動き方を伝えるコツ


私のワークを受けていただいているお客様には
私が書籍の『動きの解剖学』や『人体解剖図』などを
参照していただくことが頻繁にあります。
バレエをなさっている方にもいない方々にも。
動きや姿勢維持の仕方による体の誤用は、
多くの筋・腱・骨格等に問題を引き起こします。



動き方を伝えるワーク中に
「このように体のなかの具合を意識していただくと、
体の一部分に過剰にかかる負担が軽減しますよ」など伝えています。


ただこれにはコツがあるのです。


「動きをともなう解剖学」を理解して体現してもらうには、
事前にそのように動ける体に仕上げてから伝えます。


たとえばアンディオールをするにも梨状筋の硬化や
仙棘靭帯の骨化などがあれば大腿骨が股関節部の大転子に収まらない。
股関節部の靭帯は厚く一端硬化し関節部をずらす癖をつけると、
関節がずれているのだが大腿骨と腸骨の間の関節にときには骨化したほどの硬いしこりをつけます。
そしてそのしこりが股関節をずらすわけですが、
本人には骨に近い硬さのしこりを筋肉や靭帯と把握できない。
長年かけて培って共存してきたしこりには違和感を感じづらく、
一体感がある。
私どもはそのような状態かどうか触診でチェックします。
問題があれば肉体的に大転子が深く入れるよう施術をします。


それが下準備です。


そのうえでどの筋肉を使いアンディオールをすればよいか、
私が学んできた理にかなうだろうことをお伝えします。


これと同様なことを足首から頚椎から肩関節から内臓の位置や癒着から・・・
数十箇所以上を必要があれば逐一時間をかけて修正していきます。
そして施術により修正後に
「ねぇ、こんな風に体を動かすようにしてもらえると、
体が疲れなくなりますよ〜」というのを繰り返します。



そのようにした流れで説明をしていくと
ストレスが少なく受け入れてくれることが
少しずつですが多くなったように感じます。


実はずっと昔になるのですけど、
合同で「体の使い方のみ」を伝えたところ、
容易にできる方はすぐ納得し体現なさるが
なかなかそうできない方も多くおられました。
正しい使い方を伝えても思考の迷宮に入る。
一部ではかえって体の不調を訴えられた。
それから後者の方へどう対応すればよいか、
私なりに考えて現在の流れにたどり着いたのです。