身内を解くなら隠れた問題点レベルまで解きたい

腰部左側につらいしこりがあることを自覚して
それに伴う体調不良を感じている方がいたとします。


動かなければ痛みを感じはしないのだが、
10分も動くと腰痛がつらくなってくる。
立っているだけでも長時間はつらくなる。


「左腰のしこりを解くことは可能なのか?」


とおっしゃられましたとします。


問題の筋肉が硬くなっている様子を観察します。
するといくつかのパターンに原因が分かれている。
または下記の原因が複合的に組み合わされている。


・患部の筋膜が癒着して筋肉が硬くなっているとき。


・筋肉の長さを決める神経が誤作動して筋硬化したとき。


・患部に対し直接的か間接的に広く関連する部位が患部をつねるがごとく、
引っ張って引きちぎろうとするがごとく萎縮させたり牽引させることで
痛みを発せられるとき。


それらのときはある程度の対応は可能です。


上記ではわかりやすくするため3つほどに原因の数を抑えましたが
これだけじゃないです。
筋筋膜系の問題以外にも、
・脳脊髄液減少による自立神経系統の誤作動がおきて神経痛がでる。
・内臓の問題(腎臓の状態が悪くて腰痛になることもある)
・他




たとえば急性の腰痛のときは、
患部をシップなど施してみて
動かさないようにすれば炎症は徐々に治まりますよね。


ただすでに慢性化した腰痛はその限りではありません。
それは慢性化した腰痛を経験したことがある人ならば
シップで治まらないとか
自己流や慰安目的のマッサージで治まらないとか
体験的に理解できることと思います。


一時的にシップを貼ったときに楽になた気分でしょう。
それ以上の成果があがらないと感じらることもある。


たとえば慢性的な腰痛で筋筋膜的な問題があるときでしたら
次のようなことがあるかもしれないと経験から予測を立てます。



多くの場合には右利きの人は、
左側のハムストリング筋が硬化します。
左側腰部が前方の内臓側に押されつつ
左側大腰筋の張りが強く炎症を持ちます。
右側腸骨筋も炎症を持つときが多い。


他にもいくつかの問題点がより深層筋部分に隠れていることが多い。


それらのほとんどは炎症を持っています。
「ここに痛みがありますよね」といって
100g程度の軽い圧をかけられても
「なんでそんなに強く押すの!!」と怒られてしまうことがある。
炎症がないところを同じ100gの圧で押すとまったく痛くない。
そのときに上記のような部分が実は自分が気づいていないだけで
非常に強い炎症を持ち続けていたんだと気づいて驚くのです。


ちなみに筋膜の癒着の度合いが激しいと骨化したり、
血管やリンパ管を圧迫し体液の流れを弱めたり
(関節部にしこりがたまると体液の流通を大きく阻害するようです)
長年栄養素が少なくしか送り込めないと筋肉部が虚脱状態になったり。
そのようになると神経が幾分かまたは完全に麻痺して痛みがわからない。
神経が働くためには神経の流れるラインの正常化と
神経を働かせるための十分な酸素と栄養素が必要だ。
まったく痛みがない状態では強い炎症を起こした部分に血液を集め
栄養素で患部を満たし壊された組織を再生する治癒を起こしにくい。
このようなときは回復まで手間隙がかかります。
それによほどの施術の力量がないと対応が難しいかもしれません。



このように慢性的な腰痛などを感じる方には
患部のみの痛みが強く感じられてしまいます。
他の問題部位が見えていないことがあります。


ですがプロの目では、
隠れた痛みを掘り出していきます。


というのは主訴に関連する隠れた問題部位を放置しては
腰痛改善の成果が目減りするし成果も一時的になります。



隠れた問題点が複雑に絡まり相乗して患部の痛みがでてくるのです。


そのような腰痛になる仕掛けを考慮していけば、
慢性腰痛の症状も結果がでてきやすいようです。


実際に痛みを訴える患部に一切手を触れないで
本人が気づかない隠れた問題箇所を緩めただけ。
それでさっきまで感じていたつらい腰部の痛みが
うそのように消えてしまうこともあるのですよね。




つまり施術の勉強した経験がない方には
「隠れた問題部分が現在出ている慢性腰痛などの症状を下支えしている」
「下支えして症状を改善すれば慢性腰痛などの主訴が治まることがある」
ということが施術の一般書に詳細に語られることがないためわかりません。


それにより、
「左腰のしこりを解くことは可能なのか?」という質問を
私どもに投げかけざるを得ません。




確かに状況にはよりますが患部の筋膜の癒着部を緩めるのはできます。
筋膜の癒着部とは、
要はゼラチン質からできている瑞々しい筋膜は伸び縮みする。
プルプルッとするおやつで食べるゼリーのような状態です。
それが筋膜部のゼラチンの圧着された後に冷え水分も不足。
乾いた板ゼラチンのように化けたのが筋膜の癒着ですから。
板ゼラチンも、
お湯をかけてぐるぐるとかき混ぜれば溶ける。
同様の現象を体内で起こせばよいのです。
筋膜部に摩擦熱をかけて硬化した部位を溶かしてもいいし
筋膜の癒着部に熱い血液を患部に流せるようコントロールしてもいい。
そんな計算をして(固まったゼラチン=癒着した筋膜)を解いていく。


筋膜が解ける現象は
物理的なものとして捕らえられる一面を持ちます。


だからもし簡素に返答したいときならば
「状況にもよりますが技術がしっかりしていれば対応できることが多いです」
といってもいいのでしょう。



人間はお菓子のゼリーとは違って精神的な緊張やストレス、
パターン化した自らの筋膜の癒着を促進させる動きを手放せない、
など他にも厄介な同時に改善すべきものもあるのですけど。。。
それにもまして隠れたお客様自身がいまだ気づいておられない
患部に関連する問題箇所が多数あるのです。


独自に丁寧な見方を積み重ね
すでに数多くの臨床例を持ち、
一筋縄ではいかないケースを対処してきた先生ならば、
自信満々「大丈夫です」など安易なことはいえません。


一度ボディチェックさせていただければ、
状況把握の精度が向上します。
自身で隠れた部分が感じ取られ、
施術を受けて筋膜が緩む様子もわかる。
そうなったとき初めて自身がこの施術を受けて
将来的に「どのような本格的な成果を得ることができるか」が
想像できるようになるでしょう。


そのようなデモ・セッションが最良の情報提供となると思います。
デモンストレーションセッションを今は時間の関係でできません。
ですが後日研修に入ったとき新規の方々にデモを受けていただき
隠れた問題点と向かい合う機会を提供できればと考えています。


ちなみに隠れた慢性腰痛の問題点を緩める手技テクニックは?
先生ごとに用いるテクニックは違うのですが、
個人的にひとつのテクニックにこだわらない。
それぞれのテクニックの適用を見定めておき
お体の様子を観てどれを使うか選択していく。


そのような対応でよいと思います。


たとえば解くときに左側大腰筋はオステオパシーのカウンターストレインで。
右側腸骨筋もカウンターストレインというテクニックで。
左側ハムストリング筋は筋膜リリースをするためのマッサージ。
また右側腸脛靭帯や右側大腿筋膜張筋と右側小臀筋等が硬いときは、
股関節のずれが生じてますため股関節を調整するモビリゼーション。


効果的なテクニックの連携で、
各部位を解いていくわけです。


長年の経験と知識から
・施術の安全性を考慮し、
・痛みを少なく抑えます。
・効果を引き出していく。
という命題があるのでそれにかなうような工夫を常に加えています。
一時も休まずに進化させるようにしていきます。



最後に・・・
そこまで隠れた部分を掘り返さなくても
いいのではといわれる方もいるかもしれない。



ただ、私が私の身内に対して施術をするなら
100%ちゃんとその部位まで掘り返します。


重箱の隅をつつくようだといわれても、
その部分の解放した後に起こる変化を
見たことがあればそうせざるをえない。