風邪は逃げる。


中国医学の本を読むと、
邪気は体の中で隠れたり逃げたりすると説明されている。
体の中の体液をさえぎったり神経の電気的な流れを抑止したり
老廃物のたまりなどを総じて邪気といったりするようだ。

これはワークをしていけばわかる。

確かに当初はなかった部分に体の中のブロックがあり血流が停滞したり、
老廃物の溜まりが隠れていたり、
表層筋膜を解くとそのうらにその筋膜のしこりが逃げるように移動する。

そのようなことは日常茶飯事。

この動きは一般の方にはあまりぴんとこない部分でしょう。
生き物のように邪が移動したりひょっこりでてきたりするのですから。
ですが経験があれば深層までいたる硬化があってこの日常茶飯事がおこらないことのほうが珍しい。

この邪の根っこが深くて取れなければ、
身体が若返り安住することはできません。


だから最初に身体をチェックしたようすと、
徐々に緩めていってからのようすは違う場合がほとんど。

この邪気が風が吹くように逃げたり隠れたりするものは、
どこにあるのだろう?

身体の表層にあればそれは取りやすい軽症のようなもの。
身体の深層にあればそれは取りにくい重症のようなもの。

単純なのですがそうすっきり考えることができるかもしれない。

この逃げ隠れする邪を探し当て解決する。

それを繰り返していると、
どこのなにを変えればいいかがだんだんと見当がつくようになる。

逆にそこまで解く習慣があると、
本能的に逃げ隠れする邪を探し当てる能力に長けてくる。

だからワークの仕方を指導するときは、
この部分はまだ君は手をつけてないね、
ということができる。
だがそれが災いするときもある。
この邪が潜んでいることに気づかずに、
これで完璧に治りましたよと知人の先生がいっていた。
そのときに見学させていただいていた私の顔が曇った。


それで険悪な感じになった。

結局はこころの広い向学心が旺盛な先生だったので、
ここにあるものもケアしたほうがいいんじゃないの、
などとあとで耳打ちして触ってもらったら気づいてくれた。
それで一件落着で顔を見合わせて笑うことができた。

そういうこともあるのです。