取り残されている体使いの癖

本日、施術をしていてのこと。
詳細は述べられませんが、
かつて腰部の痛みが強く、
つらい思いをなされたお客様。


長い年月をかけて施術をさせていただきました。


そしてかなりのクォリティにまで状態が改善へ。
筋肉の質が以前とは異なり、
私には自律神経系の落ち着きが出てきているように見えています。


交感神経から副交感神経へとスイッチが入れ替わるとき。


そのようなときには、
施術中に、瞬間、意識を失って寝息を立てる等の反応が起きます。
そのような様子が観察できるとき、
自律神経系の状態が整えられたかどうか。
そのときに脈や脳脊髄液の流れをチェックするとわかるものです。


一般的に、右利きで脊椎が弱いL字を持つ背中側の筋肉の硬化パターン。


歪みがまだ少ない右利きの背面の筋肉硬直パターン.png


日本人の多くがこのパターンですね。
シンメトリーな背中のパターンを持つ人は私はあまり診たことがありません。
体に自信がある人でも、今の日本人には歪みがあるように見て取れます。


すでに私どもの施術をお通い頂いているお客様の筋肉の状態は、
上図のような状態になっていて不思議はない状態です。


ですが・・・。


歪みがまだ少ない右利きの背面の筋肉硬直パターンを逸脱.png


(※)青くマークしたところは、上半身は硬さがあるが、
右臀部とハムストリングは左右差を出すため色付けをした程度でさほどの硬さはありません。




上図を見ると、左臀部と左ハムストリングの虚弱した状態が際立っている。



その理由は、なぜだろうか。


本人的には、そのようになっている自覚はまったくないといいます。


こちらのお客様。
以前に腰部にかかる症状が甚大ではなかったことがあった。
苦しみは、筆舌に尽くし難いものであったことでしょう。
本当に、よくぞ、そこから乗り越えて今に至ったことか!


施術を始めた当時、
左側大腰筋の硬化が強かった状態があったことを確認していました。



痛みが出ていた当時、
左側腰部の痛みがことのほか強かったものと思われます。


痛みが出ていたときに左臀部と左ハムストリングに力が入れば、
左側の腰部の腫れ上がった部分が引き伸ばされることで
信じられない程の強烈な牽引痛が現れたことと思われる。


私ならば気絶しているほどの痛みを瞬間的に感じただろうし、
その痛みを感じた瞬間なかなか引くようなことはないだろう。


そのような状態であっただろう。
強烈な痛みを味わうということは、
まさに苦しみの恐怖そのものです。


そうなると、
人は動き方を工夫し始めます。


痛みから逃れようとするのです。


それは意図的に行うときもありますが、
無意識にそのようにしているときもある。


こちらのお客様は具体的にどのようなことをしたか。
左臀部と左ハムストリングに力を入れないように努めて、
炎症が強い患部を引き伸ばして牽引痛を起こさないようにしたのでしょう。
そのようにしたほうが問題部分の治りもいいでしょう。
余計に加算される苦痛からも退避できているわけです。


これは大きなメリットですね。


痛みを軽減できるということです。
自分の体にとって大きな安心です。



ただ問題も出てきます。



実はすでに何年も前に、
この激烈な痛みを体験。


現在も幾分かの不安なところはあるのですが、
その当時の状態からは大きな安全圏へと体が移行できたのです。


それにもかかわらず、
恐怖心から逃れるための体の使い方だけは、
未だに激烈な痛みを避けようとした、
そのときのままでキープしています。


それが左臀部と左ハムストリングを虚脱したままにしておくということです。


この場合は自分自身では自分の身を守ろうとする行為からの工夫をしているので、
「いいことをしている」という認識で違和感を感じるようなことはないのですね。



体のバランスが大幅にずれていたとしても、

自分の身を守るためにしているという場は、
なぜか見逃してしまうのです。。。


そこに盲点がでてきます。


そして極端なまでに左側の臀部とハムストリングが虚脱気味になっている状態が、
くっきり見えてきました。


以前からあったのですが、
この度ほど、これほどくっきり内側から現れてきたことはないと記憶しています。


そして、腰部のダメージがあったときにや役立っていたのだが
今はもう手放していい時期に来たということを、
体が訴えかけてくれているかのように感じられた。


そのような訴えは、他の部位からも読み取れました。


私が左側臀部の力を入れてくださいとお願いしたところ、
「左側臀部の力の入れ方がピンとこない!」とのことでした。
本人的にも、その事実に気づいて驚かれたでしょう。



左側臀部とハムストリング。


こちらを使う工夫は、
こちらのお客様ならクリアできる能力を持っておられます。


ですからその答えは、
いずれお客様が私に教えていただけることでしょう。



自分の身体のなかに隠された過去のやさしいサポーターでもある遺物に気づくとき。


今後の生活にそれがもう不要になったことを告げて、
痛みに耐え忍ぶ以前の自分の身体に戻るときだろう。


ちなみに、
この方のようなケースは珍しくはありません。
ですからボディワイズでは施術をさせて頂く前に、
かなり詳しい質問表をお書き頂き、
それを元に質問をさせていただき確認作業をします。
そのときにかつてどのような症状や問題があったのかを教えていただけると、
後々になって体のなかに内在し続けていた、
自分をかばい続けるサポーターの状況が読めてきます。


これがわかると、施術を進める上で参考になります。
本当にありがたいところです。


自覚の網から漏れでてしまったような筋作用の癖は、
このようなところからも発生するわけなのですよね。


そんな身体状況をリセットするには、
相当に丁寧な施術をするしかないと。
私は感じています。