深層筋が固まると、場合により骨よりも硬いものになっているのです

先だって遠方より、私の施術の仕方を教えていただければと、
お越しになられた方がおりました。

簡易な施術の仕方に、今の私のやり方を落とし込めればいいが、
それでも施術者と名乗る方がやるならば、
十分な有効性を発揮できなければ意味が無い。

一般の方が学ぶレベルにまで、
有効性を少なくして適用を限定すればいいが、
それでいいものだろうか?

すでに身体的に大きなダメージを得ていて、
ちょっとした施術の際のミスで多大なダメージにもなる。

それを改善させる有効性を発揮させるには、
どのようにすればセーフティかを自ら考え
臨機応変に対処できなければ話にならない。

施術とは治す手前に、現状を壊している破壊が入るので、
慎重に膠着状態化した部分に分け入って、
その部分を緩めたらどのような事が起きるか。
そのような想像力を働かせなければ崩壊する。

深層筋を緩めると、
そこは骨格の近所でもっとも体を支える役を担うところですから、
下手に抜いてはならない場所や、抜きすぎてはならないという量的な判断など、
現状を観察して適量を見て行かなければならないのです。

このような見立て、というところができるようになっているならば、
あとは単純に目的の場所を加圧し摩擦熱で溶かしていくなどは、
時間をかけて丁寧に対処していけば突き進むのはどなたでもできる。
もちろん圧のかけ方や、
または私は常に圧をかけるときに意念というものを使うことが、
効果的にリリースさせる秘密なんですが、
独自に工夫なさればいい。

もっとも難しいところは、
どれだけ体を見て中身を透視できているか、
そしてどのような筋肉や骨格の係り受け状態で、
そのひとつを緩めればどうなるかを立体的に見ているか。

こちらのほうが圧倒的に、重要です。

この目がなければ、
解き方を考案も出来ません。

ここが本当の一回ずつの施術を積みあげて、
ゴールに近づくようにするためのものです。

ですからこのところが理解なさっておられる方ならば、
私が工夫した圧のかけ方を参考にして、
パワフルにリリースをかけていくのもいいでしょう。


もしこのところが理解が不安なところがあれば、
私の施術の仕方を真似れば、
深部まで溶けてしまうため
しこりという体が歪んでていても支えてくれる支え材を失ってしまい、
その体はつっかえ棒を失った傾いた家のように崩壊することでしょう。
それは危険極まりないことです。




私が施術法を教えている先生がいて
来た当初深層筋を解いていますとおっしゃられてきましたが、
そのとき方を見れば表層筋と中層筋の上部程度しかアプローチされてない。
まったく深層筋が解かれていない。
少しも深層筋に触れてもいません。

だから「もう一回といてみてください」と、繰り返していくと音を上げられました。
実際に、ご自身がしていた施術で深層筋が緩んでいるはずだと考えておられていた。
だが臀部の仙骨部分の左右の広がりのでかさといい、
それは梨状筋からしてまったく解けてないことです。

でも、そのようなところに気づかずに、
以前、施術を習った時にこのマッサージの仕方で深層筋が解けると教わったから・・・。
とおっしゃられました。
なので解けているものだと疑ってはいなかったそうなのです。。。

でも溶けているかどうかは、
同じお客様が何度かよってきてもすぐに元に戻るのが困るとおっしゃられていることで、
深層筋までは解いてないなというのが、
その時点でわかっておりましたので。

深層筋へ少しでも変化を与えられれば、
その部分が固まるまでは相当に長い期間が必要ですから、
その期間に至る前に来てもらえれば、
施術効果を積み増しして先に進めます。

だから深層筋が硬すぎてという方を見ていた時、
実は深層筋が骨よりも硬くなることを知らずにいたため、
深層筋部分を骨だと勘違いしていたことで触らなかった、
ということが判明しました。

そこがわかって、お客様の身体を透視していた映像が、
実情に少しずつ沿ってきたわけですね。


ただ、これがわかった時に、
この方はあまりにも骨化した筋膜を解くのは負担が大きすぎですから、
普段の自分の施術にとり入れることはできないですね、と言って、
習いに来なくなりました。

これは本当にやってみればわかりますが、
普通は体を酷使しすぎて数時間と持ちません。
体力も使うし、集中力も、計算力も、フルに使い続ける。
数時間で、ゼーゼーハーハーですから。。。
特に体の捌き方ができていないかたは、
大変なことに陥りますし。

それでは施術院を経営していくために何人ものお客様を対応できないのです。
深層筋まで解けたらいいなと思いつつも、それを諦めるというのも、
それも判断としては理解できることだと思います。


私も、今の施術を続けるのは、
長くて一年程度だと思います。
体に響くからというのも理由です。
だから諦めてやめてしまった先生を、
間違っても責めるような気持ちにはなりません。

私は筋膜を緩める深部を把握できました(当社比ですが)。
そちらを下地にして次に進みたいというプランが昔からありましたから。
その下準備を進めていますし、それが整い次第、
ウエイトをシフトしていく。

ほそぼそとは施術の力を失わない程度の施術をしたとしても、
施術をしていくウエイトは少なくしていきます。

友だちの豊橋鍼灸のN先生が、
職業的に少し行き詰まりを感じていると申されていました。
それを聞く私が余裕があるかといえば、
そんなものはみじんもないのです。
実情は、私の方も精神的には彼と大差ないと思えてなりません。

互いに現状から次へのステップを目指して駆け上がろうという感じです。



施術とはこのような理詰めの見立てができるところまで伝えることが重要で、
京都にお住いになられているとのことで
簡単に伝えられるものとは違いますので、
お断りをさせていただきました。

私も新たに調べなければならないことも増えていて施術の研究に時間を使いたいので。
今は、たまたま、本当に時間がないというところもありまして。。。

深層筋をゆるめたいということ。

それができればかなり小回りがきくことですが、
正直に申しまして、
相当に深層筋が骨のようにまで硬くなる方の対応をするときは、
私が納得できるところまで解くには、
相当に負担が大きい。

私も、過去に深層筋を緩められるところまでいけたかなと思っては、
まだまだ、
思っては、
まだまだ、
というのをひたすらに繰り返してきました。

だから骨と深層筋の骨化とが取り違えられていることも、
そういうこともあるんですよねと、
にっこりとしてうなづけるのです。

ただそこまでしても施術って、・・・どこまで有効性があるのだろうか?

程度の差あれ
万能じゃない。

ですが一部の体質的に不安がある方の硬化した深層筋を緩めることを、
ドキュメンタリーにして描くことが出来れば、
実に興味深い適応力の広さを感じるでしょう。

ただ施術でなんでもできると豪語する先生がいて驚いたことがありますが、
そんなものでもないと思います。

たとえば心因性による身体の歪みなども多い昨今ですから、
簡単にいかないこともあります。
施術だけでは対応できないことも、
実際に多くあるのです。

そのような対応しづらいことも、
研究を深めていけば少しだけ取り崩せる。
少しずつ研究を深めていき対応力を増していくしかない。

でも、やっぱり心因性の場合には、
施術でアプローチするよりも、
ボディワークがわかりつつ、
心因性のものをも緩められるようなコーチング的手法などを学び、
そちらを利用して成果を出していくほうが効率的だと思います。