胸郭部とみぞおちの硬さの関係


腹式呼吸をするといいと
さまざまな民間医療関係の書籍にかかれています。


呼吸量が増えたり
重心を丹田に落ち着けて安定でき
腰椎免荷作用による腰部の筋肉や腱・靭帯へかかる荷重負担を軽減します。


ですが腹式呼吸をしてみてうまくいかないという感想を持つ方もおられます。


その原因はさまざま。


その原因のうちのひとつ。
胸骨が「漏斗胸状」であったり
逆に「前に張り出す」ことで腹式呼吸がしにくくなる人がいます。
すると胸郭全体が硬化し柔軟性を失う傾向が強くなりまして、
とにかく効率よい呼吸がしにくくなります。
息苦しさで肩を持ち上げて肩で息をします。
そうなると重心を丹田に置けずにうわずり、
立位が不安定になるため抗重力筋群が硬直。


胸郭のような肋骨や胸骨や胸椎という骨に囲まれた部位が変位する。
それにより漏斗胸や鳩胸のような胸骨が前に張り出す状態となる。
その骨という硬質な部位が絡んでくるときは、
その部分に柔軟性が取り戻されないと状況好転がしにくいようです。


というようなことを観察できるようです。


もう少し奥に入ってみてみましょう。


胸郭の変位を観てみぞおちをチェックしますと、
みぞおちが強く突っ張り奥が硬化していることに気付きます。


みぞおちは横隔膜の重要な付着点です。
横隔膜は腹部側と背中側の両端に付着するわけですが、
横隔膜の背中側は比較的動かしづらい。
腰裏の部分を浮き袋状に膨らます技が必要となります。
声楽や俳優など一定の声量を保持し長く出し続けられる能力を持つ人は、
この部分を自在に使いこなせる人もいます。
背中側の横隔膜付着点は動かすのに修練が必要です。


ですが腹側の横隔膜付着点はみぞおち部分や下部肋骨の肋軟骨です。
本来はみぞおちも肋軟骨も柔軟性ある組織で構成されていますから、
この部分の柔らかさによる伸張性により横隔膜が上下に動きやすい。
これが腹式呼吸をするときに必須条件。
ですが胸郭が漏斗胸や鳩胸などで変位するとみぞおち部分を含め
特にへそから上の腹部全体を引っ張りあげ緊張させてしまう。
それにより横隔膜の上下動が抑制されてしまうようです。


そのようなときは胸郭部を正常化させることを優先させるべきです。
体を緩めるときの優先順位付けのひとつですね。


十分に胸郭部を緩め内臓部も緩ませると
肋骨下に指の第二関節まで深々と入る。
そうなれば腹式呼吸の練習を問題なくできます。