元気な筋肉は復元力にすぐれ、広域なんです。


バネやゴムに力を加えると、
元の状態から伸びたり縮んだりします。


それが力を加えるのをやめれば、
もとにもどろうとする力、『復元力』が生じます。



そして筋肉にも復元力があるのですね。


筋肉が緊張して収縮をする。
緊張を解けば復元力でまた元の長さに戻る。
バネやゴムとまったく同じような性質を持ち合わせています。
バネやゴムは、古くなった熱や引っ張られすぎなどにもろく、
元通りになれなくなります。


たとえば自転車も長いこと乗らないままでホッポといておくと、
タイヤのゴム部分が硬化してひび割れるような劣化が起きます。



筋膜リリースをするマッサージの目的とは。


端的に言えば、
復元力が低下し劣化した緊張萎縮したままの筋肉を掘り出して、
ちゃんともとにもどろうとする筋肉に若返らせるのが目的です。


では筋肉の組織というどういったところを想像するでしょうか。


骨格筋が筋肉だというのはわかりやすいところ。


よく解剖学を知る人たちは、
靭帯や腱は軟部組織の一部。
軟部組織が実は筋膜リリースで緩める対象物です。


よーく考えてみると、
内臓組織も脳臓といえる脳以外はほぼすべてが軟部組織、
それもほとんどが筋肉組織でできているので解りやすい。


捉え方の視野を広げれば筋膜リリースのリリースエリアは、実に深いのです。




いま、どうやってか、この筋肉の復元力を簡易なビジュアルで表現できないかなと考えています。



復元力を失った筋肉では、
血液やリンパ液、脳脊髄液などの循環器系は筋肉の復元力を利用した圧力系の移動を行えなくなる。
マッスルポンプというのは、要するに筋肉の復元力を利用して起こるものだから。


心臓が血液を全身に送ると考える人もいますが、
現実的には心臓が15個程度なければ全身に血液を巡らせることはできない。
筋肉の復元力が血液やリンパ液、そして脳脊髄液までも送る力となる。
体の中はパスカルの原理が体液の圧力差で移動させる力とするのです。


呼吸筋が硬化して復元力を失えば呼吸代謝が悪化していきます。
そのきっかけで血中酸素が低下して血液の酸化が始まり赤血球同士が癒着しだすといった、
顕微鏡で見なければならないような異常が起こり始めます。
呼吸の質と精神の安定は絶妙にリンクしているため、
本来のその人なら、そんな些細な事で落ち込んだり怒ったりしないことでも反応していき、
あとで冷静になると嫌になっちゃうということもでてきます。


それでいつもくたびれてしまって休めなくなり、
呼吸をする際に腹腔の拡張収縮の作用が起きづらくなり、
気沈丹田という重心点を丹田部分に置いて安定させることができなくなる。


他にも筋肉の復元力を失ったり弱化することで引き起こされる問題は多く、
特に深層筋や内臓などの深部に硬化があれば、
予想外の身体的ダメージを受けていることもあるだろう。