肝臓が気血を正しく送れるように、熱を注いでみる長期戦の実験

私が研究課題としております腹部リリースをおこなうやり方の途中経過を報告させていただきます。

 

さまざまなやり方で腹部のリリースはできるのですが、
それが深部にまでじっくりと影響をあたえて残すのは、
難易度が高いといえるでしょう。

内臓は皮膚表面にあるわけではありません。
特に膵臓や腎臓等は位置的に奥まっていて、
圧を使っても熱を使ってみても、
刺激を加えて意図的な変化を呼び込むには難しい。
そして他の臓器も、大なり小なりその傾向があり、
容易には処理ができないのです。

 

 

実際にこれは時間がかかりすぎるため施術の場で行えないとは思います。
ですが、研究課題として
特定の内臓部位に問題が生じた後に、
悪性腫瘍などが生じることが多く見受けられます。

観察すると多くは「肝臓」に機能低下が起きています。
肝臓が血を貯めるというのは西洋医学でも観察できる。
ですが中医学ではそれ以外にも、
疏泄(そせつ)作用という情志活動、
消化吸収、気血の運行がスムーズになるよう制御するはたらきを肝臓が担っているといいます。
肝臓にためられた血液を他臓器などに送り出すときに気も同時に送り出すようになっています。

中医学では、物質的なものを「陰」、エネルギー的なものを「陽」と位置づけています。
それにより血は「陰」、気は「陽」とされ、
肝臓は気というエネルギーにより血を送りだし、血が気に栄養をあたえるという関係です。

東洋医学では、体の基本となるものは「気」と「血」で、
この両者が体を巡り、バランスをとることで生命の活動が成り立っていると考えています。

ということで、肝臓が弱ってしまうと血や気が不足したり、流れが滞ったり生命活動に問題が起きるわけです。

 

気血の送りが悪くなるほど肝臓機能が弱っていたとしたら、
どうやってそれを見分ければいいのか?

そのひとつのアイデアですが、下写真のベン石温熱器を肝臓のある右側腹部上方や右わき腹に当ててみると、
理想体温が36.5度とすると、それに近い38度程度の低い温度であっても熱く感じることがあります。
そしてそのようなとき、さほど重篤な症状を持っておらなければ、
左側腹部はさほど熱さを感じないでしょう。


新しきベン石温熱器.jpg


そのようなことを確認してみた後。
体の手足などの末端に強い冷えがあったり、
肩や腰等の凝りが強く感じられるときには、
すでにへそやみぞおち部位にしこりができていることが多く、
まずはこの体幹に沿ったへそやみぞおち部分にベン石温熱器を使って熱を注ぎます。


もちいるベン石の温熱器は、一機のみを使用します。
複数機もっていたとしても、このやり方のときは複数の同時か所への刺激は避けてください。


そのやり方は、特段の熱さを感じられたみぞおち部分などがみつかれば、
熱すぎない程度の熱に調整して不快感がないほどのちょうどよい温度にしていただいて、
一か所につき適宜状態が悪ければ5分から10分と緩む状態を確認できるほどの長めに当て、
丹念に腹部体幹の硬さを緩めていく下準備をしていきます。

ベン石温熱器を当てるというのは、イメージで言えば「お灸をすえる感じ」です。
セルフリリースではベン石温熱器を動かして刺激をしなくてもよく、
できるだけ受け身の感じに徹してください。
患部が熱さを過剰に感じるという場所は、
代謝が悪化して熱を持てずに冷めたエリアなのです。
そのような冷めてしまった場所は筋膜も粘りやすく癒着が進みとけにくいのです。
そうなると硬直したままの状態が続いてしまうため、
筋や組織の冷えた患部に熱を注ぎ込んで気血の代謝を促進させるのです。

そして十分に冷めた患部組織に熱が注がれて気血が流れ出したときには、
先ほど感じた熱さでは、さほど熱く感じないことに気づくでしょう。

そうなれば次の熱を注がれることを待っている箇所を探索していきます。

そのように新たに探索をしていくうちに、
先ほど熱さを感じなかったが。
こんどは驚くほど熱く感じだしていることを見つけるひともいるでしょう。

それは冷えの状態が重篤な部分は内部に隠れてしまい見つけづらくなっておりますから、
そのような部分が見えてきたときです。

また驚くほどの熱さまでは感じないが、不快な熱さが感じられるところが見つかったときは、
先ほどの熱を注いだ部分よりは状態がよい、2番手の隠れた患部が頭を出してきたときです。

 

そうやって問題ある腹部体幹のライン上が緩んできた。


そのときには実際は血液検査等々でいろいろ調べてきたが問題なしとされていたとしても、
右側の肋骨下部の下あたりや右側ウエスト部分の脇腹あたりにベン石温熱器をつけてみて
熱をその部位に当ててみたとき。
「未病」と思わしき状態の下り坂傾向が体調的にある人であれば、
驚く感じの熱さを感じることがあります。

その場所はちょうど肝臓の部分にベン石温熱器を使いベン石の特殊な熱を注ぐことになり、
状態を診ているわけです。。。
そしてどうやらこれは問題がありそうだという驚く熱さであれば、
この肝臓部位に関係するエリアを徹底的にベン石の特別な熱を注ぎ続けます。
その際、個々の状態で熱を注ぐ時間が変わります。
それはもちろん、状態がさほど悪くなければ3分ほどで熱さを感じなくなります。
心地よい熱さというよりも、ベン石のヘッドが当たっているという感覚も薄れてなじむ感じです。
そしてお体の状態が思わしくない方は、肝臓機能が冷えて熱を欲している量を満たされるまで、
なかなか上記のょうなベン石のヘッドが当たっている感覚が薄れるまではいきません。
でもできれば時間がゆるせば、体に負担感が強いられ過ぎない程度、
長い時間をかけてベン石のヘッドを当てたままにして熱を冷えた患部に注いでいきます。
そして状態の安定が図られるまで丁寧に肝臓部分の冷え取りをしていきます。
冷えが落ち着けば、右側の脇腹等の肝臓部分のアッチチな熱感が正常な程度に下がります。
そしてベン石ヘッドの存在が当たっていても感じられないほどになじみます。
そうなってからベン石のヘッドをずらして新たな患部を見つけ出します。

これを延々と繰り返していきます。


そうして肝臓部分の冷えがとられて気血を肝臓が正常に送り出し始めると、
どうなるのか。。。。


私は先ほどまで左側の胃の上あたりにベン石温熱器を当てても心地よかったものでしたが、
それが驚くようなつらい熱さに変化したことを気づきました。

つまり肝臓から気・血が左側の臓器に適量送られ始めたため、
左側臓器関係の神経系が気血を受け取る量が正常化したため、
正しく左側の腹部の奥にある問題個所を知らせ始めたのです。

 


以上のような3ステップで、
腹部へ注熱することもいいのではないだろうか。

(1)腹部体幹のみぞおちやへそや恥骨上縁などを注熱
(2)右側脇腹や右側肋骨下あたりを注熱して肝臓の疏泄(そせつ)作用を蘇らせて
(3)腹部の他の冷えが隠れ潜在化した深く入り込んだ病の元が見つけやすくなり、そこへ注熱する
  (注:脾臓という臓器だけは、加熱を好まない唯一の臓器で、冷却したほうが機能が進むときがあります。
     そこは体調が悪い方の場合は自身の体に負担をかけないようにしたいので専門家に聞いてください。
     よろしくお願いいたします。)

 お腹を解く感じ.jpg

 

熱を注いで患部が改善して熱さが消えるということで、
その場を改善させて次に移るというやり方を徹したら。

私が、自分にこの作業をしたところ、
トータルで5時間30分の時間がかかりました。
(1)が1時間
(2)が3時間
(3)が1時間30分
です。


人により、これだけの長時間がかかるということから、
私の施術の場で、まんま同様なことはできないのです。

 

最近、手足等の末端が冷えを感じていたため
それくらいはかかるだろうと予想してたので。

見事に途中で寝落ちしていたため、
なのでベン石の温熱器で低温やけどをしない温度に調整することが必須です。

 


また一度だけこの注熱をすればよくなるといったものでもなく、
今まで冷えを強い続けた期間と量に比例すると考えてください。

ただやっていけば確実に肝臓の疏泄作用を向上させられますし、
肝臓下の横隔膜部分が働きが強くなることで肺を強くして、
それにより皮膚表面から内側に侵入しようとする外邪から身を強力にブロックしてくれるようになります。
肺機能が横隔膜の動きに関係し、
右側肋骨下が癒着が進みやすく横隔膜もそこで動きを抑制されやすい傾向があります。
それが肝臓への注熱で同時に改善が見られ、
呼吸器が強まれば「陽気」で皮膚の外側が満たされることで
風邪(ふうじゃ)、寒邪(かんじゃ)、暑邪(しょじゃ)、湿邪(しつじゃ)、燥邪(そうじゃ)、火邪(かじゃ)などの
6つの病気の原因とされる外邪を体の中に入れないようにしてくれるのです。

 

 臓器の奥(裏)にまで病気の位置が入り込んだものにも、
これにより肝機能を向上させたおかげによる良好な影響をあたえられたようで
生命の源ともいえる気血が全身に巡りやすくなったおかげか、
体質上の改変といえるような状態へと安定的に押し上げられやすくなるようだ。


以上、書かせていただきましたやり方をそのまま実行するには、
私と同様のベン石の温熱器をもっていることが前提となります。

ですが、
やり方のイメージが伝われば各自応用が利くのではと思います。

 


またベン石の温熱器を使うときに、ヘッド部分に工夫をすると。
このやり方では薬効成分を熱とともにじわじわと体内に入れやすくもあるため、
研究次第では、さらなる素晴らしい改善への有利なやり方も見つかるでしょう。

 

 


ただ身体状況により、効果は個人差があるため、
もしやってみて不調を感じたときはすぐに中止をしていただけるようお願いいたします。
ときには好転反応と呼べるような反応で、不調を感じるような方もいるようですが、
一般の方には、好転反応かそれとも悪化したのかが判別がつかないと思いますので。
大事を取っていただいたほうが安全でしょう。