自分の現状を前向きにとらえて、シンプルに進歩をかさねつづける

首筋の横に「斜角筋」という筋肉があります。
こちらが以前も申したことがあると思いますが、
信じられないほどの難敵になることもあります。


手の圧では頚椎横突起から伸びた石に化したほどの硬さのある斜角筋は解けない。


石ほどに化したというのは、比喩的表現だが、
触診をすれば硬さの質は石を凌ぐケースも多く見受けられる。
デスクワークに根を詰めていて、首こり肩こりがある慢性的不調を抱えた人には、
多くの場合に、少なからずこのような石に似た硬さにまで劣化した斜角筋がある。


それを「指先で解こう」としても激痛過ぎてとけない。
相当に筋膜リリースの高い技術を持っているものや、私でもそれはムリだった。
仮に激痛を耐え切れて、わずかばかりをゆるめたとしても、
そして気管のすぐ脇で大変に危険もある部分だ。
注意深く問題になりそうな動脈や静脈、そして神経に障らないように、
強い圧を持続的にかけるというのも難しい。


術者として首筋を触り動脈の位置を確認して神経のあるだろう位置も避けて、
同時にトリガーポイント状になった筋肉がいくつも錯綜している部分へ
十分に石と化した斜角筋を溶かすほどの圧をミリ単位かそれ以下の繊細さ出かけるわけです。
それを持続圧でリリースするというアイデアでアプローチする発想しかなかったときには、
息を詰め、または止めて、無酸素状態での施術でした。


先年、鍼灸師さんの施術をさせていただいたときに、
極度な難しい状態がその方の首筋奥の中斜角筋にはびこっており、
そちらのリリースをする段では、
無酸素状態であまりに私が慎重に緊張がある状態であるから指先が震えました。


それを体感して
「指先が震えるようならこちらに緊張が伝わるから、やめたほうがいい」
とアドバイスを頂くほどです。


ただ、、、頚椎がこの斜角筋がある状態で、
なかなか身体操作を巧みにという部分でカバーできるような
ヨガやその他のインストラクターレベル以上の意識や知識等なければ、
自力で全身の代謝が上がることで目的の部分へ血流を届かせて自らの意念でリリースをする。
そのようなことも、できないものです。


実際、石のように固くなった斜角筋をムリに伸ばすようストレッチすれば、
生理的にすぐ伸びないという状態にもなりますし、
そのストレッチ制限を無視をすれば骨膜部分から腱が剥がれて骨膜剥離や
柔軟性を失う劣化した状態の筋肉の繊維は内部でぶつぶつ引きちぎれます。
そしてもちろん撫でる程度というもので緩む、たかが知れた表層部の緩み。
それだけではやらないよりもやったほうがマシだというものだと思います。。。



頚椎部分のリリースも斜角筋が硬すぎれば焼け石に水ですし、
頚椎が正常でなければ自律神経の最も問題が多数生じさせる部分ですから。



臨床上、本当に困ってしまうものなのです。。。



施術で頚椎の問題部位一点だけを解いて、
それで終了ですというならいいでしょう。
私にもそれならできると思います。


ですが他にも100も1000も、
数限りなくリリースする部位をさばいていくものですから、
それでは安全にはできないだろう。


それだけではなく、緩められた斜角筋の量が十分に代謝できる量までいかなければ、
また次にお見えになられるまでに元通りの硬さに戻ってしまう。


それはすでにそのお客様が喉笛近くにある斜角筋を、
頭部を置いて支えるためのつっかえ棒として無自覚に酷使するからです。
ある一定量以上リリースできなければ、
頭部の位置を向上的に理想位に方向へ意識的に維持操作することなど不可能だ。
強烈な喉周辺、首の深層に、萎縮筋がコルセット状にはびこっているのだから。
それは意志の力で戦っても、
容易に勝利することはできないものだ。


よほどしっかりと自分の体の内側を内観し続けることができるということ。
そしてコルセット状の首やそれ以下の筋膜の癒着部の多くが緩むか緩みだしているということ。
そして正しい理想姿勢について体験的に指導を受けて体が実感して、
そちらへと羅針盤を向けだしたというとき。
そしてたいへん真摯に体の状態を変えていきたいと願う、しっかりした意思が必要です。




そうなると激痛を耐えたとしても元通りに容易になってしまうならば、
解くのはお客様にしてもあまり益がない。


そのような考えのもと、斜角筋硬化部分へのアプローチは避けてきました。


ですが先日も少し申し上げましたが、
自作てい鍼を使いインパクト圧を正確にかけるようになってきたときから、
その状況はかなり変わってきたといえるでしょう。


私がイメージするようなリリースができるように近づいてきました。


現状では、自作てい鍼の持ち手の部分やインパクトの際の圧のかけ方を工夫する状況です。
ひとつずつ、ノウハウをためている。
その最中です。 ^-^




少し話が長くなりましたが、昨日のお客様のリリースでのこと。


喉の気管部分すぐ脇へスチールに似た硬い横突起から伸びた斜角筋が目立ってきたお客様。
特に左側頸部の斜角筋が、一般的な体のゆがみ方のパターンからかけ離れている個性的な状態です。


そしてそのお客様が立ち方を工夫し、以前に比べ物にならないほど、
私から観て姿勢がよくなり頭の後頭部の位置が整えられた状態です。


それだから首筋の大方の筋肉部分が緩んでくれていて、
本当に固く組織内に血流が送り込む量が奇譚に少ない
斜角筋の棘上に伸びたしこりが目立つような状態です。
柔軟な首全体に、その奥に冷えて冷たくなった斜角筋のトゲが入っているという状態です。


神経系が以前よりも体の筋組織全体が緩んだおかげでよく働くようになってきていますし、
そうなると、柔軟な敏感な筋肉部分に硬すぎるものがあればどれほど強い不快感を感じるか。。。


それは想像することしか私にはできないのですが、
よほどの不快な状態だろうと思います。


それで右側の斜角筋は、相当しっかりリリースをさせていただきました。


ただ気になっていたところがあります。
あまり突っ込んだことはプライバシーに触りますので申せませんが、
以前にこちらのお客様は緑内障という症状傾向があるとお伺いしたことを覚えておりまして。


お客様が施術中に寝息を立てているとき、
右目のまぶたはしっかり閉じているのですが、
左目のまぶたがほんの少しだけ開いたままです。


私は、緑内障傾向というものがあると説明を私が受けるものですから、
すでにご本人が、目をうっすら開けていることを気づかれているかと思っていました。
それで、
左目が睡眠時にうっすら開いていることを告げて
「左側の頚椎部分は、首筋の斜角筋の下方部分だけを緩めるようにしますね」


ちなみにこちらのお客様は以前は、このような状態にはなっておられません。


ただご本人は、左目が開いているままであるということに気づいておられず、
意外なことだと思いつつ、
前向きに、「貴重な情報を教えてくれてありがとう、今度医者に行ったとき、そのことをつたえます」
と申されておりました。



ただしこちらのお客様が職場環境が変わる変化の時期を迎えておられるということをお伺いしており、
精神的ストレスが多大にかかるような時期です。
それは自律神経系にも問題が生じさせられて、
いつもとは違った不都合な状態を呼び起こしますから。


一過性であって欲しいと祈りつつ、
左側頸部のリリースをさせていただきました。


ほんらいなら緑内障は視神経の障害からくる病気だそうですから、
視神経への血液の流入量を増やせるような頸部のリリースは大切。


ですがインパクト圧をあたえたときに一時的に筋肉がキュッとなるような反射が、
上部頚椎部分にあたえるとでてきますから、そこは避けなければなりません。
ただ上部斜角筋と上部胸鎖乳突筋部分の癒着がひどく強まってもいるように感じ、
どうにかインパクト圧以外のリリース法を模索せねばという課題をいただきました。



私の姉が、私とは違ったやり方で頚椎部分を解く実践中です。
姉の家の近くのマッサージ店で頚椎を損傷させられてのちの自己回復のため実践しているのは、
私が作った以下のてい鍼のもうちょっと太いバージョンののものを2本ほど貸しており、
温泉にて湯治をしつつ、こちらのてい鍼で首筋をぐりぐりやっています。
10センチのハニカムてい鍼.jpg


すると先日のことです。
テレビを観ていたら、
「いきなり出演者の手の指のシワが見えた!」とか、
「ようやっと、視神経が戻ってきたわ〜」という成果を感じ始めたそうです。
相当なダメージを被っていたんだなと思える状況だったのでしょう。



私も、インパクト圧を大事にしつつも、
症に合わせた他のやり方も考えることの大切さを学びました。




ただ、、、私がこの度お客様で感じたことは、
自分自身が自分自身を知っているようでいて知らないということです。


私自身も、ときたま自分への頭部のリリースをしつつ、
お客様の頭部リリースへの確認をするようなとき。
左側の頭蓋骨の問題部分を詳細に見ていくつも見つけ出し、
愕然としたことがあります。


そのような大切な部分の発見。
そこから修正をかけることで、
様々な後につづく改良の手を加えられました。


もし頭部の改善課題に気づかなければ、
死ぬまで気づかなかったでしょう。


ただしその意味するところは、
それでは死期は早まるか、
または健康寿命を縮めることになる。
気づけたほうが早めに手を打てる分だけ、よかった。
そのように、つくづく実感できました。


それが、いいのです。 ^-^



最後に、また横道にそれますが。




先日、予約表を観て予約を頂いた男性のお客様から丁寧なメールレスをいただきました。


>おかげさまで筋交いの筋肉がつまめるような
>位置に首を調整することができるようになりました。
>以前は首が痛くて長時間できなかったのですけどね。
>ですが、体の背面に乗っかるような位置に置くようにすると
>不自然な感覚があります。
>感覚にウソをつかれている可能性が高いと思っています。
>
>>ぜひ、腰の後ろとお腹の前側との関係を、
>>こちらも手でおなか側と背中側を挟んで、
>>チェックしてみましょう。
>
>
>どこが適切な位置にあるのかがわからないので、
>チェックが難しいと感じています。
>次回では正しい場所の感覚を手に入れるのが課題ですね。



自分の感覚を研いでいる様子が伺われます。
前向きな人なんですね。


こちらのレスを読ませていただいて、
うれしく感じていました。


「わからないところがある!」というのは、
ほんとうに偉大な発見です。


それは、人は自分は自分自身がよく知っているし、
「自分は間違っては、いないはずだ」という思い込みの上に生きています。


間違っているかどうかという感覚を持てば、
ちょっと人はへこみます。
「あ〜ぁ、なんだか良く出来てないなぁ」
とあからさまにそれがわかれば感情が傷ついてしまう。


ただ私は去年コーチングの勉強をしてみて、
「間違いがあるという言い方」自体を
自分のやり方を否定的に観て手を止めて成長を抑制させる言語の使い方の悪癖だろうと感じました。
言語の使い方次第で思考の流れは変わっていきます。



間違いがあるという考え方は、私が間違ってしまっているという言い方から生じているものだと思う。


私には間違えたと思える体験をする自由もあるし、
正しいようなやり方を実践する自由もあるのです。


実際は常にその2つの狭間を行きつ戻りつしながら、
成長をするというのが人の性質で進化して生き延びる原動力なのだと思います。


正しいところにいて安住していると感じているとき。
それは違和感を認識できなくなって成長が止まった。
そのようなときなのだと私には思えます。


だからこそ、
自ら自身の体に課題を設定して観察する目を鋭くしようとする。


そのような姿勢でライフスタイルを貫ければ、
すてきな人生になるんだろうなと思えてなりません。 ^-^