膝が痛いというのに、他の部位を徹底して解くのは、なぜ?_??

からだを見るときの指標として。


下図の五重塔をみていただきたい。
こちらの塔は、中心軸となる支えの柱に心柱とよばれる木製の柱が地面に対して垂直に立てられている。
もしも心柱が斜めってしまえばどうなるかといえば、
想像するにたやすいでしょう。
それぞれの階層部分の水平性が失われ傾斜していく。


そのような状況の建物であれば、多年に渡る風雪や地震に耐えることはできないだろう。


8つの隔膜です.jpg



それと人体も、さして変わるものではありません。
からだの心柱にあたる中心軸が、理想の五重塔の構造体のようであれば、
上図の右側に示したような水平面をあらわすべきチェック箇所が、
「前後左右の位置情報をチェックすれば整えられている」様子が見て取れます。


たとえば、専門家がよくおこなうチェックしやすいところでは、


頭部の蝶形骨部分が水平面となるか(頭部が前に行きすぎていたりするときが多いですよね)、
胸隔膜や横隔膜ラインはどうか、
骨盤底筋はどうか、
膝はどうか?
そして足裏の重心はどこにかかっているのか?


ちらっ、ちらっ、とめざとくチェックしていきます。
左右差もありますし、前後差もありますし。


自分の内側の隔膜ラインを一瞬しっかりと整えてから、
お客様の内側の隔膜ラインをみると、違和感を直感的に持てるところが、
自分の身の内側に響きとして感じ取れるところがあります。


そうしてからみていくと、体表的なチェックをする以上に、
なんらかなお客様の軸ズレ感が自分の内側に微妙な距離感を再現されているようで、
施術をするときにケアするための情報として活用させていただくこともあります。
これは個人的な、情報収集の仕方だからあまり一般的でなくて参考にはならないと思いますが
合気道をなさっておられる施術者の先生には、
このようなチェックを無自覚に瞬時になさっておられる方がおられるようですね。




もし立位の方をチェックして、上記のチェックポイント理想状態から特定の
あまり大きなズレでなければ、修正も可能でしょう。


神経系上におきた誤作動であれば、それを気づかせていく。
繰り返し、繰り返し、誤作動を変更していくような操作をするといいようです。




ですがあまりにも強く、隔膜部分にダメージが受けてしまわれている場合です。


たとえば、膝のダメージなどは好発しやすい隔膜のダメージだといえるでしょう。


私も、膝痛が発症した際は、激痛を被りながらも、仕事をしていた過去を思い出します。
本当に、激烈な痛みで腰に来たり、首に来たり、どんどん体の水平軸が狂いだすことを、
身を持って感じ取れたときでした。



そしてもしも膝のダメージが深刻であればあるほど、
実は他の隔膜部分に大きな影響がでてしまって水平面のズレが生じだしてしまうと、
膝が一手にそのダメージを肩代わりをするという性質を持っています。


膝は、動的に前後左右に動きますから、
他の水平面のズレがあれば膝を前に出したり、ねじったり、内側に・外側に詰まらせたり、
様々な負担のかけようで、
他によって水平面が失われた部分を修正をかけるようにして体全体の軸を整える配役を持っています。


私が膝の悪いお客様を観させていただくところでは、
私が全身の隔膜(体内の水平ラインのこと)をみれば、
腰仙関節の極端な狭窄や横隔膜部分の水平性の乱れが見て取ることができます。
複雑な筋膜系の歪みが内部的に生じてしまうことで、
胴体の水平性が保てなくなる場合、
一番にこき使われるのが膝の自由度に頼るというもの。


膝の自由度がもし機能が悪くなって、使い勝手がよくなくなりますと。
股関節部分に、同時進行的に既に大きな筋膜系の整列性がなくなっているので、
そちらの部分に影響の深刻さが増していくようなことも多いようです。




ということで、
施術前のチェックをするときに、
垂直軸のただしらしさをみるためにいくつかの隔膜が正しい状態であるのかをチェックさせていただくのが常です。


同時に、
ひとつの隔膜部分、
たとえば膝に問題があって負担が強いられていれば、
おおかたは他の隔膜部分からきた影響であるのか、またはその影響の本体自身かを観るのです。
ただ膝の場合には、ほぼほぼ100%近く、別の水平を維持するために必要な隔膜の水平性を失われるような事態に陥っていて、
そちらをケアするのが先になります。



膝の場合、
施術者同士でも、どこがメンテで復活させるのが難しいのかと問えば、
ほぼほぼ、膝と答えます。
それは膝だけのケアでは、歯がた立たないことが、しばしば事態として起きているからです。


簡単にケアできるレベルならば、もちろん、治し方はいくらでもあって、成果が出せるんです。
靭帯性関節ストレイン等のオステオパシー系のやり方など、即効があっていいものもある。
医師に手術を促されたときには、整体でケアがうまくいくケースは多くないようです。
成果としては、よくて現状維持か、徐々に後退していくというように進行を遅らせるというものです。




もしお客様が膝が痛いからといって、いきなりその膝部分の周りに腫れ上がった靭帯部分を緩めてしまうならば、
かえって自前のギブス固定がとらえて安定性をさらに悪化させることになって、状態のさらなる悪化が生じます。
私自身、基本、悪化したらどうしよう、、、という臆病さが施術の全面にでているので、
よほどの好都合な改善をみられたという回答を受け取らないかぎりは、
極力、膝には触りたくありません。





それは他にすべきことが尽くされていないということを、
お客様の口ではなく、お客様の身体が訴えてくることが、
実感できているのにもかかわらず、それを無視するのは。。。


私には非常にたちの悪いことをしているようにしか思えないのです。


個人的な考えなので、いろいろと他の施術をなさる方々には、そのままそうだとはいえません。
ですが私の施術技法では、お客様の口から出る言葉も大切にしますが、お客様の身体が話す言葉が聞こえたときには、
そちらを優先することが主になります。




なので、お客様は「膝が痛いんですが・・・」とおっしゃられてのところを、
笑顔を装って状況を少しでもわかりやすく説明しながら、改善へのステップを模索して、
二人三脚で前進するようにしていくのが肝要かと思われます。



ただやはりこのようなお客様の口がいうことを私のほうですんなり受け取らないものですから、
ここで、施術が終了となってしまうことも、頻繁ではありませんがあります。
私自身は、自分の現時点での力を持って考えるところでベストをつくすしかありません。
そのような中途半端な結果になるリスクもあることをお客様に話すのは、
非常につらいのですが。。。





それゆえに、しっかりと私の説明をご理解いただいて、
「じゃ、また来月も頼みますね!」と言っていただけると、
こころからうれしくなりますし、感謝の念が耐えません。



がんばらにゃ!と思います。 ^-^






余談ですが、膝部分以外の横隔膜部分の水平性が乱れていたとしても、大抵はすべての水平ラインが乱れてしまいます。
それは、五重塔では下層階の水平性が乱れれば、それでピサの斜塔のようになるか崩壊するかしかないのですが、
器用にいくつもの水平ラインを各々ずらすことで垂直ラインの軸の乱れを最小限にしていこうとする人体の軟部組織がなせる技ですね。
つまり人体のどこかひとつの水平ラインが乱れれば、多かれ少なかれ他の水平ラインも傾斜したりねじれたりしてバランスをとる仕組み。


そしてその各水平ラインの隔膜部が乱れる状態になるときに関与する筋肉は主だったものが特定されているので、
その主要になる筋肉群をうまくリリースするような操作を繰り返して、
きれいな垂直軸と水平軸を体内に取り戻していただけるようにしている。


かなり場合として筋硬化が進みすぎておるならば緻密な作業になる場合があるのですが、
結局は、水平と垂直の両軸を整えればいいだけじゃないの!
やりたいことって、シンプルそのものだよね〜。


そのように私自身も、思っていたりするものであります。