手の指先の意識の持ちようで

太極拳歴の長い女性のお客様のワークのとき。


右手と左手のつながりが違う、
太極拳の先生に指摘されたとおっしゃいます。


私は頭の中でとっさに
『背筋群からの力の発力かな?』と思いました。


両手を胸の高さで前に出し、
押してみてといわれます。
そしてついぽーんと少しだけ力を入れて押す。


でもどうやら背筋群がという問題ではないらしい。
両手は脱力なされたままで、
もっと弱い力で感じ取りながら押して欲しいと指示。


もっとよく観察すべきと悟る。
すると左手側の沈肩垂肘(沈肩墜肘) (ちんけんすいちゅう)の手本通りです。
こちら側は先生からもつながっているといわれているそうです。


右手側を観察する。
すると沈肩垂肘という肩を沈めや肘の落として向く方向も悪くはない。
でも上腕二頭筋のふくらみが左は最適な広がりを保持しているのだが、
右はかすかではあるが不用意に鋭角なとんがった盛り上がりが見える。
肘の内側の筋を触る。
その左右差をチェック。


そこの時点で右手の指示指への意識が強いのが明瞭になる。
指示指(人差し指)はあっちですよと方向を指し示すのが得意で、
繊細に角度を決められるだけの神経組織が集中している。
それにもまして聞き手側の指示指は神経が発達していて、
それに持っていかれてしまうことがまま見受けられる。


人差し指中心に動くと手を上方に吊り上げて置かねばという
雰囲気の筋の使いとなる。
腕には相応の重さがある。
それを支えるには薬指や小指側の作用が感じ取れないと。
人差し指中心でそれらの指に意識が回らないと肘などの関節がかみ合えず力んで支えようとする。
その力んだ支えでは
体の中心軸から離れれば離れるほど倍以上の重さに感じられる。
とう骨と尺骨の期待しうる正常なねじれも阻害されるし
肩は落としているつもりでも肩甲骨の外旋や外転があって不安定な位置に。


手を胸の高さに上げ前に差し出し左手の指を詳細に観察すると
右利きの方の場合、
あまり人差し指に過ぎた神経の集中が感じられないはずだ。
小指や薬指側にも均等に意識が向けるのが容易だろう。
そこに気づくかもしれない。


もうそのお客様は体の外形上の型はできて整っていますので、
指の左右の違いを見分けるだけで腑に落ちることが生まれます。
ちょっとしたことのようですが、
体の内部の経絡という体内に張り巡らされた
経筋帯をコントロールするかどうかにまでつながります。
それは本能的な動きを自然にかなえられるかどうかほどの違いがでるかもしれない。
違いのわかる人になって
体内に仕組まれていた宝探しをすることで、
眠っている本能部分にアクセスしやすくなる。


大人になって身につけた動き方の悪癖が
ひとつ消えたことになるわけです。


右手の指が間違えているときは
右足の指の意識も同様のミスがあることが多いように見受けられます。
そこまでチェック視野を広げるとよいかもしれません。



本当に一般の方には見分けのつかないレベル。
高いレベルのことをその太極拳の先生は
指摘し指導しようとなさっておられるように感じました。
早合点してぽーんと手を突き飛ばした自分が恥ずかしい。