< おもさに貞く > 体の左右差を減らしませんか?

立位姿勢では、上半身は重力により左右どちらかに傾斜している人が多いようです。


多くは右側の腸骨が前傾するようです。


理由は所々ありますが、
生理的な原因があります。
それは人体の重さの左右差にも関係があります。
腹部右側の肝臓の重さは常に左側の半身を2〜4キログラムも凌駕するため、
右の腸骨に強く下方に落としてしまわれるようにのしかかるような構造です。


そして右側腸骨が前傾すると、
自然に右側の腰部の反りが強くなり右膝裏側が少し曲がりだす。
すると右膝が左膝よりも曲がりやすい性状を保ちだしてしまう。


それで右脚の屈筋群が使われすぎるようになってしまう。
これで右利きの出来上がりですね。


そして同時にこの時点で、状態の軽度か重度の大小はありますが、
すでに器質的な状態といってしまいたくなるような
左右や前後の脊椎の側湾状態が作られていくのです。


このような考察を通してみていただければ、
右側の肝臓が腸骨にのしかかる感覚を弱めることができればな〜という発想。


それが生まれてきますね。


今日は、そのような対策のアイデア


そのひとつを紹介しましょう。


上半身のぶらあげ_001.jpg


上図をごらんください。


立位にて骨盤から上半身を前傾させていきましょう。


その際に、
重力により自分の上半身が吊るし下げられている感覚を感じてください。


それは頭だけがつりさげられているわけじゃないですよ。


頭も首も、肩も腕も、そして胸部や内臓部分も。
それらすべてがつりさげられている。


そして筋肉の無駄な力を緩めてください。


徐々に首の頚椎が伸びていくでしょう。
背中もさらに長くなっていくでしょう。


脇も伸びて肋骨のつまりが消えていく。
上半身、すべてが、そっくりそのまま、
伸びやかに伸びていくのです。


そうです。
頭部が、振り子時計につるされた重りのような役割になり、
自身の脊椎を伸ばす役割を果たしてくれていることに気づいてください。


このさいの筋肉の硬直を緩めていきます。


筋肉の硬直が抜け切れないと左右差が感じられるかもしれません。
しばらくこの上半身を重力で引き伸ばしてくれる感覚を味わえば
その左右差の強さも、時期に弱まっていくことでしょう。
そうなるまで、繰り返し、このエクササイズをなさる必要がある人もおられるでしょう。


そしてやがて、上体を吊り下げているときには体の左右差がすっかりなくなった感じがしてくるでしょう。


上半身がつりさげられのびていく感覚と、
しばらくするともうこれ以上はのびなさそうだなという逆さ吊り状態を。


それを味わってください。


自分の感覚をフルに動員してどのような状況であるのかを観察しまくってください。



そして、
ここでゆっくりと上半身を立てていきます。


そのときに先程まで上半身をぶら下げていたときの吊り下げられた感覚の余韻が、
まだあるはずです。
その余韻に加えて、先程までの逆さ吊りをされたときの頭上方向へ吸い上げられるような感覚を、
実感を持って先ほどの上半身をぶら下げていたときの状態に今現在もいるというイメージを持ち、
その感覚を再現していってください。


脊椎が側弯したり詰まったりすれば興奮状態が強くなります。
脊椎がつまり縮んだ状態では交感神経が優位な状態となるので、
屈筋群が先行して動き始めるという癖がつけられていくでしょう。


それが
脊椎が伸びやかに伸びて胴体の上下のボリュームが増し、
つぶされたマッチ箱のような状態から正常化していくと
骨格の並びが順列的に理想位置に並ぶ構造となっていく。
胴体や首・頭部の立体感が表現できているようになると、
骨格の理想的なフレーム位置にいれば伸筋が操作しやすくなる。
無駄な筋肉の緊張を創って骨格の歪みの修正をする必要が減る。
その分だけ副交感神経へのスイッチをいれる権利も手にできる。


きれいに上半身が頭上に吊るしあげられたかのような感触です。


この状態を私たちは上体のぶらあげと呼んでいます。


イメージで重力方向設定することで、
脊柱起立筋等の伸筋群はそれに反応し、
あたかも上体を吊り下げているかのような状態を再現してくれる仕組みがあります。
それに体が気づけば、いいことが起きる。


私が、個人的に敬愛している野口体操の野口三千三先生。
彼は、

野口体操 おもさに貞く
という本を著しました。


おもさにきく感覚。それこそが力です。
それこそが動作や姿勢のすべてを成り立たせるキーになります。