで感じた事がない、
癖のない自然な動きができるようになる。
普段一部の筋肉しか使わない人がほとんど。
使っているつもりでも、
実際は大腿直筋などの力みが入る筋肉に強い力感を感じてそこに意識がとられる。
すると他の筋肉はなまけた使い方となるのです。
それがちゃんと幾本もの筋肉が有意味的に能力とパワーを発揮させる。
そのときの動きは股関節や膝関節をずらしゆがめる事もなく、
繊細なムーブメントを可能としてくれる。
発力パワーもときとして本人が狐につままれたほど出る。
疲労回復もいつもよりずっと早い。
たいてい素晴らしい身体を使うスキルを持たれている方々は、
このような筋特性を押さえて的確に利用している。
おまけに魅力的な体つきに変わるケースも多い。


交感神経が高ぶらずに副交感神経モードで動いていると、
気づかないうちにこの本能的な筋肉の分化統合された使い方となる。
だけど身体に悪い動き方の癖が身についてしまうと、
筋肉の中を通る力の流れる道を妨げてしまいます。
するとなんとなく・・・いつもからだが交感神経の昂りを感じつづける。
そういった事もあるようです。


例えばフェルデンクライス・メソッドでも、
このような考え方に近しい部分もあるのでおこなってみるのもいいだろう。


または書籍『動きの解剖学』や筋肉特性がよく解説してある本を参考にして、
まずは身体の一部でもいいから試してみると面白い。


このエクササイズを敢行するには
時間と解剖学的知識が必要です。
根性を入れて頑張ってください。



この動き方の練習をする事で、
なぜ筋肉のしこりができやすかったのか、
なぜ疲れやすかったのか、
どのようにすれば体内の内在する筋パワーを十分発揮させる事ができるか、
など貴重な体験と理解ができることでしょう。