首コリと腰痛を改善させる要点

脊椎の並びを頚椎から尾椎まで観てみます。


すると
頚椎は前湾曲
胸椎は後湾曲
腰椎は前湾曲
仙椎は後湾曲。


というような感じですね。


後湾曲している胸椎は肋骨・仙椎は骨盤という
「骨でしっかりと立体化」されている。
それゆえに動くにしても胸椎が肋間筋が柔らかい人で数センチ程度で、
仙椎はほとんど外部から動いているように見えないほどの動きです。



前湾曲している頚椎と腰椎は骨で立体化されておらず、
それゆえにこの頚椎と腰椎は動きの要となれるほどの
大きな動きが取れる。
ただ逆に際限なく動いてしまうと、
デメリットも発生してしまうだろう。
動きすぎを許しすぎればぐらついて不安定。
姿勢が決まらない。


そうならないように、
頚椎には項靭帯という靭帯、
腰椎には胸腰筋腱膜があります。



項靭帯。
この靭帯は首の後ろに頚椎全体をつなぐように存在する靭帯です。


たとえば馬の頭部と頚部の重量はおよそ136Kgあるといいます。
これほどの重さを常に首の筋肉で支え続ければ、
当該する筋肉はダメになってしまうだろう。
筋肉は一定の場所の筋肉を使いすぎれば疲労が筋膜の癒着として蓄積し、
いずれ自らの首を自らの硬直した筋肉で締めてしまうことになるのです。
そうならないように馬の頭部と頚部を通常筋肉では支えていないのです。
主に項靭帯で頭部と頚部を前方にのめらないように支えているのです。


つまりこのときは項靭帯という靭帯は、
それを取り巻く周囲の筋肉は弛緩して
ピ〜ンと張っている状態です。
首の筋肉は項靭帯と頚椎という骨で頭部や頚部の重さを支えているため
緩んでいます。


このシステムは人間も馬も似たようなもの。
項靭帯と頚椎を活かせば
頭部や頚部の重さを首の筋肉を緩めたまま支えきれる。



これと同様なシステムが腰椎にもあるのです。
腰椎の前湾曲が胸腰筋腱膜部で支えられているのです。
「腰の筋肉をピーンと伸ばしてくださいね」
「ここを萎縮させてはいけませんよ」
と立ち方をチェックするときにお伝えしています。
それは頭部や腕部を含めた胴体の重さを楽に腰部で支えるには、
胸腰筋腱膜を活かしていく必要があるからです。


首の後ろの項靭帯の支えで頭部や頚部の重さを支えたと同じように、
腰部の後ろにある胸腰筋腱膜の支えで胴体などの上半身全体の重さを支えるには。


たとえば。。。
首の後ろの項靭帯を使いましょうということを
中国武術的に表現すれば、
「虚領頂勁」でしょうか。


たとえば。。。
腰の後ろの胸腰筋腱膜を使いましょうということを、
中国武術的に表現すれば、
「鬆腰」という腰を萎縮させずにゆるめようということでしょうか。



私どもでは、
対面する相手の方が、
「項靭帯を使えているな」
「胸腰筋腱膜を使えているな」
とか、
逆に使えていないなとか、
離れた位置から観察して読み取ります。


項靭帯を使えていないポジションに頭があれば、
頚椎や胸椎上部の関連する筋肉が常に頭頸部の重さを緊張しながら支え萎縮し、
該当する椎間板も部分萎縮しているということがわかります。
首のこりや肩の張りなどが出てしまう状態です。


胸腰筋腱膜が使えていなければ、
腰椎の前腕がきつくなったり捻転し、
理想的に上半身を支えられる位置からずれてしまっています。
そうなれば腰部の筋肉を緊張させて支え続け、
そちらの筋肉を硬化させ萎縮させてしまう。
該当する椎間板も部分萎縮してしまうでしょう。
腰痛や臀部や仙骨部の痛み、それに坐骨神経痛などが生じているでしょう。



ただ胸腰筋腱膜の具合を衣服を着た胴体をみるだけで状態を判断するのは難しい時があります。
特にだぶだぶのものをきているときなど。
そのときは膝の曲りやつま先の向く方向や足の指の地面を食んでいる様子で
正確な見当がつきます。



そして要するに
「項靭帯や胸腰筋腱膜を使えばいいんじゃないの!」
と人間の体の用法にそった機能発揮をさせるならば、
姿勢も伸びやかになるし体を支えるときの疲労感も減少します。
それに不要な首コリや腰部の不快感なども軽減していく方向へ。


ここが「あっ、そっか!」と少しずつ頭だけでなく、
体の運動神経レベルで気づいていってくれたときに、
いつまでも、いつまでも、体の状態はよい感じです。