一挙手一投足を丁寧に生きる。


赤ちゃんが生まれてきて、
手でものを握る動作をする。
その動作が完成するまでに10年という月日が必要です。
そのときに毎分約25万もの神経細胞が生まれている。
そしてさらに神経細胞のネットワークを築いていき、
複雑で繊細な動きをおこなうためにはあと数年が必要。


長い年月をかけて多くの神経細胞が発生し連携して働き、
動きを作り出して今日の私たちの動作がなりたつわけです。


そのようにして私たちの『動き方の基本パターン』が形成されました。
そしてその『動き方の基本パターン』を獲得した後は、
パターンを逸脱しないような動きを選択していきます。
そうすることで動きの自分なりの安定感や信頼性を確保しようとします。


ただ『動き方の基本パターン』に
何らかの腰痛や肩こり等になる要素がある場合はどうでしょうか。


立つときに首を縮めてあごを突き出して立つならば首の前側の筋肉に
多大な負担をかけますし後頭骨のすぐ下にしこりが付きだします。
でも意外にそのような動きのパターンを、
自分ではそう不具合があると感じることなく行います。
それは長年培ってきた自分の動き方ですからそれなりに馴染んでいるから。
その動作をするときに反射的に呼吸を止めているのにも気づきません。
もちろん呼吸を止めるような動きはひどい緊張を強いている動きです。
体に何らの悪影響が残らないわけがないんです。
そしてその悪影響を繰り返すことで蓄積していき、
気づいたら喉を締め付ける筋肉のしこりができていたなんていうことも、
よくあることなのです。



このような悪影響に気づくためにはどうすればよいでしょうか?


私の場合は、
たとえば歩くときには一歩、一歩をとにかく大切にしました。


一歩足を振り出すときに、
自分の足のどこが硬くなるか、
動きがぎこちないか、
腰が回転しにくいか、
進む意識が強すぎてはいないか、
足首の力が抜けているか、
前に足が伸びたときに足の親指と顎の方向が一致しているか。
思いつくなりに注意点を自分なりに見つけていきました。
そして一歩足を振り出すたびに不具合を改善していく。
改善したらその改善具合をチェックして、
再度不具合やまたは気分よく改善できた点を観察する。
そのようなことを続けます。


そうすることで初めて不具合を生じさせるパターンに気づきます。
そして他の動き方を模索していくことで、
私が過去に培ってきた『動き方の基本パターン』の書き換えが進みだします。


この書き換えを面倒とみるか楽しみとみるか。


純粋に明日の自分を思いやる気持ちがあれば
楽しみと感じて一挙手一投足を生活の中で大切にして過ごすことになります。


そのような意識で貫かれれば何気ない動作や体の様子にも
自分を助け生かすすべを発見できるのではと思います。