リスクマネジメントできない施術はしないことです

尾骨の矯正についてメールで質問がありました。


とりあえず自分の尾骨が曲がっていることに気づいたとのことです。
私はチェックさせていただいたわけではありませんので詳細はわかりません。
ただし尾骨を自力で治したいということを力説されていたので、
危険があるのではないかと思い専門的なことを書かせていただきました。


『全脊椎の作用と性質』という書籍からチェックすると、
いくつかのことが書かれておりますので、
一部だけ抜粋します。


■尾骨を中心とする影響関係と症状
・尾骨は退化していて、交感神経・知覚神経の終末点。
・呼吸器に故障を起こすと尾骨に異常が現れる。
・尾骨の曲がった側に頭部は傾く。頭部が傾いた側に尾骨は曲がる。
・尾骨の操作は、頭蓋骨が動くので、脳・延髄に影響を与える。


■尾骨を中心とする調整法
・尾骨を強くもんだり、はねたり、叩打を加えると、15分後に座っていられなくなるほど下腹部が張ってくる。
・尾骨は、脳の知覚中枢である。鍼灸では、会陰は知覚神経の中枢で、急激な刺激を与えると脳の知覚中枢が侵されて全身の知覚が麻痺を起こすとされている。
・体のどこかに麻痺があると、尾骨の先に少し触れただけでも悲鳴をあげるほどの過敏がある。
・長強を軽く擦過すると頭蓋骨の形が変わる。頭蓋骨の形が変わると性格も変わる。
・尾骨の姿は性格に影響を与える。


ここからは私の考えをふくらませたものを書かせていただきますね。


尾骨が変異していると、
整体的に観てみれば
脳の知覚中枢が過剰に緊張を強いられた状態が四六時中続いているわけです。
それが性格や体の不調にも問題を落とすことがあるというのです。


尾骨の回旋があると性格までねじれ、右回旋は興奮性が高くて、何かの拍子に拳を振り上げてしまう。
左回旋は感応性が高く、強情。
前に曲がると脳が抑制されて、ノイローゼ(広く欝などの精神疾患にもなりやすい)や小児麻痺。
というようなことが起きてしまう。


尾骨が曲がることで、ひとりでにこのような性格を植えつけられています。
たとえば尾骨が右回旋していた人がいれば、
右肩に力が入って持ち上がり、
つねにそこの力みが抜けない。
そのような人の性格が興奮性が高いのですね。


尾骨が正位置に矯正されると、
興奮しづらくなりストレス耐性が向上したという人もいました。
私が施術をする上でも観察されています。


尾骨が肛門側に曲りますとノイローゼのような精神的な欝を体験しだす。
そのようなことがあるので尾骨の曲がり具合をみて、
尾骨の変位がきつければ精神的なアプローチだけではなく
尾骨の矯正をもノイローゼの改善のためにおこなうことが
メリットがあるのではと考えたりもするわけです。


それに尾骨の動きが出てきた人の頭蓋骨の形が、
やはり徐々に扁平した頭部が理想の球体的な立体物へと変容していく。
尾骨だけの修正された影響だけでおきているわけではないでしょうが、
嬉しい変化を感じられることがあります。


以上のように尾骨矯正をするメリットいろいろとあるといえるわけです。


それに私どものような専門で施術をしているものは、
これくらいのことを念頭に置いて調整しますので、
メリットばかりではなく危険性をも理解しつつ対応するのです。


ちょっとした矯正ミスが生じても、
人体に悪影響をあたえるものです。
そうなったときの対処法を持ちつつ調整している。
ミスが無いように務めていても100%は困難です。
プロ意識があればそのようなリスクマネジメントを備えているのが当然です。


そこまで含めて対処できなければ安全な矯正ではなくて、
症状を悪化させて取り返しが付かないこととなる危うさを秘めた綱渡り状態。
それではお金をいただく資格はないと思います。


だから施術の知識や経験のない一般の方が、
安直に尾骨が曲がっていると気づいたから
矯正しようとするのは論外といえるでしょう。


本書には対応法についても書かれています。
ですが上述した文章は一般の方が目を通すので、
危険なことをなさらないようにするため
具体的な調整法は伏せさせていただきました。


体全体を観ることができないならば、
ミリ単位の微調整の必要な尾骨の矯正は無理です。
的確な状態の判断なしにおこなわれるアプローチは
悪化の一途をたどる確率が高いですし、
人為的に壊された状態を修正することは難易度が非常に高くなりますから、
それに対処できる先生は少ないですからね。



つまり単純に尾骨が曲がっているということに気づいてしまったから、
それを骨格矯正を自分で行うようにするにはリスクがあるということ。
どうしても気になるようであれば、
広くネット等で尾骨矯正をなさっておられる先生をお調べいただき
アポイントをおとりいただくと良いでしょう。


そして尾骨の矯正ばかりが難しいものではなくて、
他の部位にも矯正を施す水面下には専門的な意味合いがあるものです。
だからあまりにも安易に一般書の健康関連書籍で、
「お腹の底の硬いしこりをぎりぎりと強く押しこむように押しなさい」
とか書かれている文章を見てしまうと、
これって一般の人がやってみてリスク高すぎじゃないの?!と
冷や汗が出てきます。
例えばお腹が腫れている原因が
卵巣が腫れていたり、
腹部の大腰筋の炎症部に直接圧をかけて
痛覚知覚が必要以上に開いて痛みがずっと続いて引き連れていったり。
他にも腹部の強圧は絶対に避けるべきことってあるんですが。。。
^-^;


そのようなこともあるので、
「ええ〜い、考えるなんざ面倒だ。やってみないとわからん!」
という勢いでやっちゃうのを避けたほうがいい場合もあります。


尾骨の矯正についても、
そのようなものであると了解していただけたら幸いです。^-^)