ワークでの彫刻家のような作業工程

『1日で人は変われる!』という本を図書館で借りて読んでみました。


人生に疲れ果てたアメリカ人のトム。
これからの自分の進む先を得るためにイタリアへ訪れた。
翌日に帰国しなければならない。
だがなにひとつ今後の自分の進むべき道が見当たらない。
そうしたときに不思議な老人がトムに声をかけた。
それからトムへの老人の10の夢を実現するレッスンがはじまった。
というような小説タイプの読みやすい自己啓発書です。



実を言いますと、
私が日頃している仕事のイメージは、
私は彫刻をしているようなものです。


どこが余分かを知り削るためにノミを振るい続ける。
形ができてきたらそこからやすりをかけて、
最後には磨きあげる。
ミケランジェロダビデ像を2年4ヶ月かけたような、
細部にこだわりを持ち綿密さと創造力が必要な工程のように感じています。



人体は静的に観て動的に観て両者のバランスを観なければなりません。
骨格や関節、筋肉、神経や血管その他の器官の複雑な絡みがあります。


細部は彫刻とは異なります。


でも理想の形に細部までこだわり続け、
汗水を流してひたすらに手を抜かずに、
緻密な仕組みを見抜こうとするのは、
似た感じがあると思います。




『人は痛みを恐れる。
肉体の痛み、感情の痛み、精神の痛みをね。


自分の一部を失うとき、
たとえそれが”自分の成長を妨げるもの”だとしても、
人は痛みを感じる。


だからそうした部分を切り離そうとしないで、
進まなければならない段階から逃げてしまう。
結果として、身動きが取れなくなり、
天使は姿を表すことができない。』


この文章はP99に書かれています。


自分の一部を失うときに人は痛みを感じる。
肝に銘じなければならない言葉です。


施術で体のしこりを緩められるのは、
直接的に肉体的痛みを感じるのです。


自分の中にできたしこりとは自分の成長や健康を妨げるものですが、
それはそれで慢性的に作り出したようなしこりは特にですが、
自分でこさえた自分の一部と化している。
健康を妨げているのにそれを取り除くことへ変化に対する恐れを感じる。


ちょっと不思議な感じがします。
よほど強く変化する希求性を感じなければ、
人は変化にともなうリスクを感じてまで変わりたくない。


人体の一部と化したものを取り去れることによる失う痛み、恐れ。
その痛みや恐れにより人は内側に眠るまだ彫られていない大理石の天使が
いつまでも世に出ないまま。


お客様の体の内側に偉大な天使像が、
私の目に映ることがあります。


その天使像を掘り出すために、
いらないものを削り、形作り、やすりをかけ、最後に磨き上げる。


今私が行うハードなワークは、
まさにこの工程通り愚直に進められます。
今の私にはこの彫刻家のような方法を極めたい。


ここで踏ん張ることで大切な視点が得られると考えています。
その視点が感得できたときに次のステップに進めるのだろう。