尾骨の骨折による影響と対処についての私なりの考え方

尾骨の骨折による影響と対処についての私なりの考え方
すでに尾骨を骨折して数年経過した場合では
尾骨矯正をするときに大切なことがあると思います。



尾骨の骨折をした。
そのときの理想の対処は放置しないこと。
炎症がある程度おさまったらすぐに尾骨矯正を受ける。


その矯正は患部が衝撃を受けたときの周囲の筋や靭帯の膜層が
不ぞろいに並んで萎縮しています。
仙骨尖部を含め緩めていく操作をします。
これをしたかどうかで姿勢がどうなっていくか、
その後の経過が変わっていくように思います。


尾骨は人間にとってすでに仙骨部にその役をまかせ、
小さな骨に退化したものです。
ただ未だにその役割は重要です。
脊椎の並び全てのバランスを整えるような機能を
持っているように思われます。


だから尾骨に歪曲がある方の身体の状態をみると
その多くの方々に脊椎自体に同様の歪曲が見受けられたり、
脊椎全体が椎間板が圧迫され縮んでいるように思われます。


つまり尾骨骨折をしたとき、
尾骨矯正をしていただける環境がなければ、
そのままにしてしまいます。
しばらくすると尾骨骨折部の炎症は収まるのですが、
上述した姿勢の歪曲状態はそのまま。
その後の姿勢に影響を大なり小なり与えていくのです。




それではカラダの芯が固まった緊張状態で、
交感神経が常に優位に働いてしまうことに。
夜間の就寝時に、副交感神経が優位になると、
心臓のリズムは弱まり消化吸収が活発になります。
そして筋緊張が緩められて一日で作られた筋膜のしこりを緩める。
精神的にもリラックスできる。
副交感神経が優位の状態ではそのような作業をしてくれるのです。
それが尾骨に問題がある方をチェックすると、
うまくグラウディングした感覚が持てません。



そして交感神経が優位状態から副交感神経を優位にするところへ
スイッチすることが苦手になるようです。


交感神経とは活発に活動するためにエネルギーを消費していくモード。
副交感神経ではエネルギーを蓄積して傷ついた肉体を補修するモード。


つまり交感神経が優勢な状態ばかりですと、
体の緊張が抜けずにエネルギーが浪費され、
次第に呼吸が浅くなり憔悴してきてしまう。
体調が磐石ならどっしり構えて対処できることも、
エネルギー残量が減少するとそれを持っていかれないように、
一生懸命にならざるをえない。
精神的にもちょっとしたことが
やり過ごせずに気になってくる。
これはなってみればわかりますが、
意外にしんどいことなのです。


施術を受けていただいた方のなかには、
施術を受けた後に少しずつ物事に動じなくなってきたという人がいます。
それはもともとのその方の性格が現れてきたのでしょうね。




ではちょっと具体的に
尾骨を骨折した状態の方のイメージ姿勢をみてみましょう。


下記の左図の姿勢になります。
右図の理想的な骨格の並びでは、
足のくるぶし・股関節・耳の穴が綺麗に並びます。
左図の前後湾曲した骨格の並びでは、
カラダを横から見た中心線が
膝部が前にずれつつ、
脊椎が押しつぶされたような感じが見受けられます。


この左図の姿勢を長年にわたり継続していると、
カラダの筋肉がこの姿勢を維持し続けるような
記憶合金のような状態になる。


ritui.jpg



骨格がゆがんで傾斜している脚部、
その上に乗せられた骨盤。
このような骨格では本来働くべき
背部にあるアキレス腱などの腱や靭帯のテンションが異常になる。
常にどこかの筋肉を骨が傾斜して倒れ込んでいる状態を
つっかえ棒として支え続けることが必要になるわけです。


そのようなつっかえ棒代わりの筋肉が記憶合金なって、
自分の意志の力では弛緩させたりできなくなっている。
それも結構これが強烈な勢力を持ち、
周囲の柔軟な筋肉もこの記憶合金のようなものに広く支配される。



軽度の尾骨捻挫程度なら、
その方のバランス修正能力が優れていれば自然に理想姿勢に戻れます。
ですが尾骨の骨折という大事をしたときは、
体の中に節々にこの記憶合金のようなものを入れて支えている。
そしてこの記憶合金は支え材にもなる。
だが同時に体を歪曲した状態に元に戻す性質もある。


尾骨骨折をしてゆがんでいる骨は尾骨だったかもしれないし、
その部分に痛みや引連などの不快感があるのです。
ただその部分を解くだけでは、
なかなか体を元通りにしづらい状態になっているときには、
尾骨矯正に先立って、
体を歪曲させる状態に引き戻す筋肉群を処置したほうがいいでしょう。



それにこれらの記憶合金化した筋肉に頼って体を支えるよう
姿勢を決める神経群が書き換えられてしまっています。
これらのプログラムを訂正し理想的な立ち方を覚える。
そのようなステップもあったほうがいいでしょう。


ただその対処はかなり手間暇がかかることです。
相応の技術がなければ手間隙かけてもリセットできません。


非常に長い施術時間を要しますし、
施術者にかかる負担も大きい。
だから非効率的だしということで
施術者によってはあまりこのようなことは好まれないですし、
そこまでするのは「一般的ではない」とされるかもしれません。



ただ私は愚直なまでにいままではこのやり方にこだわってきました。
それで成果もあがってきていました。


なのでこのような対処の考え方もあるのですよ、
という一例に過ぎないのですが、
もしいろいろと他で試されて成果が芳しくないときには
考慮していただければと思いまして解説いたしました。


そのような作業をしていただける施術家を探し出せるかどうか。




これはご縁があるかどうかの問題にもなりますため、
一筋縄ではいかないこともあります。



そこは自身の大切なお体に関わることです。
時間をかけてがんばっていい先生を見つけていただきたいと思います。