手と足は必ずちゃんと関連付けて動かすこと


太極拳などでは手足を有機的に関係付けて動かしていきます。
それは安定した力みない動きをするための基本のひとつです。


もし手と足が相互に随行しない動きをしたらどうなるでしょう。
その動作を繰り返せば腕に負担がかかれば胸椎に問題が出るし、
足に負担がかかれば腰椎に問題が出てくるようになるようです。


ただこのことは太極拳の話ばかりではありません。


たとえば手だけを働かせて足を手の動きに合わせた動きをしないとき。
このような状態を長期間にわたりパソコンで文章を打ち続け緊張したり
手先を使い続ける過重労働ぎみだったりするならば、
胸椎に問題が出てくる。
多くの場合は上部胸椎が後屈(後にでっぱる)するようになり、
肩や肩甲骨、そして胸部全体などにつらいこわばりを作り出す。


簡単に手だけ働かせるイメージを伝えれば、
赤ちゃんのように四つんばいで手足を使い這うときを想像して欲しい。
手だけで進もうとして上半身ばかりを使ってしまい、
下半身が進む助けをするどころかお荷物になる。
そしてそのような動きを続ければ想像以上の負荷がかかり、
肩が上に持ち上がってきて肩甲骨が外転し胸椎に影響がおよぶ。
特に利き手側の胸部に問題が生じて肋骨部分が変形するだろう。
呼吸器関係や心臓部などに負担がかかりだすようで注意が必要です。


手と足の両者が上下や前後の空間を認識してバランスをとりながら動く。
そうやって動いているときにはうまく丹田部に重心がおくことができる。
まるで四つんばいで歩くがごとく動きが二足で立って動作をするときも
体に優しい動きには基本的に活かされているのです。


その点を見逃してはならないと思います。


手だけ働かせていけば上半身のみぞおちやときとして胸の真ん中の壇中まで
重心点が上ずってしまう。
そういった状態ならば軽くぽんと押せばグラグラッと体が持っていかれる。
そして普段からそうなると必死に足に力をいれて倒れまいとして踏ん張る。
その過剰に力んだ脚部や腰部の筋緊張は下半身のしなやかさを失わせます。


手と足を関連付けて動かす方法を学ぶのも
太極拳が一朝一夕で身につかないのと同様にかなりの試練と研究が必須です。
ですが体がそのように反応し始めるときに、
「あぁずいぶん体が軽くなったな」とつくづく実感できるでしょう。


体の使い方を考察していきますと
いろいろと細かい点が気になりだすんですよね。