骨盤の垂直上に頭部を浮かべて

座りながら作業をするパソコンでの長時間労働


私生活で必需品になった携帯電話やスマートフォン


それらを利用しているハードユーザーのなかには、
ドライアイや首の痛み、肩こりや腰痛などにとどまらず、
自律神経系等に至るようなダメージが増えていると言います。


それはなぜでしょうか?


座っているときも、
立っているときも。
どちらの姿勢でも、
大切なポイントがあります。


そのひとつが骨盤と頭との位置関係。


私はフランクリンメソッドという体の使い方の本をみて、
とても感心したことがあります。


それは骨盤の底から噴水がでていて、
頭という球形のボールを水圧で押し上げて宙に浮かせている。
頭は骨盤底からの水圧をイメージして、
楽しげに揺れながら微妙に上下左右に動きつつも、
大きく骨盤の垂直上からずれることはないのです。


噴水.jpg


そのような絵のとおりの体感があれば、
とても理想的です。


ときとして臍下丹田の意識が強まれば、
キッチンにある半円ボール状な骨盤は、
頭部をうまくその穴に収納する体感に。


いずれにせよ骨盤と頭部の位置関係が、
垂直となり脊椎の椎骨の支えと椎間板全体のクッション力や
起立筋が効果的に頭を支えるようになっていればよい。


そうなれば顎に無駄な力みをあたえず、
全身を固めるような苦痛を与えません。


垂直に立ち上る脊椎の力は、
起立筋と脊椎の椎骨や椎間板等の骨の力により、
数トンもの重さまで耐えられるキープ力がでる。
素晴らしいクッション性は、
理想姿勢で整えられたとき
発揮できるものなのです。


だからこのような状態で、
できるだけ姿勢をキープ。


そのように心がけたいですね。



オフィスでノートパソコンー骸骨さん比較.jpg



それが、もしも骨盤の垂直上から頭が乗れなくなったらどうなるでしょうか?
たとえば、パソコンで作業をするとき座り方のクセでついつい前傾してしまう。
携帯電話やスマートフォンを覗きこめば、
頭は骨盤の垂直上ラインから離れ去り、
下へとこぼれおちてしまう。


そんなことにより、
頭という重さ5〜6キログラムほどもある、
自分の頂上にあるパーツが自分を苦しめる。


頭が骨盤から離れれば
こぼれ落ちないようにするため、
足腰に力を入れて踏ん張りだす。
そうなれば腹直筋が緊張して腹式呼吸はできなくなって苦しくなる。
結果、肩を緊張させて持ち上げ気味にしての胸式呼吸をして、
なんとか凌ぐようにするが、
すでにこれでは臍下丹田に重心はない不安定な状態だから疲れる。


それに背部の筋肉を使って頭が前方へこぼれ落ちていくのを防ぐための緊張を強いる。


通常は肩甲骨と肩甲骨の間あたりの部分に、
そこから下の長くて強い背部筋肉群を下に引くことで頭部の前傾を支える滑車のようなものがある。
これを有効利用出来れば楽に頭を支えられる仕組みなのだが、
そのような滑車の力を使えていない。


すると胸椎下部と腰椎上部当たりに後屈といって後方への出っ張りがでてきて横隔膜を引き攣らせ、
それ以下の腰椎が萎縮緊張させられて腰椎椎間板が狭窄(詰まる)したり、くさび状になっていく。
これもまた、脊椎神経にとってあまり良くない状態になっていくだろう。


胸側は落ちてくる頭の重みをかけられて詰まり潰れていく。
肩の位置や肩甲骨と鎖骨の位置が、
持ち上がり気味になりつつ前方向へと向い猫背気味になる。


ただいつしかこのような姿勢が続けば、
このような不良姿勢を楽にこなせるようにとしこりというサポーターを体にまとわりつかせていく。
そうなると、正常な姿勢で整えられた人間ならば苦痛でしかたがない姿勢も、
さほど難なくできてしまうようになる。


もちろん疲労感や息苦しさなどの不調があるのはわかってはいるのだが、
それも職業病かなとか、現代病かなと思ってあきらめてしまう。


ですが最近は、
そういったところが進み過ぎると、
吐き気やだるさ、不眠、うつ状態にと徐々に症状として現れてくる。


それにより整形外科や心療内科に通い薬も処方されるのだが、
一向に良くならない。


パソコンやスマートフォンなどでの不良姿勢での作業継続は、
自律神経系に最も直接的に関わる首への強烈な負担をかける。
そういったものが長期間続くことで、
あまりの体のつらさと不安や恐怖で
自殺にまで至るようなケースが増えてきているそうです。




整体でありつづけるとは、
整体院で調整を一度受けたらそれでずっとOKというわけではありません。


ポイントは、
日頃の自身の姿勢に気を配る。
そして不都合な状態であれば、
そうであることを敏感に感じ取り修正を。


そうやって改善を繰り返していくことが、
最も大事なことなのだと私は考えます。


施術などは、
そうする感性を磨くための補助だと考えてもいいでしょう。


なので日頃の姿勢を、
意図的に良好な姿勢を選ぶモチベーションが持続できている人がいいですね。


バレエや太極拳などの人に演舞が目に映り評価されるようなものをなさっておられると、
そのようなモチベーションが高い状態がキープしやすいため、
改善の上昇気流に乗りやすいものと思います。


ですがそのようなことをしておられなくても、
小さな鏡をパソコンのデスクに設置して、
良い姿勢であれば自分の笑顔が映るようにしてみてもいいでしょう。



自分の姿を理想に近づけようとする意識こそ、
我が身を救い出すセルフディフェンスになる。
そう、思いませんか?



ただ携帯電話以上にスマートフォンは、
リラックスモードのダラっとした感じで使う人がいます。
持ち手でスマートフォンを支えるため手や肩が固定され、
同時に文字が小さい表示で覗き込もうとすると首も固定。
それにかかる負担は、相当強くなるはずです。


なので歩きながらスマートフォンを利用するなどは、
容易に頚椎第一を詰まらせて自律神経系等を不調に。


ですから本当ならばノートパソコンをデスクで扱う以上に、
もっと細心の注意を自分の姿勢に向けなければなりません。


そのようなことで脳神経外科の先生が
うつ、や慢性的な不調を呼ぶ恐ろしい「スマホ症候群」というものが
爆発的に増えているといっているのでしょう。