ちゃんと、ちゃんとの募穴と背面兪穴

お灸をちょっと勉強してみようというお客様。


せんねんきゅうという手軽にお灸ができるすぐれもの商品があります。
使ったことはなくとも、知っている方も多いのでは。


ここでひとつ、経穴のとてもベーシックかつ大切な点について。


これはちょっとした経絡を扱う指圧などでも語られる重要項目のひとつですが、
体の前面にある募穴と背面兪穴という表裏の関係になるツボの存在があります。


背面兪穴と募穴.png
とりあえず募穴と背面兪穴の位置を押さえていただくため、経穴の名称は外しています。


募穴とは、経気の集まるところで腹部または胸部にあります。
背面兪穴とは、背面にある五臓六腑の名前が付けられた病の元になる邪気を抜き取って癒す。


Wikipediaの兪穴の解説に、
「兪の字は、▲、舟、刀の会意文字で、鋭くとがった刀で刳り抜いて作った丸木船である。
刳り抜いて作るところから、「抜き取る」の意味が生まれ、
病の元になる邪気を抜き取って癒す意味になった。」
と書かれている。
造船するイメージが経穴の名称に入るというのは面白い。
なるほどね〜とうならされました。


この募穴と背面兪穴の扱いは、
ときに募穴で、体の状態をチェックして、
それをもとにして背面兪穴で治療アプローチをすることで癒やす。
そのような流れでとり行うことがあります。


とにかく背面兪穴部分に温灸器のようなもので熱を加えると、
該当部の臓器が弱っているときなどは、大変に気持ちがいい。


そして実際にこの背面兪穴に適切な刺激を加えた後に経絡の虚実の推測をすると、
多くのケースでは状態が上向きに改善されていることが観察されてお客様も納得。


自律神経系の緊張が解放される。
そのとき交感神経の走り過ぎが抑えられ、
まどろみの副交感神経にスイッチが入り、
深くリラックスして眠くなりますからね。


つまり自律神経失調症として、自律神経系の緊張が大本で起こる肩こりや腰痛や便秘だけでなく、
めまい、冷や汗が出る、体の一部が震える、緊張するようなところではないのに脈が速くなる、
血圧が激しく上下する、立ち眩みする、耳鳴りがする、吐き気、頭痛、微熱、過呼吸
倦怠感、不眠症、生理不順、味覚障害といった身体症状から、人間不信、
情緒不安定、不安感やイライラ、被害妄想、鬱状態など精神的な症状が現れることも多いので、
これらへの改善が期待されるといいます。


実に頼もし、
ちゃんといつもアプローチしておいて間違いのない背面兪穴です。


だから私も施術のときに、この背面兪穴を状態改善のためのアプローチを行い、
募穴で、中府が状態が思わしくないようで、ここが肺経コンディションを知る
アラームポイントのようなもので、、、と、伝えることがあります。


経穴については、特許やトレードマークなどは世界各国なされてませんので、
私でも使えうる、とてもありがたいものです。



ただ、ひとつだけ、
自分でせんねん灸を背面兪穴に置こうとするようなとき。
致命的な難点があります。


お察しがいい方は気づいていると思いますが、
自分の背中に正確に兪穴ポイントにお灸を置くことが至難の業。
火の着いたお灸を手元がおぼつかない感じで背中に合わせ鏡で位置を確かめながら貼る。


それは、、、やけど覚悟。


だから、背面兪穴のアプローチの場合は、
ご家族に位置を指定してお願いするか、
友達にお願いしてみたほうがいいでしょう。