いったん疲労し切ると、少々の休憩では回復しない。

図書館から【うつからの脱出―プチ認知療法で「自信回復作戦」】という本を借りてきました。


うつからの脱出―プチ認知療法で「自信回復作戦」


自衛官であってカウンセラーでもある著者。


うつに関しての説明がわかりやすい。
それに広く網羅されたフォーカシングや動作法やEFTや
その他いくつかのテクニックを含め概説してくれています。


そのなかで興味深い「人は疲れると」という一項がありました。
そちらの内容は以下のような感じ。




<<<<<


軍隊が重い荷物を背負い行軍する。


そのときに休憩を入れるペースが問題になる。


60分ごとに10分の休憩を入れるか、
180分(3時間)ごとに30分にするか、
300分(5時間)ごとに50分にするか。


どれもが60分の稼動に対し10分休むという条件は同じ。


結果的に、
60分ごとに10分の休憩を入れるのが、
兵士が疲れをためないで長距離が歩ける。


300分(5時間)ごとに50分の休憩をとっても、
ほとんどの兵士が疲労回復することができなかった。


人間は、疲労が少ないときは少しの休憩で回復する。
いったん疲労し切ると、少々の休憩では回復しない。


ということがわかる。


>>>>>



なるほど。


こまめに休憩を取ると長距離行軍をするときは適しているのか、
っていうことがわかりました。


疲労し切るまでいくと、
筋肉が休まらないというだけではない。


人体はトレーニングをするときに、
真っ先に神経を繊細にさせていく。
感度のよい神経にならねば筋肉が作動するときに、
自らの動きで筋肉組織を破壊しないようにするための
リミッターを先に育てておかないとならないからだろう。


人間を催眠状態にして筋力のリミッターをはずせば
たやすく倍以上の筋力が取り出せる。


潜在的に熊やトラなどに襲われたときには筋肉の働きの制限を解除し戦う。
または逃げる。
そんなときにしか最大限の力を使わないようにしている。


それは筋肉も使い切りすぎれば、
筋肉の組成組織であるたんぱく質がこっぴどく壊れ、
またリミッターをはずしすぎれば神経系統も壊れる。


そうならないようにするためにリミッターがある。


疲労し切るときは気づかないうちにそのリミッターに差し掛かり
神経系の高まりはなかなか落とすことができなくなり、
筋肉組織もたんぱく質が壊れる高熱と加圧で引きちぎられ回復困難になる。


これは原始人では外的に対して自分が防衛力が低下して
攻められたらもろい状態がつづく。
危険な状態です。


そこからうつを発生させる<感情のプログラム>が一斉発動するそうです。
そしてその感情のプログラムの詳細が語られていました。



これらの説明の畳み込みがとてもわかりやすかったです。
うつの症状が続く理由付けが腑に落ちてしまえるために、
「なるほど、なるほど」とうなづきながら読めてしまう。


うつの症状が起きるためのストーリーが読めている著者。


そうしみじみ感じます。


うつに対応するためには、
行軍を長時間続けて肉体的にダメージを受けているために、
肉体面でのアプローチを積極的にしていっていただければ、
効果も高まると思います。


幾度かうつの傾向があるお客様と接してきて気づくことがあります。


内臓部分の極度の硬化や
起立筋等のバランスの乱れによる虚脱姿勢傾向や
呼吸器や循環器などに関係する場所の特定部分が
自力ではリリースできない硬さがあるときも多い。


そのような場所を筋膜リリース等で施術で対処して
いったん疲労し切り少々の休憩では回復しないところをバックアップ。
なかなかの成果がでるケースもありました。




余談ですが、WIKIPEDIAの「たんぱく質」のページを読むと
「生命はタンパク質の存在様式である」とか興味深い内容がたくさん。

施術をするに際してたんぱく質の性質を把握すると
イメージが深まるので、ぜひ。



http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%AF%E8%B3%AA


ちなみに私の知る施術関係の先生でかなりの力量をもつ方々は
自然科学のジャンルと歴史などの分野に非常に造詣が深いです。
施術の本には書かれていないようなミクロやマクロの視点が
そのようなところから培われていくのですよね。