ベン石温熱器は、誰にでも、どんな場合でも使いがってのよいものなのか?

ベン石温熱器は、誰にでも、どんな場合でも使いがってのよいものなのか?

そう質問されたら答えは、NO、です。

ベン石温熱器の利用法を限定的に温熱療法のひとつとして認識するとき、
NOという返答が返ってくるのが正解です。


熱証』『寒証』『平証』という、三つの証があります。

温度仕切りの見立てだろうと、直感でわかりますね。

熱証』は、熱が行き過ぎるほどあふれて症状かした状態
寒証』は、熱が行きわたらずに足らなくなったため症状がでている状態
平証』は、『熱証』でも『寒証』でもない、ちょうどいい熱の中道をいく理想状態



「温法」として< ベン石 >をもちいるとき、
石を加熱しホットストーン化させる。

『寒証』と見立てられる方に対しては、かなりのカラダの個所に対してフルで大活躍できます。

< 『寒証』は、熱が行きわたらずに足らなくなったため症状がでている状態 >なので、
熱が足らないところを皮膚の上から熱を体内に注ぎ込み補うのです。

「補法」といい、冷めた個所に注熱をおこなうことで平穏無事な平温へと体内を戻す役割。
体温を数度上げるような代謝を起こさせれば、その時点で血行の阻害されていた体内のブロックが一時的に解除され、
免疫系への賦活へと状態を上向かせることもできるでしょう。

対して『熱証』。
たとえばすでに熱が高まって体温を高め熱がこもるような状態であれば、
その状態に輪をかけて体温をあげたりしてはどうなるでしょうか?

高温状態の身体を平温という低い体温へ熱を引かせるという低体温化へ向かわせる作用を機能させ、
無理やりバランスをとろうとする羽目に。。。
すると体内の温度バランスは崩れ体調が乱れるのです。
なので「温法」は、原則的に『熱証』に用いないものです。

患部の熱がこもるところから「熱を除去する」ほうが順当。
なら、どうすればいいでしょうか?

『熱証』の熱部を、寒冷のマイナス温度を触れさせて拭い去ります。
ガスコンロで鍋に水を入れて湯を沸かし沸騰させたとき、
その熱湯を冷ますのに冷水を注げば冷めますから、それと同じこと。



ただ、
「なーんだ、じゃあ、私は熱が高いからベン石温熱器は使えないよね」というのも早とちりかもしれません。


『熱証』『寒証』『平証』を、身体全体として見立てることもできますが、
そこを人体を「パーツごとに」観察する視点へと目先を変えることにしましょう。



頭部、

胴体(胸部)
胴体(腰部)
胴体(骨盤部)
腕(上腕)
腕(前腕)
脚部(大腿部)
脚部(脛部)

脚部や腕部に限らず、全身を前後左右上下などの位置や深さを別に観るとします。


すると、一見すると全体的には熱証だが、脚部は様子が異なって寒に傾いてるな、、、とか。

人体を細部へ観察して内部まで分け入ってみえてくる目をもって見つめる目であれば、
独りのカラダの内側には『寒』といえるような<寒冷部>がそこかしこに見えてくる。
私はボディチェックで体を観察したデータから、
サーモグラフィ画像のように人体をイメージで色分けして描いていきます。
『熱過ぎ』を濃い赤から薄い赤、『寒過ぎ』濃い青から薄い青、『平(ちょうどいい)』を緑色に、
カラダのパーツごとを塗り分けた画像を作成するのです。

そうすることで『熱』『寒』『平』のそれぞれが高度に<循環器上のネットワーク>が現れる図が浮かび上がります。



私もちょっと見でのボディチェックでは、その図を正確に作図できていませんが、
施術をするときに内部状態を探る探査モードで観て精密な図へと書き込みを増やしたり、
訂正や修正をすることもあります。

そのようなサーモグラフィ画像のような色分けされた絵を元にしているので、
主訴を教えていただいてた対処するにも役立てられます。
たとえば、
この部分は温度が低いからベン石温熱器をじっと60秒ほど当てたままにして注熱しておこう、
この部位は温度が高いから温法としてベン石を使うのは差し控えるべきだから
熱を放熱しやすくするような冷却目的でつかう石や金属をもちいよう、などを計算ができるのです。


そしてお通いいただいているお客様のカラダの状態は継続的に変化を見ています。
前回のお客様のセッションでのサーモグラフィ画像の情報を記憶しているので、
前回の状態と今回の状態の差異がどのような施術の結果、またはお客様の生活上の出来事で現れたのか、
それがプラスのものであればさらにそれを推し進めようと話をしますし、
それがマイナスのものであれば気になるところがあるのですがと話をもっていきます。
これはお客様の施術を再度受けていただけるとき、
カラダ内部を平温というちょうどいい温度状態へと体を導くよう、
時系列的な流れで見られ調整されるメリットとなるでしょう。


最後に。
私は買い逃しましたが、
オステオパシーの巨匠ともいわれているようなバレル先生の著書に熱を診るというものがありました。
ただいまは絶版になって、古書が私には手に入らないほどの高値になっているものですが。。。
人体の熱を読むことが、見立てに活かされることへの関心を喚起させていただいた本があります。