百会刺激による急所のスイッチ・オン作用

格闘をするとき。
みぞおちを打たれると、しらふであればもんどり打って苦しがるのは必死。


だが泥酔に近い状態のときは、
ちょっとやそっと撃たれただけでは動じたりはしない。


このようなことは、なぜ起こるのでしょうか。


みぞおちという急所といえる場所も、
その部位が活性化している状態でなければ反応しないのです。
泥酔状態では体内をめぐるエネルギーの滞りが生じています。
急所は生きるのに欠かせない守らねばならない部分。
撃たれれば守ろうとする防衛反射がおきるのが生理的な反応。


だが体のなかのエネルギー代謝が悪くなると
急所を守ろうとするスイッチが入らなくなる。


それが泥酔の時にみぞおちを打たれても平気でいられるメカニズムです。


ただ泥酔状態でなかったとしても、
体質が冷え性であったりエネルギー代謝が悪い傾向があるとき。
気づかないうちに急所を守ろうとするスイッチが甘くなるときがあります。


つまり急所が張っていたり緊張するようなダメージを受けている状態でも、
急所を守ろうとするような反応があまり生じないようになるのです。
もし健康な肉体を持つものが急所に張りを感じたのならば、
ちょっとした緊張でもかなりシリアスな精神状態もぐらつかせるほどの
違和感や苦痛を感じてしまうのです。
そのときの苦痛や不快感は自らの身を守るための良質な反応です。
そのようなメッセージを受けて肉体的改善を促して生命を維持している。
だから健康な人は健康を維持しようとするために、
ちょっとの体の張りなども鋭敏に感じて苦しがったりもするのですよね。


本日、コンテンポラリーダンスを長年舞台でなさっておられる方の施術をしているとき。
内臓を下垂していると、
大腰筋を使いこなせなくなるし骨盤を閉める動作がしづらくなるから、
逆立ちをしてみるといいんですよといいました。


三点倒立がお勧めと申したのですが、
ちょっとひとりだけで三点倒立は難しいとおっしゃられたので
では・・・鋤のポーズでもいいでしょうといっていたのですが。
胸椎を刺激するのには鋤のポーズがよろしいのですが、
三点倒立にもそれ特有のメリットがあるのです。


三点倒立をしたときに頭頂の『百会(ひゃくえ)』というツボを
強烈に刺激することとなります。


この百会ですが、
急所にエネルギーが流れにくくて問題が生じていても気付けない危険な状態から、
問題に気づくスイッチを即効で入れることができるポイントになる部分です。


だから物騒な話ですいませんが、
もし泥酔いで絡んできた人が襲いかかってきてみぞおちを叩いてもダメだったとすれば、
手のひらで頭の百会部分をズンッと垂直に入るベクトル圧をかけるといい。
さっきまでは平気な顔をしていたのが嘘のようにもんどり打ち倒れます。


つまり適度の百会を刺激する三点倒立などのポーズをとるようにすると
体に多く点在する急所のセンサーのほとんどのスイッチをオンにします。


いつの間にか硬化した筋肉などでスイッチがオフになりっぱなしですと
ゆくゆくは呼吸が浅くなったり血行が阻害されるなどで体が麻痺しても
徐々に麻痺して日々の変化量が小さく気づかないうちに大変なことになる。


泥酔い状態でなくとも健康を害せば急所を打たれても反応が鈍い。
急所を押さえられても固すぎて入ってもいけないほど緊張硬化してしまう。
これは恐ろしいことです。
ただ、体調が悪い方にはときどき見られることで、
自身ではそのような状況である自覚がないのがほとんどなのです。


そうならないために体の生命力を維持するに大切な急所のセンサーを
百会を刺激することでオンにして体の自衛反応が正常化しておきましょう。