経絡を使ってアプローチをするセッションは、患部から離れたところに刺激を打って改善させることが多いのです。特に、慢性的な不具合を持った個所などは

ボウエンテクニックは、オーストラリアの東洋医学にも深い理解をもつトム・ボウエン氏が開発した
経絡を利用してカラダの芯から自律神経系統を整えていくセッションです。

欧米やヨーロッパでは、すでに広く知られており、
セッション方法の解説書や勉強できるセミナーも定期的に開催されるほど。
それはセッションを専門にする先生方もいれば、
ご家庭で家族に施すために学ぶ方も多数おられるようです。


すでにボウエンテクニックのセッションを受けたり私のように勉強しに行ったりしていれば別ですが、
そうではない方々がボウエンテクニックのセッションをしている様子を紹介した映像からは、
「このセッションって、いったい今、何をしてるの?」がはわからないはず。

硬くなった筋肉をゴリゴリ解かれるわけじゃない。
何をされているかわからないと思います。



たとえば、それが皮膚の奥に位置する水面下は、経絡の勉強をしたことがある方はご存知でしょう。
経絡は大通りのような幹線道路の経脈と中間やそれ以下のサイズの通り道の絡脈という、
体内を行く道路のようなものでつながるネットワークがあるのです。

経絡(または経筋)をもちいたアプローチでは、アプローチするため刺激する治療点を遠位にとることも。
「遠位にアプローチしたほうが、患部の近位で調整をとるよりも施術効果が大きくなる」ことが、非常に多いんですね。
患部の近位の経穴部に狙いを定めて刺激をしただけのとき。
実は患部よりもだいぶ離れた部分の経絡の道が通れなくなっているというのが原因であるようなときもあります。
これが慢性的な痛みや不快などがかかわるときには、ほぼほぼ、そうなんです。
突発的なけがなどで痛みがでた急性のものは近位の経穴でみて、それで納めることができることが多いようです。


経絡での遠位へのアプローチのとき.png

たとえば、右肩前部が不調だというとき。
右肩前部付近の凝りを緩めるという、近位へのアプローチ法もあるでしょう。
ですがケースにより、戻りが速かったり、しつこ過ぎたその凝りが改善できなかったりすることもよくあるケース。
それで右肩前部を解くとき、左足部の経絡上の関係ある遠位にある部位を刺激するというようなことをいたします。
すると実際にそういった遠位へのアプローチポイントにアクセスされて解かれたとき。

私の遠位へのアプローチをうけたときの体験ですが、不思議なことに、患部に手を一切触れてもいないのに、
右肩の三角筋前部に感じていた、深くいやなしびれや詰まり感が緩んでしまったのです。
ちなみに私の右肩前部の不調は慢性的な疲労蓄積でおきたもので、急性ではありません。
なので痛みを感じる患部がある部位とは程遠い位置に、すでに経絡上の流れを悪化させる部位が出来上がっていた。
そのような通行が不自由になって経絡中の気の流れが抑制されておきてくる自律神経上のネガティブな状態から生じたのが、
私の右肩の三角筋前部だった、ということなのですね。


経絡を使う遠位へのアプローチって、妙な感じがするが頼りになるテクニックだなと感心しました。


ですがそのときに私に治療をしていただいた先生がおっしゃるには、
「患部に触れることなくなおるものだから、なおったあとに痛みなんかなかったんじゃないかというお客様が出てくる始末で。
 なのでお客様の性格をこちらが見抜いて、事前に患部に痛点があることを押圧して【痛感による不快】を認識してもらうこともします。
 そうしないと、あとで治療代は払いたくないというトラブルが、ほんとうに起きたことがあるので困ったことですが」
と話してくれました。




ボウエンテクニックのセッションについて理解がある方には違和感を持たれる方もいると思いますが、
たとえ方としては、ボウエンテクニックのセッションも、そのような患部を触れずに遠位のアプローチしていく流れがあるんですね。



そういった経絡を使い遠位を調整するアプローチ方法は、
とかく、受ける側には、直感的に何をどうしてそこに触れたがるのかがわからないものなのです。


そうなってくると、セッションを受けていただいている方に、
少しでも直近の自身の現状がどのようであるかをわかってもらえるかどうか。

自身の状態に気づいてもらう、または認識してもらうような、
施術前、施術後、をわかりやすくしたほうがよいケースも出てまいります。

ボウエンテクニックのセッションにも、
施術技術のなかには、腕の上がらない状態(五十肩など)で困っていたら、
その場合は挙上しづらい手をセッション前に挙げてもらって、
セッション後にも挙げてもらうと確かに手を挙げるときに先ほどのような痛みが軽減したとか、
より高くスムースに挙げることができるようになったなど、
変化を自分でも実感することができる手技もあります。

ですが、五十肩のセッションのようなわかりやすいプレゼンテーションをする手技は、数少ないのです。

そうなると
セッションをしている側としては、クライアントの身体を的確にチェックして、持てる効果実証されている技術をフルに使います。
セッション前後ではどのような変化があるのかを見ています。
ひとつの施術技術の手が済んで反応がでたらそれがおさまったら次の部位へのセッションをしているのです。
ですがそれらほとんどのセッションの流れは、
五十肩のセッションでおこなったようなプレゼンテーションがないままに、セッションが進行していきます。


するとお客様自身のボウエンテクニックのセッションを受けた感想は、
「ボウエンテクニックのセッションって、効いたかどうか、、、口で説明できないんだよな。
 あ、いや、でもね、リラックスはできて気持ち良かったと思うよ」

ラクゼーションのためだけに足を何度も運ぶというのはつらい方もおられると思います。

なので、少しでもお客様にお体の現状を認識しやすいようにしていただけるよう、
適度なお客様がいっしょに参加していただけるような検査(チェック)をしていくとよいことが起こることも。





YouTubeで【ボウエンテクニック】について調べたら、
興味深い映像が見つかりました。



The Bowen Technique | An introduction to Bowen Therapy by Dr Manon Bolliger, ND



私がボウエンテクニックを教えていただいた先生系統ではないのは、所作の節串でわかります。

そこは「それぞれがすばらしい!」ということなのですが、
こちらの映像でセッション中に、Oリングテストという筋反射テストの一種を利用して検査をしているシーンがあります。
もともとのトム・ボウエンが教えたやり方では、Oリングテストは、使っておらず、
映像内のセッションをしておられる先生のオリジナルな工夫を加えたやり方です。

それはたとえば、13分34秒あたりです。

Oリングテストは、施術を受けるクライアントに左手の親指と薬指の指先同士をつけてもらい、輪をつくってもらいます。
【 Oリングテストは、親指と薬指をつける場合以外にも、
  親指と人差し指というように薬指以外の指を使って輪をつくるときもありますが、
  薬指を使う方が人差し指で輪をつくるよりも正確かつリラックスして検査できるので、
  私も自身でおこなうときは薬指を使います。】


ボウエンテクニックは、クライアントの自律神経上の興奮がすみやかに落ち着きやすくて。
まどろみのなかでセッションが続き、そして終了していきます。
そのようなひとときを期待してうけるクライアントならばうれしいことですが、
セッションでなにかすばらしい変化が起こるのではないかと期待に胸膨らましている人には、
「眠くなったらいつのまにか終わってた(何らかの効果が果たして私にあるのだろうか?)」
という疑念を抱くこともでてくると思います。


そうなると、
お客様自身もお支払いいただいた料金はいろんな意味で高くついたと思えてしまいます。
そして施術者も、思いが伝わらなかった無念から、嫌気がさすこともでてくるものです。



そうならないようにするための下準備として、
こちらの映像でなさっておられる先生のように、
適宜なところでOリングテストを使っていくことは良いアイデアだなと感じました。

残念ながら、お客様が「Oリングテストって、なに?」と、
そこに懐疑心を持たれることもあるかもしれません。

ですが施術者側がOリングテストをセッションで使い慣れて、
自信をもっておこなう強い様子がうかがえると、
多くのお客様はその勢いに飲まれてか、
かなり正確な判断をそこから引き出すことができますので。




ボウエンテクニック中に、Oリングテスト。


いつか私も試してみたいと思います。 ^-^