仙腸関節の良し悪しで運動可否判断

仙骨と腸骨の間にある関節を仙腸関節と呼びます。
仙腸関節関節面は人体のなかでももっとも大きな関節面の面積を持つ
最重要関節部位のひとつです。


仙腸関節の関節面を耳の形に似ていることから
耳状面(じじょうめん)と呼んでいます。


AKAのテキストを参照すれば、
仙腸関節関節面の耳状面も
仙骨の前屈位や後屈位などの具合により
接触面の面積や接触形状が変わるといいます。


接触面の面積が広ければ仙腸関節面は
粗面という紙やすりのようなざらざらした関節面であるため、
仙骨と腸骨が仙腸関節関節面でしっかり密着すれば噛み合います。


紙やすりを二枚用意してやすり面同士をくっつけて動かそうとすれば
摩擦係数が高いため動かないのと同様のことが仙腸関節面でおきてます。


姿勢維持を骨の支える力を効率よく発揮させて足の骨と胴体を結ぶために
腸骨と仙骨をがっちりと固定させる仕組みがあるのでしょう。


ただ歩いたり走ったりするとき必要に応じて
わずかですが仙腸関節関節面において
滑り運動を可能にしています。


ただこのわずかな滑り運動ができるならば、
体の関節や筋肉の柔軟性があることを示し
運動能力も優れていることを意味します。



わずかながらの滑り運動ができるようになるには、
相応の肉体的コンディションが整えられる必要です。
なので滑り出しのよい運動習慣を身につけたいときは、
滑り運動ができるよう仕上げてからという人もいます。


そうなることで動きの質の良し悪しが吟味できるようになるので、
安全かつ効率的に体を作り上げていくことができるようになります。


滑り運動ができない状態で過剰に体を酷使すれば、
骨格のゆがみを生みそれを修正し補助するために
体内奥にしこり化した筋肉を仕込み始めますから。
ある程度の体力がある人ならば動きの質を求めて
しこりを造りつつもよりよい状態へ近づくのもいい。
だがすでに慢性疾患などのつらい症状などがでているときは
体の深部の靭帯を骨のように固めていくスピードが早まる。
自分の体の重心点や中心軸を教えられたときは見つけられるかもしれない。
だが骨格的にすでに重心を維持することはできないはずです。
重心を意識しなくなったとたん体がぐらつきだして
それを支えるために筋肉の節々が強く力みだします。


なので運動を自重したほうがいいこともあるのです。


私が『まだあまり動かないで』とか
『もう運動していいですよ。運動して筋肉を増やしてください』と分かれる
判断のひとつには仙腸関節関節面の滑り運動ができるかどうかがあるのです。


仙腸関節関節面の固まりが強ければ
しっかり磨かれた対応技術がなければ解き進めることは難しいと思います。


一時的に仙腸関節関節面を緩めることはできるのですが、
比較的短期間で元通りの滑り運動ができない状態になる。
重要な関節の周りには強力な筋肉が周りをガードし
そのガードがしこり化するとかえって仙腸関節がずれたままに追いやる。
これを安全にリセットするのが難しいのです。


それゆえに自分の骨盤には問題がありそうだと思う方は、
施術者の先生を慎重に選ぶようにしてくださいね。


仙腸関節の問題解決のが一歩一歩積み重ねられる。
それはとても大切なことです。


体質や呼吸や姿勢にも大きな好転を生み出してくれますから。


ちなみにバレエ等で要求される
自在に仙腸関節関節面の滑り運動をする技術が要求されます。
ここまでいくと本当に難しい技術です。