ずり圧をかけるための技量


『ずり圧』は、かなり身体の改善効率のよい筋膜リリース圧です。

『ずり圧』とはどういうものか。


例えば手のひらを足の大腿直筋に置いて密着。
そして密着具合が離れないようにしながら、
ずりっずりっと動かす圧法。


大腿骨がありその上に深部層、中部層、浅部層がある。
例えば手を密着させたときに筋肉を適度な力で圧をかける。
すると現状でしこりとなって動かない部分と
その上の少し可動する緩みがある筋肉と別れているのがわかるだろう。
深部層が大腿骨に大きく癒着して動きがないが、
中部層は数ミリ程度の動きがあるのを感じ取れた。
その感触を手がかりに手をその多少動く筋肉部分に最も密着している圧を探す。
コンタクトさせた状態をつくる。
圧を一定にキープさせて筋肉の流れに沿って
手をわずか数センチほど移動させる。
すると筋膜がスムースにリリースされ緩みだす。


このときの圧をかける大切なポイント。
押し手の身体の芯の重みがよく伝わるように心がけます。


ずり圧は身体の隅々まで適応した圧をかけられるので、
利用範囲の高いものです。
それにずり圧をかけていると深層の筋膜の様子が手にとるようにわかるのもいい。


シンプルで安全性の高い方法です。
ずり圧をかけて骨折事故が起こった話は聞いたことがない。


ただひとつネックがあるのです。
ワーカーにかかる負担が大きい。
長時間ずり圧を利用して身体を酷使する。
手首が腫れだして肩が張り首がつります。


適応性が高く安全性の優れた圧法なのですが、
ワーカーの身体が十分に練られていないと仕事として実用で多く使えない。
そのような制限が加えられえしまう。


このようなずり圧を使うときは、
ワークをする側の人物の身体の使い方次第で、
技が活きもするし死にもするのです。


身体捌きが大切なのはこのワークスキルに限ったことではありません。
靱帯性ストレインを使って持続圧を用いたりするときなども同じです。
中国武術発勁のような力が必要な技術も意外に多くあるのですね。


ずり圧は術者側に負担があるテクニックですけど、
ワーカーほどの作業量を必要としないとき。
ちょっとしたスポーツマッサージの代りに、
ペアワークで相手を癒してあげるときにはなかなか使えると思います。
ずり圧で緩められた筋膜は長時間続くからです。