内臓からくる背部痛・腰痛について

内臓からくる背部痛・腰痛というものがあります。


具体的に一例を挙げましょう。


たとえば腎臓周りに硬いしこりができているとします。
右利きの人ならば、
右側腎臓部分の脊椎周辺によくできてしまいます。


腎臓はその周囲に硬結があってもそう腎臓痛のような痛みをあまり発しません。
ですがその腎臓部位の脊椎周辺にできた硬結が動くと、
その隣にある非常に重要な脊髄を傷つけてしまいます。


なぜ傷つけるかといえば
全身の構造は筋膜レベルや他組織レベルで
ひとつにつながっている仕組みがあるからです。
ひとつの箇所の動きを止めるような制限があれば、
その制限を越える動きをさせるときにその周囲の組織も同時に牽引されてしまう。
そのとき強い緊張が起きるでしょう。
その緊張により傷つけられてしまう。





動きを制限する限度以内ならば痛みというアラームはなりません。
安全だから。


ですがその動きの制限を越えると痛みというアラームがなります。
危険だから。



それだから腰痛や背部痛がある人も、
ある姿勢をとると痛みが軽減するか感じられなくなりますし、
ある姿勢をとると痛みという警報機が鳴り響きます。


そのような姿勢による痛み具合の変化が観察できる。
そのようなケースが見受けられるのです。



もし動きの制限を越えて脊髄を傷つければ
生殖器の機能が失われたり、
下半身の麻痺などが生じるでしょう。
生命の危機を意味する事もあります。


そのような重要な器官や事態を回避する目的で
自然は緻密な防衛システムを置いてくれたのです。


腎臓周囲の硬化を知らせるよりも、
直接的に背中を動けなくさせる仕組みを発動するのです。
そのようにさせたほうが効率的に脊髄を守れるからです。
それが背中の痛みだったり腰部の痛み。


そうやって背中等に痛みを感じさせて
脊髄を傷つける方向へ身体をひねれなくします。


だからこの痛みは身体を守る防衛システムのアラームですから、
不用意に切れば危険なほうへと進んでいくことになるはずです。
だから本当にしつこく切れないようになっているのです。
そして不用意に切ってはいけない痛みでもあるのですね。


しっかり脊髄神経へかかる危機を回避させる事。
そうすれば痛みは改善されてもかまわないのです。


そういったところが内臓部分の硬化パターンに熟知していないと判断が難しい。
熟知していたとしても内臓の内奥にあるならば、
推測に頼るしかないこともあります。
そしてカウンターストレインなどで、
当該部分をリリースできて痛みが改善するかどうかを観ていくこともあるのです。


この場合の腎臓部位の脊髄を傷つけるだろう硬化部分。
MRIやCTで写してみたとします。
でも撮影した結果をみても硬化した部分は写りません。
硬化した筋肉もその周囲の筋肉と同様な
代わり映えない単なる筋肉として写るだけです。
こういうところが一筋縄ではいかない部分ですよね。