触察講座の受講と後脛骨筋

昨日は熊野庵の谷口先生が、
『触察』(足にきく)と題され、
主に膝下の筋肉部位に在する筋肉たちをみていった。


(からだにきく 整体 ー 熊野庵のブログ)<整体教室のご案内>
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私が知らない点も、
いくつかでてきました。
やはりつぶさに観ていくことを、
指導されつつ順を追って観ていくことは大事。


普段、リリースする必須筋については、
繰り返し意識して観察するため熟知するのだが、
あまり自分の施術に必須ではないと思う筋肉は、
それほど重きを置かないでいた。


筋の記憶もプライオリティ(優先順位)をつけ、
要領よく学ぼうとすることは効率がいいのだが、
反面、落としていったものが多くあったのです。
解剖学的に相応に勉強してきたつもりだったが、
丁寧に全体をまんべんなく学ぶことで、
気づかずに見過ごした重要なポイントが
発見できるかもしれない。


そのように感じられました。


かなり講座内容は専門性が高いものですが、
解剖学図譜などを白黒コピーして色で塗り、
わかりやすく表現するよう工夫されていた。
相棒として等身大1/2モデルの骸骨人形を持参し。


私が好きな本の一冊に、
『ゴエンカ氏のヴィパッサナー瞑想入門』があります。


ブッダが気づきの瞑想をする際に、
自分の体をつぶさに見つめるのだ、
その見つめられるところは余すところなく体のすべてが感じ取れるはずだ。
そのようなことを申しておられます。


本文を一部、抜粋させていただきますと
『感覚が生じるところ、そこが因果の連鎖を断ち切るポイントなのである。


すべての感覚が好き嫌いを生じる。
感覚が生じた瞬間、無意識に好き嫌いの反応が起こり、
それがくりかえされて強くなり、渇望や嫌悪になる。
さらにそれが執着となり、いま、そして将来、不幸をまねく。
この反応が無意識のくせとなり、ただもう機械的にくりかえされる。
ところが、ヴィパッサナー・バーヴァナーの修行をおこなうと、
からだの感覚すべてに気づくことができるようになる。』


つまり体の各部に対して、
すべて均しく重要視して
私達は暮らしてはいない。


無意識のうちといえるほど無自覚で、
感覚的に好き好んで使いたくなるところがでてくる。
その部分を繰り返し繰り返し、
三つ子の魂百まで精神で使う。


すると好きではないとか、
または無関心な体の部位。
寂しい体の部分ができて、
感覚が生じることもない。


体の全体の筋肉をまんべんなく使うことで、
気づきの感覚を起こさせて気の滞らせない。
わかりやすく言えば使われなくなって、
血液の分配が滞った部分が劣化してゆくが、
そのような瘀血を貯めそうな原因をつくり
体を酸化させ老化現象を加速させてはならない。



使う必要性がない筋肉は、
いずれ退化する。
だが、その前に血行不良のダムがそこかしこに作られて、
悪い因果をそこでこさえてしまったことにもなりますし。



熊野庵谷口先生は、
「触察をすると、それだけで筋肉が弛むんだよ」と
繰り返し語られていました。


それは動かす必要性を感じられない筋肉が、
知らず知らずのうちに体の悪因をこさえて、
筋肉の連動して動く際の調和を乱していた。
それがこの筋肉はこのように動くものだと
脳が気づいて動きの調和が図られたからだ。


体の隅々まであまねく感覚を持てるような、
高い感受性を得られることは、
体にいいばかりではなくて、
心身一如として心の感受性もあげてくれる。



一人で、
『ボディ・ナビゲーション―触ってわかる身体解剖』のような、
体を触ってチェックしていくための本を片手に、
自分の身体の動きを検証していくということは、
なかなかしづらいものです。


そういうときに講座の受講を考えてみても
いいのではないでしょうか。


特に私個人の感想ですが、
施術者などをなさっておられる方々に、
特にお勧めしたいところでしょう。


触察は、施術を構成するためのベース。
化学を学ぶには、
「水兵リーベ僕の船・・・」
で覚えた元素記号の表を頭に入れてからのほうが、
断然、その後の化学の学習がはかどりますからね。
体験を通して、筋肉の位置や作用などを把握する。
そういった学び方も、いいですよね。



以下、蛇足となります。
一番、講座中に他事を考えてやまなかったこと。


講座を受講中に、
『後脛骨筋』というの、
私にとって呪縛の言葉がでてきました。


正確に言うと、
後脛骨筋が含まれる足の指を屈曲させる屈筋群を含んだひとくくり。
そこが私のえらく深層筋のリリースでは不得手なのです。
(おそらく、私だけではないと思いますが。。。)


ここはバレエでルルベをしてみよう!というとき、
前脛骨筋という筋肉は表層に近い筋肉で解くのも楽ですし、
意識を入れるのも楽です。


前脛骨筋は、弁慶の泣き所?
こちらに趾の伸筋群がある。



前脛骨筋と後脛骨筋2.png
(めっきり雑な絵で、ごめんなさい)


それに対して後脛骨筋。
こちらは腓骨と脛骨の間あたりという、
最も深い深層筋部分です。
触れる箇所は主には足首周辺の腱になった部分程度。


ほぼ触れず。
つまり私の圧をかける施術では、
どうしても手の届かないところ。


かなりやり方を工夫していたが、
前脛骨筋からのアプローチも
ヒラメ筋を圧し通す方法も激痛。。。


痛みが強すぎるので、
一般のお客様に不用意にこちらを触れば、
間違いなく怒られるでしょう。


ただ、バレエをなさっているお客様方。


足裏の土踏まずの状態をみれば、
後脛骨筋の良し悪しは明らかだし、
ここが理想的であることがルルベには大切。
(だと思ってます)


ルルベへ.gif


小さい頃からバレエをなさっておられれば、
タオルギャザーエクササイズをしたり
足指の伸筋群の作用も使いこなしの役に立て、
うまく後脛骨筋を緩められる方もおられます。


ただたとえばかつて、
「シンスプリント」のような前脛骨筋群を固めたりして、
気付かれぬうちに脛骨と腓骨の間にある骨間膜を萎縮された場合。
この骨間膜のよれを後脛骨筋が一緒に仲立ちしてなめらかな趾の屈曲を
妨げようとしてしまうよう。
そのようなことが見受けられることがあります。


バレエをなさっておられる方々は、
本当にがんばりやさんが多いため、
「痛くてごめんなさい!」といい、
この骨間膜にできたよれを伸ばす。
そのような操作をしているのです。


でも施術だけではらちがあかない。
効率が悪いな。。。
と、ほとほと困っていたのが、
ここ、後脛骨筋だったのです。



今は、バー・アスティエのディプロマコースで学ばれている方がおられ、
実はその方は見事に自力で後脛骨筋のコンディションを解決しています。
だから、もしその方がバー・アスティエの先生になれば、
「あの先生のところでお世話になれば、
あなたのコンディショニングも飛躍するでしょう。お勧めですよ」
といえるようなことがでてきそうだという期待が生まれたので。


深層筋と表層筋では、
表層のほうが意識が入りやすい。
逆を言うと、深層筋は感受性が高くないためあまり感じ取りにくい。
それに深層筋は意思の力で容易に動くような随意筋と言いがたくて。
イメージ設定をしてあげることで右脳に働きかけていくと活動する。
そのような傾向を持っているものですから。


伸筋や深層筋を操るには、
指示するものの言葉のセンスが問われます。


知的な彼女ならば、
多くを引き出してくれる。 最適でしょう。



他力本願的ではあります。


ただ、素直に、
ほっとしてはいるのです。 ^-^)



でも、施術でそこをアプローチするのならば、
どのようにすればいいか?


その答えは未だにでない。


それを考えると、
今もけっこう悔しくて。


夜も眠れなくなります。