ストレートネックの筋肉 <頭長筋・頚長筋>を計画的に自己調整していくこと


ある人がいいました。
バレエをしている人の首を見て、
「あいつは、ストレートネックだ!」と。


そのような声をあげたのは、施術家の駆け出しの方でしたので、
「ストレートネックの定義がわからずに、適当なことをいうのはだめだよ。恥をかくから」
と、やんわりとたしなめることがあった。
バレエをしている人の中にも、ストレートネックの定義がわからずに、
自分が病気のように思ってしまうようなことが起こりかねません。
そうなれば、後にその駆け出しの施術家は、恨まれることになります。

ストレートネックになる人は、かつてむち打ちをしてその損傷が治りきらずに継続している。
または頭部前方移動した姿勢(つまり頭が前に突き出されて胴体の真上に積まれていない姿勢のこと)。

そのような場合になります。

多くのケースではストレートネックになっていると、頭が前に移動した状態が観察できますから、
バレエをして首筋がきれいに整えられて上に伸び、胸鎖乳突筋がくっきりと視認できるならストレートネックではないのです。


ただバレエをしている方の中にも、かつてむち打ちの強い衝撃を受けて、その際の損傷が継続している人もいます。
その方は美的センスの良さから頭をどの位置に置けばきれいに見えるかを分析しています。
それで頭部が前に移動したかっこがいいとは呼べない状態に置くことはありません。

ですがそれでも頭長筋・頚長筋という、首の後ろ側の深層筋が炎症を持っていますから、
その部位のトリガーポイントを探ってアプローチをすれば激痛を感じる部分があります。
そのような専門的なチェックをおこなうことで、多分にストレートネック化していて、
頚椎の椎骨間の椎間板が狭窄し始めているだろうとみることができるのです。


そのようなことがチェックをすることでわかったとしても、
首の筋肉が問題があって緊張して引き連れてるといわれると気持ちのいいものではありません。
実は首に異常を指摘されると呼吸が浅くなるほど肩を上に持ち上げて首をすくめて首の筋や肩の筋を使い、
首の筋肉群を守ろうとする反応をとる人がでてきます。
それは意図的にしているというよりも、首に問題があると尋常じゃないことがおきていると深く認識し、
無意識にその部分をかばおうとする危険回避の反射のようなものです。

それはかなり影響が強く出る場合があるから、同業者の先生方の施術の時には素直に告げられても、
一般のお客様に対してはやんわりと遠巻きに概要をつたえて徐々によくなるようにアプローチしていきましょうということにとどめます。

頭長筋・頚長筋という筋肉は、後ろ側の首の筋肉のなかでも骨の近くを通る深い位置を占める筋肉で、
これらが緊張しすぎてストレートネックになった場合は、容易に解ける部分ではないのです。


オステオパシーの手技のカウンターストレインやマッスルエナジーなどを使ってみて、
それらでリリースがうまくいく程度のものであればいいのですが、
損傷がひどければ改善はあってもそれは少なく一時的です。
頭長筋・頚長筋が緩まるような首や背部筋や頭部の後面を十分に緩める準備をして、
それから頭長筋・頚長筋を見れる分を見ていくということです。
徐々に首の後部のリリースを深める必要が出てきます。

それはすでにストレートネックの状態が長期にわたって固定化された方の場合は特にですが、
専門家のアプローチを一度や二度受けたとしても、改善は容易ではありません。
急性のむち打ちによるストレートネックの場合は、カウンターストレイン等でかなり改善できるケースがあるのですが、
慢性化したストレートネックは、頭長筋・頚長筋周囲の頸動脈や神経を癒着という形で巻き込んでしまうことがあり、
その首に対しての急激な変化は非常に危険な事態を引き起こすリスクが高いのです。

新たなる頚椎のむち打ちや、吐き気から実際に吐いたり、ぎっくり腰になったり、等々、不測の事態が生じます。
この部位を大きく変えるには下準備と高い見立てと、それに磨かれた対応技術なしでは、
専門家の方であったとしても無理に負担をかけるほど触るべきではない箇所です。

 

それよりも日々、自分自身の首の後ろ側をセルフリリースとして、少しずつ少しずつ緩めるようにしたほうが、
安全かつ確実にストレートネックにも改善がみられるようです。
たとえばスモールサイズのベン石温熱器を使って首の後ろの周囲の筋の凝りを含めてリリースをするようにしたほうがいいでしょう。
セルフでのオイルマッサージなどは勧められるところではあるものの、頭長筋・頚長筋はあまりにも深い筋肉ですから、
その圧刺激も届かずオイルの患部への注入も思うように任せられないのです。
それゆえにいくらアプローチをしても成果は乏しいでしょう。
それがベン石温熱器の石部分の加熱が熱刺激として4センチほど奥まで到達できる力がありますから、
そうすると頭長筋・頚長筋にまで熱刺激を使ってその絡まって緊張したかのような部分をほどく操作になります。

そういった点をみていただいたうえでホットストーンの筋の内奥まで至る熱刺激のすばらしさを知れば、
自分のカラダのダメージ個所を、書き換える魔法使いのスティックのようなもののように、
スモールサイズのベン石温熱器を操ることができるようになるでしょう。

事実、石を温めずに圧をかけてリリースする場合と石を温めて圧をそれほどかけずにリリースした場合。

後者のほうが、あきらかに固まった筋のリリースや関節の可動域の拡大などが起きるのです。

そのような実際の成果がおこるようなアプローチで、深い位置まで体の奥に入り込んだ患部の炎症をもった癒着構造個所を自己調整をしていきます。


すると、今までそのような慢性化した患部部分には長い年月をかけて紆余曲折しつつ様々な歪曲しながら多層化したしこりの層が、
薄皮を折り重ねるように積もり積もった状態となります。
患部が急に痛みが出たからと言って、いっきにそれができたというのは誤認です。
そのような薄皮を積もらせてきた過程を通して積層させた患部を改善させる、最良のやり方があります。
その患部をこさえてきた逆をいくのです。
こんどは患部の幾重もの癒着部分の薄皮を、何年もかけてできたものを、やはり時間をかけて薄皮を剥いでいくのです。

それが体にとって多大なストレスとなる急激な変化を強いられることがないリリースの方法です。


私が一気にその患部の部位をアプローチするのには、事前にそれをかなえるような下準備を相当数計算して差し込んだあとだからできることです。
相当に難しい計算をしていると思っていただければ幸いです。


ただそのような計算をしての施術よりも、
しっかり自身の状態を把握できて、そのうえで患部の積層された癒着の薄皮を、
日々、少しずつはがすようにしたほうがすぐれた治療です。
はるかに最終的な仕上がりがいいでしょう。

日々、歯を磨いて汚れを落とすのが当たり前のように、
日々、体の奥に作られた癒着をほどいて多層化したけがれの薄皮をはがすようにすること。

そうした習慣を身につけて実践していく人と、そうではない人では。
将来的な迎えるところに違いが生じると思います。


最近、つとにそのように思えてなりません。。。