『CD-ROMでマスターする 舌診の基礎』を学び始めて感じたこと・考えたこと


CD-ROMでマスターする舌診の基礎」という本があります。

付属するCD-ROMには、具体的な舌の写真が掲載されていて。
舌診上ではどのような兆候に見受けられるかを観察していく。
そして次の画面でその解答が表示されるというしくみです。

多くの舌のサンプル数が掲載され、
比較的舌診は見方の基準がわかればすんなりわかるかと思ったら大間違いだと気づいた。

・舌のコケの様子(コケの色が白いとか薄いとか濃いとか部分的にはげているとか・・・)、
・舌の色(白っぽい、黄色、紅色、紫色など)、
・舌の厚み、(厚かったり薄かったり)
・舌の湿り気、(湿っていたり乾燥していたり)
・舌にできる亀裂のようなしわ(舌の中央部には自然な亀裂ははいるが、それ以外にもないか)
・舌の根元の色合い(黒くなって見えたら要注意)
・舌に歯型のようなでこぼこがないか
・舌の裏にある部分の緊張や色合い
などほかにも。。。

舌を意識してチェックしていくのです。
複雑なまでに分類した要素を汲み取り、
お客様の状態に照らし合わせて正確に見抜くことができるかどうか。

観察力を問われているわけです。


私は脈診よりも舌診のほうがわかりやすいだろうと、
ちょっとこちらはおろそかにしていたのですが。
やはり舌の見立ても簡単なものではなかったと、
徐々に思えるようになってきました。

中医学自体を理解していなければ、
なんら見立てられないという現実を突きつけられ、
甘くないんですよね。

 

CD-ROMには、舌と一部脈を診て、
現状がどうであるか?
それならばどう対策をするか?
その対策にみあった漢方薬は?

というところまで解説してくれている。


そして{舌チャート}という項目が用意されています。

寒熱実虚2.jpg

上図のどこにお客様の舌の状態が属するかをチャート中に置いて表現してみるのです。


図中にある真ん中の(平)という位置におれれば、申し分がない理想系です。

たとえば、それが(熱)に強く傾いていて、同時に(実)に強く傾けば、
(実熱)の位置にいると読めてきます。
そうなると行き過ぎた(熱)をどう冷まし、気血が過剰になっている(実)を削り調整すればいいか?
といった、考慮をしていくことで、おのずと適した治療法が見て取ることができるようになっていく。


または。
たとえば、それが(寒)に強く傾いていて、同時に(虚)に強く傾けば、
(寒虚)の舌マップの位置にいるわかるでしょう。
そうなると行き過ぎた(寒)をどう暖めて、気血が不足して(虚)となった部分を補えばいいのか?


というように、
自分の舌をチェックして、{虚実・温寒}のどこに自分がいるか傾向を把握する。
そのうえでバランスの取れた(平)の位置に導いていくため、
施術や漢方などを使って治療をしていくのです。


するとどうでしょう!

今まではあまり{虚実・温寒}の概念で見ていなかったところが、
そちらを参考にする見方が身についてくると。
(実熱)のお客様にたしておこなう施術の仕方と
(寒虚)のお客様にたしておこなう施術の仕方と。

体質がぜんぜん違うわけです。
すると私が普段している施術も体質の違いをより考慮しておこなうべきが妥当だと感じました。

最近では食生活がよく運動不足でも食べてしまう習慣がたたるような人も多くなり、
そのようなところからも消化器を過剰に酷使して疲れて機能をも弱めてしまう。
その場合の筋膜部の癒着の仕方には、そのような素地によった固まり方がある。
それは(寒虚)ではなく(実熱)傾向が強い。
そのような舌診で得た分類を意識して認識を深めてみると、
いままでは「筋膜の癒着」の傾向性というものとして理解と分類をしてきたが、
より見方が繊細になってきたと思える。

そしてもしかすると筋膜の癒着の位置や深さや質などに、
バリエーションは多々あるものの、
もしかしたら{虚実・温寒}など見分けがつく分類法と、
筋膜の癒着のパターンが関連がありそうだとしたら。

そうであれば中医学診断で証を立ててから筋膜の癒着部を探ってデータをためて関連付ければ、
やがてはそれで証をたてたと同時に筋膜の癒着パターンをおおよそ推測できるようになり、
それにより「見立ての漏れが大幅に減少」するのではないだろうか。

 

そのようなことを思ったりしました。

 

今は臨床から遠ざかっているので、
その検証をすることはできませんが、
十中八九、関係性があると思います。


ただ舌診がテキストでパターン化したきれいな絵で学んだ場合と、
実際の場で舌をみせていただいてチェックしようとしたときとは、
大幅に見分けることが難しくなって感じるもので驚きました。