蹴り足を持たない歩き方が重要です。

歩くときのポイント。


後ろ足を前に出すときに蹴らない事。
蹴らないで歩くとはどういう事なの?
そのような疑問がもたげてくる。


でもよく蹴り脚の部分を観察してみてください。
脚部全体の力で満遍なく蹴っているわけではない。
蹴るときには極々一部の筋肉のみが蹴る動作に参加している。
そして酷使されているのです。


でも身体全体が歩いていると疲れるのは歩くのは全身運動だからだろう。。。
そう考える人もいます。


ですが蹴り足部分のみが身体を推進させるための筋パワーを生み出している。
ではなぜ腰が凝って痛くなったりするのでしょう。


実は蹴り足で身体を前に進めるときに脊椎の前後屈が強まりまる。
その脊椎の前後屈により身体がもろく倒れようとするのを、
必死に腰の筋肉やみぞおちや肩や首の筋肉で前後屈を修正しようとする。
つまり身体の歪みを修正するために、
脚部以外の筋肉をも酷使しているのです。


それにもう一つ着目したい点があります。
蹴り足をして歩くと大腰筋の働きが鈍る。


後足でも前足でも地面を蹴った瞬間
大腿直筋部分や前脛骨筋などが短縮してしまう。
つまり身体を前に進めるわけですが、
その推進力を削り取るように脚部前面の筋肉に力が入れられ
ブレーキをふんだような状態で歩いてしまう。
これでは最低限の筋力を使い最大限の仕事を行わせることができない。
効率のよい『移動動作』とは言えない。


大腰筋を活かすために大切な事は骨盤のコントロールです。
これができなければ効果的に大腰筋を使えません。
もし蹴り足を持って歩けば、
脚部前面の筋肉やアキレス腱などに局所的な強い負荷がかかる。
その瞬間に骨盤上端が前傾してしまうのです。
胴体は前後に弓なりに曲がりぐらつく。
腰の凝りとか肩や首凝り、背中の張りは、
この胴体がぐらつく状態を是正しようとして、
筋力で持って押さえつけた結果の筋肉疲労です。




特に大腿直筋は心臓に関連する筋肉ですので、
蹴り足で膝を曲げてしまった瞬間心臓に負荷がかかり、
心拍数が上がる。
このような状況で心拍数が上がれば
交感神経が刺激されて緊急避難的に過剰なエネルギーを浪費する。
生活のためには心拍数を適度に調整管理された状態で、
長時間楽に動きたいのです。
それができなくなる。



では蹴らないで歩くためにはどのようにすればいいでしょう。


その解答のヒント。


例えば前に向かって歩くときは蹴り足をしてしまうのですが、
後ろに向かって歩くときにはたいていの人は蹴り足をしません。
後ろに向かって歩くときには地面を蹴る必要はない。
それでも歩く事ができる。


それも普段姿勢悪く歩く人も後ろ歩きをしばらく続けて慣れると、
姿勢が自然に良い状態になる。
これも蹴り足をしない身体の移動方法を身につけていくことの
驚愕のメリットということができるでしょう。


そんな脚部の一部分の筋肉を酷使するような動き方は
身体に良いわけはない。
身体を持続的に利用するためには、
多くの筋肉を60%ずつ利用すること。
多くの筋肉部分を連動して協力利用する。


決して一部分の筋肉を100%以上に利用してはいけないのです。



達人の行うムーブメントは、
身体全身が協力的に伸び縮みをする。
筋肉の広域にわたる無理のない収縮力と弛緩(拡張力)により、
巧妙で機能的、且つ芸術的な動きはつくられている。
私の目にはそう映っている。


まずは一番陥りやすいミスにつながる蹴り足で歩くのを控える事。
これを排除することができれば動きの本質が少しずつ見えてくるでしょう。


でもこれがまたけっこう難しいんですよね〜。
私も常々初心に戻って蹴り足を戒めて歩く練習をしています。^-^;