指で解くか、道具を使うか

先日、私が道具を使って施術を進めていたときに
お客様がおっしゃいました。


『親指では、これって解けないのでしょうか』


実際に解いてみないとわからないことですから、
どうとも返答しようがないわけですが。


ただ深層筋の硬さをみれば回旋筋まで癒着が進んでいるほどなので、
こちらを指先で解いていくというのは難しいのだろうかと思います。


お客様は母指にて押圧を行うことで緩める方法を、
整体の専門学校に通っていたときに教えていただいたことでもった疑問でしょう。


私は、個人的に母指にておこなう押圧はあまりしたことがないのです。
そちらに関しては私自身が練習不足であるため
解けるかどうか言及すべき立場ではありません。


手で揉むようなことも、
あまりした記憶がない。


かつてのボディワイズの施術はとにかく痛かったのです。


ナックルを使って、
肘を使って、
膝を使って。



つまり深層筋まで解きたいので、
圧をかけたい部分は表層筋や中層筋ではないので。
骨盤部位を緩めるような仙腸関節の調整をすれば
その時点で表層筋や中層筋上部が緩められるから、
そうしてからその下にある部位を緩めようとする。


ときとして深層筋の硬さは、
冷たき岩石のようなもので
解剖学の知識や臨床経験が浅ければ
骨と筋肉の硬化部分は解らないはず。


そのような冷たい岩石のような部分が関節の周囲にできてしまう。
骨に筋肉が付着している部位にできてしまう。


かつては、
これに太刀打ちしようと母指や手掌での方法を取り組もうとしました。
ただそこにはおそらく伝承されるような経穴をとらえ経脈をさかのぼり、
血管を止血させてから一気に血を流すような指圧の独自の手法を学ばなければ困難。
そう考えました。



闇雲にマッサージを加えては、
意味が無いどころか害になるのですから。


結果的に、
摩擦を使い深層筋の硬さを緩めていくよう太刀打ちする法がないか。
それを独自に捜索しなくてはならなくなったわけです。


かつてのお客様方に痛いと言われ続けていたとき。
痛いからやめてくれと言われて、
結果的に痛くても解けるならば、
というお客様だけが残りました。


もちろん課題として、
どうすれば痛みを抑えられるか?


それは私の身体操作を練ることでクリア。
痛みは以前と比較すればずいぶん低減したはずです。
そのように以前からお通いいただいていたお客様に
おっしゃられていましたので。


今は、グリップ力をあげて摩擦係数を上げるために
滑り止めマットを敷き詰めたりしてます。
これで圧の安定性や浸透力は飛躍する。


そして磨石(すりいし)という
旧石器時代に木の実をすり潰すときに使うものと同じような仕上がりになったもの。
そちらをつかうのは摩擦面を拡大してより痛点に局部的な一点刺激をさせないようにして、
痛みを軽減させる意味もあります。
道具の一つには同時に小さなザラザラな小石で作り上げているため、
数多くの摩擦を上げるようなスパイクを用いて効率をあげてくれる。


道具の一つにはいっぺんの対角線が25cmの長さ。
こちらを使うことでのトルクをかけられるようにもしている。


生み出された道具は単純なものですが、
私は個人的に結果の善し悪しは率直に観ますから、
当社比でもし母指で押してとこうとするよりも
はるかにすばらしい成果がでてくれているはず。



ただ指で圧をかけるときに、
針をさすときに補瀉をするかなごとき、
内部の虚実のエネルギー的なバランスを調整することもできる。


貴重な施術効果を引き出すような高度な手技となりましょう。
手の指先で患部を触り続けてきてわかることもあるはずです。


そのような側面につきましては、
現状の私の手技では切り離しているところがありますから。



つまり指で解くにはそちらのメリットがあり、
道具を使って解くにはそのメリットがある。


それぞれをケースバイケースで、
用途別に使い分けられれば最良。


そのような眼で、
判断していくといいのでしょうね。