「あ〜なるほど」と「あっ、そうか!」の差


以前から
『こういう理由でこのようなゆがみがあるんですよ』とか
『こういう理由で姿勢や歩き方が大切ですよ』などと説明をします。


すると「あ〜なるほど」となるんです。


だけど頭でわかるだけで聞き流される。
自分のことを言われた実感が持てない。



なかにはすでに様々な身体操縦法を研究している方ならば、
「あっ、そうか!」という感覚なんです。
ときに眼を丸くするほどの感情が襲います。


「あ〜なるほど」と「あっ、そうか!」。
その差は別次元ほどの開きがあります。


「あ〜なるほど」のときは忘れ去られることが多いようです。
その知識を得ても陽炎のように消える。
それでは自分の姿勢や動きを改善したい衝動が働かない。


「あっ、そうか!」のときは違います。
どうにかして自分の姿勢や動きを改善したいという衝動が働きます。
自分の体のゆがみの原因に正面から向かい合う準備ができました。
後はよい導きがあれば水を得た魚になります。


脳のなかの一部に小脳という部分があります。
複雑な動きのプログラムをオートマティックにおこなう機能があります。
小脳で利き手や利き足側の筋肉を過剰に使い体をゆがめる癖を表現する。
動き方の癖は自分では気づかないものですね。


体をゆがめる癖ある動きをしても何が悪いという開き直りの心。
不思議ですがこうしたほうが楽になるよというアドバイスが、
自分のことを否定されたような不快感を感じてしまうのです。


私も素直さの意味を悟る前までは傷つき葛藤しました。


実はこのような
「あ〜なるほど」と「あっ、そうか!」のようなことをいうのは、
数年前から月に一度のペースでお通いいただいているお客様から
「あっ、そうか!」と思ったんですよと教えていただきまして。


この方は治療師さんではありません。
ですがスイナの学校に通ったりフェルデンクライスに接したり。
それに先日はキネシオロジー系のセミナーにも参加。
体に関心がありそのようにがんばっておられる方です。


そして「あっ、そうか!」とわかったとき驚かれたようです。


「あっ、そうか!」とわかると、
自分の体が『観える』。


自分の体を『観た』ときに驚くんです。


『観える』とは『見える』とは別ものです。



『観える』ようになると、
脳が自分の癖を悪癖かどうか見え始めます。
「変なことをしている」という悪癖を素直に受け止めます。
自分がきわどい悪癖の呪縛に支配されていたのが、
そこで自分が悪癖をコントロールしだせる立場に。


外見は以前と何も変らない自分です。
ですが悪癖を変えられないストレスが徐々に薄まりはじめる。
そこに成長の芽が育ち始めています。


そのお客様は4月5月はお仕事で多忙を極める季節。
だから疲れた〜とおっしゃっているのですが、
体の大幅なゆがみは少ないようだとみられる。
過労による筋肉痛はありますし筋肥大もある。
だが骨格をゆがめる深層筋の萎縮にまでは至らない。


すばらしいことです!


以前のお客様の様子を回想してそう感じます。



お客様の『観える』に至る過程を教えていただきました。
その難しさと奥深さ。
勉強になります。