頬骨の下のやっかいな側頭筋と咬筋の癒着を、ベン石温熱器でなんとかしたい!

仙骨という骨は、つねにその場の状況に合わせ可変的な周期で振動をしています。
その仙骨の振動は仙腸関節を通じ、脊柱を支える脚部の土台の変化に即応して、
二足で脊椎という椎骨と椎間板に分かれた分節が複数ある柔軟な構造体を立てる機能を持ちます。

これはたとえれば、皿回しの曲芸をするものが、棒を握って皿を回転させるようなものでしょう。
皿の回転が遅くなれば速く棒を回してお皿の回転に勢いをつけて安定させます。
私たちが立つという姿勢は無意識のうちに、
仙骨の振動数を可変させて頭部を脊椎全体の皿回しでいえば棒で力を伝え支えているのです。

一度、棒もまっすぐ立てられて、お皿も勢いよく回り続ける状態で皿回しの皿が回ると、
その状態を維持するのはとても楽なんですね。


ですが仙骨仙腸関節のずれで動ける可動性を制限されると、
皿回しの棒の持ち手がうまく握れておらずくねりながら棒を回し制御するもので、
その結果、脊椎全体や部分が前弯したり側弯したりねじれるなどの変位が生じるのでしょう。


皿回しの条件でいえば、
皿回しのための棒は、ある程度しなるほうがいい。
しならずに硬い棒では、皿は回りません。


そしてお皿は正円のほうがまわりやすいでしょう。

お皿の形状が楕円だったりいびつだったりすれば、
回転させたときにスムースに回りません。
ときには傾きふらつくでしょう。
傾いたまま回転速度を速めれば、
その皿は吹き飛んで落下してしまうでしょう。


ざっくりした見方で申し訳ありませんが、
顎関節部分のかみ合わせが「皿回しの皿の形状を正円かいびつかに分ける決定因子」と考えてください。

顎関節に関連する筋肉の硬化(しこり化)や回転盤の軟骨組織の破損等がおこれば、
それは皿回しの皿でいえば、いびつな形状のお皿のような具合になるわけです。

正確に言えば「こめかみとこめかみの間にある蝶形骨」をお皿とみなします。
そのこめかみの上にある筋肉が、側頭筋です。

顎関節のずれがある場合には側頭筋に異常な緊張や可動制限が加えられます。
その側頭筋が異常をきたすと蝶形骨がずれるようにできていて、
皿回しの皿が理想的な回り方ができない状態になってしまう。

楕円かいびつな落ちやすい皿を回すならば、
皿を回すにも難易度が上がりますね。

ぎこちない棒の操作をすることになります。

そして最悪は、皿回しをあきらめて皿と棒を固定するという、
荒業をつかうことにもなりかねません。

この荒業を使うときに、顎関節や仙腸関節は、
他の関節を巻き込んでいく。
他の関節の可動域を制限させてしまうのです。
それは体の右側の関節を全体的にとか、
または体の左側の関節を全体的になど。

片側が特に影響を受けるときも「初期段階」ではありますが、
徐々に仙腸関節や顎関節がずれる量が増してくると、
まさに体の左右の関節が全体的に本来可動できたはずの量を、
ことごとく下回り始めるのです。

私がお客様の立ち方をチェックさせていただくとき、
この様子をつぶさに観察しています。


顎関節と仙腸関節.jpg

 

少し前から「仙腸関節を緩めよう。そうすれば全身が整う」という施術院の広告を、
よく見るようになりました。


そういう性質が仙骨仙腸関節にはあるんですよね。
納得です。


私も施術では、この仙骨仙腸関節の調整をすることで整ってくれるシーンをよく見ます。


ただ、上記で仙骨の振動をもって皿回しの棒を回すエンジンとなっていますといい、
お皿の形状は正円で回りやすいものになるには、
顎関節のコンディションがよいかどうかにかかっていると申し上げました。

 

ここで考えてみなければなりません。


意外に仙骨のほうが、それを取り巻く筋肉群は多種多様にあって、
ひとつずつそれらの状態を見て取って、状態の調整を務めるのも、
外旋六筋・大腰筋・腸骨筋・恥骨上縁に付着した腹直筋等など、
立体的な調整が必要ですから手間暇時間がかかるのですが。

バランスのとり方を熟知していけば比較的スムースに作業を進められます。
(一般の方が適当に調整していいような場所ではないので、要注意です)

 


ただ問題は皿回しの皿のほう。

顎関節のずれのほうです。
いやらしいほど解きづらい構造になっているんです。。。


まずは、下顎を上に持ち上げる、つまり噛むための筋肉を見てください。
下図を参照願います。

頭蓋骨横解説.jpg

側頭部の側頭筋、頬骨に隠れて見えづらい外側翼突筋、下顎には咬筋があります。

これらの筋肉群が緊張し始めて、頭蓋骨骨膜部分に癒着が始まると、
顎関節のずれが生じます。

顎を開け閉めするときの、カクゥとかい音が鳴るなどはその前衛です。

「外側翼突筋」は、口の中に指を入れて内側からアプローチすることはできるのですが
日本では法律で患者様に器具または指等を用いて内側から治療していいというのは
医師のみに許されています。
本来は大切な機能を持っている筋肉ですから、
私どももアプローチしたいところではありますが、
それをするとお縄になるというルールになっていて。

そこは残念ですが私には対処が難しいところです。
ただ関心がある方は、
その部位のリリース法は書かれた洋書を和訳したものがあるので、
見せてほしいとおっしゃってください。
自分で自分に施すのは、自己責任のルールにもとづきますが、
認められているので。


次に、側頭筋。

こめかみの上にある少し厚めの筋肉で噛むときの強い力はここから多くを得ています。
そして下方には咬筋があり、咬筋は前後2つの筋肉からなっています。
その側頭筋の上方の部分の少し筋肉の赤色より薄い色の部分が側頭骨への付着部となります。
ここは圧をかけてしこりをとろうとすると、
ほぼほぼ拷問のような痛みを感じるのです。
重く鋭かったり鈍重な痛みだったり、
側頭骨骨膜への側頭筋の癒着状況で感じ方は変わります。

そして咬筋の下方の下顎への付着部位。
そこも押されてみるといや~な痛みが感じられる人もいますが、
意外に上顎部を圧されるよりも下顎部の付着部の圧のほうが
まだ痛みはマシです。
ただ結局は癒着していれば、
それ自体、血行が悪化した延焼した組織になっているので、
圧を少しでも強めにかけられれば痛くないわけがありません。


とこの側頭筋上部やまたは中部など、そして咬筋の見えるところも、
通常の解き方ではなかなかリリースもままならないのですが、
解けなくもないところです。


ただそれが、側頭筋下部や咬筋上部は頬骨の穴の内側に位置して、
アプローチをすること自体が物理的に困難な場所になるのです。

それは下図をご覧いただけば、頬骨の下に穴があいていることがわかるでしょう。
側頭筋や咬筋はその頬骨の下に付着部を持っているのです。

 

 

頭蓋骨頬骨の下は穴.jpg 頭蓋骨くぼみでっぱり.jpg

 

頬骨があるがゆえに、その下にある顎関節的にも大きな影響が出る側頭筋や咬筋の付着部には解きづらいところがあるのです。


私も、常日頃から、頬骨の下の癒着が姿勢全体にかかわるカギになっていると気づいてはいたので、
そこを十分掘って緩めていきたいものだと狙っていました。


いろいろ試行錯誤をしていたのですが、
激痛が走り、涙が出るようなトラウマポイントなので、
そのような嫌な痛みが走らずに解けるという技はないものかと。。。

 

 

 

まだ十二分な成功を収めたわけではありませんが、
ひとつ、頬骨の下の筋の癒着部位のリリースに影響がありそうなやり方を見つけました。


【間違ったやり方で、一般の方が真似られると、左右の顎関節の微調整設定ができないいい加減なリリースをなさられそうなので、
ここでは文章だけの解説にとどめさせていただきます】

電気で加熱して、温度調整が利くベン石温熱器を2台用意します。
これがまた、この機器だから力の入り具合も絶妙で、リリースしやすいという感じです。


※通常の石を湯煎等で温めるやり方でできるかを試しましたが、
 私の手持ちのホットストーンでは、
 ベン石温熱器と成果を比較すれば数段劣る気がしました。
 温度の微妙な差を、顔という感受性豊かな場所は違和感として感じるという点と、
 通常のホットストーンでは持ち手がないため高速微振動をするのが困難なのです。


仮に右側の頬骨の下のアプローチの場合。

右側咬筋の頬骨直下にひとつの加熱したベン石温熱器を設置します。
右側側頭筋の頬骨直下にひとつの加熱したベン石温熱器を設置します。

そのままじっとしていてリリースが起きればいいのですが、
それは、私が自分自身で試してみて、ほとんど期待できない程度です。

まずは咬筋の中部あたりにベン石温熱器を押し当てて上方の頬骨直下まで押し上げます。
そうして頬骨の下の咬筋の上部がゆるゆるとした状態をつくります。

次に頬骨すぐ上の側頭筋部位を加熱したベン石温熱器で高速微振動マッサージをします。
どれくらいの量をこなせばいいかわからなかったので、
とりあえず300回ほどの高速微振動かつ軽微な力でというマッサージを加えました。
ポイントのひとつは、熱エネルギーを頬骨の下へ届ける意識を明確に描きながらおこないます。
その熱エネルギーを一定方向へ向けて送る意識をもたなければ、
あまり頬骨の下のリリース成果は上がらないようでした。

顎関節の問題が、私自身、最近のストレスででていたのですが、
痛みはゼロで無痛状態で、当たって動かされているところが、より暖かく感じて気持ちいい。
負担感は、特にありません。

それが終わり、次に。

側頭筋のなかほど辺りにベン石温熱器を置き、そして下方の頬骨のところまで側頭筋を手繰り下部側頭筋を緩めた状態にします。
そして頬骨の下にある咬筋を
とりあえず200回ほどの高速微振動かつ軽微な力でというマッサージを加えました。
痛みはゼロで無痛状態で、当たって動かされているところが、より暖かく感じて気持ちいい。
負担感は、特にありません。

 

顎関節の課題がある方には、仙腸関節を緩めるという調整とセットで、
この操作ができるならば、体全身を整える効果に拍車がかかるのでは。

そのように感じている次第です。

ここはあまり他の先生方はなさらないようなやり方のアプローチで、
相応な成果が出せてという実績が積めれば、
顎関節にトラブルを持つお客様の福音になるでしょう。


そればかりではなく、頭部のなかで大きな動きをして癒着が進みやすい側頭筋が解けずに、
目の軸がずれて老眼症状に似た状態に陥っている方、
または純粋な疲れ目のすごい状態の方などにもいい。
(私が数日、頚椎裏の過伸展で咀嚼筋にまで影響が出ていて、この状態に陥ってましたが、
 ことのほかスムースに改善なされました  ^-^;)

 

ここも、ベン石温熱器を使う施術上の、手として、
最重要事項として研究しているところです。

 

 


ただ、ひとつだけ、内情的な問題がありまして。

ベン石温熱器が、、、やさしく使ってもどうも電源系統のトラブルがでやすく故障の状態にすぐにでも陥った、
過去の苦い経験がありまして。。。
さすがに2台同時にトラブルというのは、本当に慎重に使う予定でないと期待しますが。
一台がすぐに駄目になりそうというのが、充電しているときに微妙にすでに感じ取れています。

--;


そのリスクをカバーできないかを調べて、
ようやく日本で注文できるものをみつけました。
そのベン石温熱器のカタログを見れば、
充電式ではない代わりにシンプルで故障しづらい電気系統になっています。

そのようなものを中国から、いま、取り寄せて待っているところなのです。

 

この機材が届いて、状況をみて安定的な利用が可能と判断できたとき。
いまだ、まだ課題はいろいろある申し訳ない状況ですが、
施術を再開させてしただく予定でおります。