前傾して立つと臓器が中心線ラインからずれる

直立姿勢で立っているときと、
前傾姿勢で立っているとき。


対外的に見える部分でも胴体が前傾しているかどうかの違いを見つけられる。
だがそれだけではありません。


構造医研の本を見ていると
体内でも変化がおきているようなのです。


垂直直立しているときと前傾して立っているとき。
それをCTスキャナーで肺動脈分岐部を輪切りにしたイラストがある。
その両者の立ち方で観察して気づくことは、
下行大動脈、大動脈弓、食道、肺動脈幹などの位置が異なっています。
下行大動脈やその他の部位も脊椎骨側に移動しています。
(腹臥位から仰臥位に姿勢を変更したときと似た変化を示します)


「それってどういうことなの?」と考えさせられる変化です。


垂直に立っているときと前傾したり後傾したりしているときと
体内にある臓器の位置が変わるんですね。
垂直に立っているときには、
たとえば食道と椎骨との間が空いていてあたってないんですが、
前傾して立っているときには、
食道と椎骨との間が狭まります。
すると物を飲み込むときにちょっと詰まり
あたるような違和感がでやすくなります。
前傾した立ち方ですし、
食道と椎骨が密着すればその臓器と密着する
骨組織周囲の筋との癒着がおきやすくもなる。


常日頃垂直に立つことに慣れている人が前傾すると、
ものの見事にこの食道の詰まり感やその前の気道の圧迫などを感じます。
だが常日頃から前傾して立っていることに慣れている人は、
いつもの変化しない食道の詰まり感ですのであまり気に留めない。
不思議なものでちゃんと立てている人に前傾して立たせると苦しむが
前傾しているのが慣れている人にとってはその状態でも気にならない。
そのような違いが出てきます。


だが実際にはこのような前傾で立つことで、
肺動脈分岐部分のみならず他の胴体部分での内臓の変化がでてきてしまう。
垂直で立てば体の中心線ライン上に臓器が並んで詰まれるのですが、
前傾で立てば体の中の臓器が前に行き過ぎたり後ろに行き過ぎたり。
それによって臓器が正しく並び積み上げられないことで立ちにくくなる。
内臓位置は十分に臓器と周辺の筋や膜がはがれて干渉しなければ良いが、
常日頃から前傾して立っていると中心線ライン上に臓器が乗らないで
ずれた位置で臓器の硬さがでてきてしまいます。


つまり先ほどの食道が椎骨のほうにあたるようにずれてしまうことで
食道の周りのコラーゲン組織と椎骨を取り巻く靭帯のコラーゲン組織とが
癒着していこうとする。
そのような事象が体の内部では観察できるようなのです。


そう考えて立っている人の体の中をイメージ力で透視スキャンする。
すると体の外の骨格筋の歪みを見ることもできるのですが、
その内部の臓器の位置の偏り方もイメージすることができるでしょう。


医学書CTスキャンの胴体の輪切りの絵が多数掲載した本があるんですが、
その病理的症例ではこのような立ち方をしているだろうと予測が付くので、
そこから臓器の偏り方のパターンを読み取ることもできるでしょう。
惜しむらくは垂直で立った像か横たわってとったCTかがわからないので、
そこが・・・・・。
詰めが甘くなるところですね。--;




最後に。
ちゃんと垂直に立たないと内臓も垂直に立たないということだけ、
記憶していただければ幸です。