小胸筋のリリース

デスクワークを長時間していると、
腕が肩から前側にでてきてしまう。


ちょっと背中が張ってきて猫背に。
脊柱起立筋群が硬くなって後方へ
しこりが出っ張るようになります。


この姿勢は呼吸を制限させられる。
また重心が下丹田に落としづらい。


女性にしてみれば、
スタイルが決してよく見えるものではありませんね。


そのときに硬くなる腕と胸の付け根部分。


そこには「大胸筋」とその下層に「小胸筋」があります。


できましたら解剖学の図で大胸筋と小胸筋の起始と停止を確認して下さい。
小胸筋という筋肉の【停止】が肩甲骨の烏口突起であることがわかります。


するともしこの小胸筋が萎縮しているならば、
【起始】が第3〜5肋骨で烏口突起部分がこの起始の方へと引っ張られます。
そうすると肩甲骨が外側へと外転したままになります。
かなりの強制力があり肩甲骨を自由に動かせなくなる。


通常のマッサージでは大胸筋部分くらいしかアプローチが出来ません。
その理由は、
肋骨前側周囲の筋肉が炎症を持っていれば、
そちらを外圧をかけて下手にとこうとしてはかなりきびしい痛みが出る。
大胸筋でさえ耐えがたい痛みがでるのです。
その下層にある小胸筋が癒着しているなら、
そちらを外圧をかけてゆるめようとすれば、
大胸筋を緩める比ではない痛みが出ます。


もちろんある程度の柔軟性が残っているならば、
軽微なストレッチを定期的にかけることで緩む。


それにセルフマッサージのようなやり方もしやすいものですから。
対応ができるでしょう。


ただすでに何年も肩が前に回りこんでしまっている姿勢をしている方の小胸筋は、
萎縮の度合いがかなり強くなっていることが一般的。




そうなるとストレッチではびくともしないどころか、
かえって硬化し血流が低下した虚弱な組織ですから
筋断裂や剥離などを起こしやすくもなっている。
それにセルフマッサージでは、
付け焼刃程度の力以上は痛くて圧せられません。


そのためにそのまま深層の小胸筋がゆるまずに
呼吸が制限されたままでくらさざるをえない人も多々見られるようになるのです。


そういったときは、
施術でちょっとだけ強引でもしっかりとリリースする必要が出てくるのでしょう。


ただ小胸筋という筋肉の存在は、
大胸筋ほど知られてはいませんので。
そこを緩めるという発想をもてない。
そういったところはちょっとした盲点なのかもしれません。


でもこの小胸筋が肩甲骨の位置をずらして肩や腕を前にさせられることで、
重心が狂い続けてそれが腰痛や肩こりの原因にもなってしまう人も多くて。
精神の過度の継続的緊張にも影響があるので、
欝などの傾向が強い方々の多くもこの部位の筋肉が萎縮している。
小胸筋が硬化萎縮していると自発的な腹式呼吸ができなくなり、
肩で息をする様な浅い呼吸しか出来なくなる。
そういったことが精神的な耐性を引き下げているのでしょうか。



案外と小胸筋の停止が烏口突起にあるということに、
気づいていない先生もちらほらいますから。
注意が必要かもしれません。
先生がそこを気づいてなければ、
そこの不具合を改善させようなど、
思うようなことはないでしょうね。


ある程度、肋骨全体を動かせるようにしてからでなければ、
施術である程度強引に解くといっても痛すぎてできません。
いろいろと小胸筋の萎縮を解くには下準備をすべきです。


また硬さが強すぎないならばカウンターストレインで、
痛みがでないようにしつつゆるめるということもできます。



それに小胸筋を正常化させるメリットは数々あれど。
特に女性にとっては、眼に見えるうれしいきれいになるメリットもある。
小胸筋をリリースすると、下着のブラジャーの着け心地がよくなります。
そしてバストまわりを美しく保ってくれるようになるのです。
そして背中もすっきり見せることができるようになるのです。