疼痛は慢性化させる前に対処すること!

トリガーポイントと筋筋膜療法マニュアル』という書籍。


そちらの4ページに書かれていることを抜粋いたします。

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Bonicaは「急性の疼痛は痛みの源が抹消の構造にあり、
見つけやすく治療しやすい。
一方、慢性疼痛症候群は、
大脳皮質、特に頭頂葉の機能障害の結果である」と述べている。

                • 抜粋ここまで-------

Bonicaの言葉の、
前段では、
「急性というような突如として発生した疼痛の原因は
体の皮膚に近いような抹消部にあるため、
発見も容易であり対処しやすい」といいます。
早い話、急性の痛みは対処しやすいということですね。


後段では、
「急性の痛みを経過して多年たつと慢性的な痛みになります。
その慢性的な痛みが起きているときは、
大脳皮質、特に頭頂葉の機能障害の結果である」と述べている。
つまり、慢性疼痛症候群という慢性化した痛みは、
脳の頭頂葉に至るような問題が生じてしまうといいます。



そして書籍では次のように続きます。


            • 抜粋ここから------

慢性疼痛症候群には末梢的な要素もあるので、
臨床家は患者の大脳皮質に疼痛のパターンが発生するのを防ぎ、
遅らせる役割を担っている。
一端疼痛パターンが大脳皮質に焼きつくと、
それを変えることはきわめて困難である。

            • 抜粋ここまで------


つまり、
慢性疼痛症候群の場合でも部分的に抹消にその原因が現れることがあるから
その部分をケアすることで大脳皮質に至るように進まないようにすること。
そうしないと大脳皮質にまで問題が至るならば、
慢性的な痛みを改善することは難しくなります、
ということでしょう。


現在では慢性疼痛症候群に至ったときに大脳皮質にその情報が書き込まれて、
そのために状態改善が困難になるということは、
脳の可塑性という観点からは正しいけれども、
慢性痛の原因を大脳皮質のみに求めることは一般的な考えではないそうです。
その考えは私も正しいのではないかと思います。



Bonicaがいう改善がとても困難な状態に陥るとは、
彼自身が治療を施してその臨床結果から得られた事実でしょう。
大脳皮質に問題が至るという考え方はその解剖学的に証明できる状況では
Bonicaは1970年代の人物でしたから難しいのではないかと推測いたします。
ですので興味深い仮説のひとつだったのかもしれません。



Bonicaが大脳皮質という奥に問題が至ると仮説を立てたくなる、
その気持ちはわかります。


急性疼痛は患部を適切な治療を施せば改善が見込めます。
状態が重ければそれが慢性化してしまうこともありますが、
はるかに急性疼痛のほうが対処しやすいように思います。
疼痛は慢性化させる前に対処することが強く望まれます。


ではなぜ慢性疼痛では対処しても成果がでにくいのでしょう。
Bonicaは急性疼痛は体の抹消に原因がある、
だからみつけやすく対処できるといいました。
慢性疼痛は問題の源が体表近くにない、
だから対処しにくいといっています。


私も慢性疼痛の多くは、
患部が骨の間近にいたる靭帯や腱も巻き込んだ形で
深層筋膜の癒着が深まることが気にかかります。



一見するとしこりの量があるように見えなくても、
筋膜が繊維状になりそれが骨化している段なので
コラーゲン組織が板ゼラチンのような塊になっています。
本来は筋膜はやわらかくぷるぷるしたゼリー状なのですが、
水分量が低下した硬いプラスティック状に変質しています。


実は慢性疼痛というような痛みがある場合はまだいいのです。


筋肉のコリにより血管が圧迫されしこりが解けにくくなることもある。
そしてそれが行き過ぎるとその疼痛箇所の神経組織に痛覚を働かせる
十分な血液が流入されなくなり疼痛さえも起きなくなるのです。
こちらのような場合には筋肉や腱や靭帯を傷つけるだけでなく、
常に関連する関節をずらし続けるしその周りの組織を冷やし続けます。
そのようなもののほうが慢性疼痛よりももっと問題があるように思う。


それをリリースするには工夫と労力はかなりのものです。


また慢性疼痛を持つ方は
自分では気づかないうちに疼痛が治まっても
患部だった箇所をかばいその慢性疼痛がぶり返すような動きをします。
本人はそのようなかばう動きをするのは習慣化してしまい気づきません。


その動き方は決して自然な動きではなく、
体の自由な動きを制限させてしまいます。
そのバランスを崩した姿勢や動きにより、
慢性疼痛が収まっても脳はその改善を認めずにいていつもおびえ続けている。


その様子を見ているとBonicaがいう大脳に影響がという言葉はともかく
小脳の体を自動化して動かす部位に問題がもぐるというのは
いえているのではないかと感じるのですがいかがでしょうか。


慢性疼痛を体験したときには、
改善後に疼痛をかばっていた動き方をリセットしておくといいようです。