慢性化した四肢や首、背中などの凝りは、腹部にもダメージをあたえてお血をためだすきっかけとなります

腹部の不調感

お腹に違和感を感じると「しんどいな~」と感じます。

「腹診」といって、
お腹を手で触らせていただくことで体調をチェックする方法があります。

硬さや張り、温度の高さ、湿り気を探ったり、
適切な圧でお腹のポイントを押すことで痛感や不快感を報告してもらうことで、
現在の体調をチェックします。

日本漢方の腹診.png


たとえば「日本漢方」での腹診は上図のように観ることとなります。


腹診は、流派が複数あるためそれぞれの判断結果の差異は現れます。

脈診では左右腕の手首の橈骨動脈上にある寸・関・尺を浅く押さえ、
深く押さえ臓器の状態を読むという見立てが日本漢方ではあります。
たとえばそれは次のように。
左手の寸口を押えて「心」、関上を押さえて「肝」、尺中を押さえて「腎」。
右手の寸口を押えて「肺」、関上を押さえて「脾」、尺中を押さえて「心包」。
ですが中医学での脈診講座では、そのような見方は教えられませんでした。


なので、流派が違えば、いろいろ違いもでてくるので、
そのことについて結果が不安定で信用ならないといっていた方がいました。

ですがどのような流派でも経験値を高めた経験豊かな先生は、
基礎的な知識を得た後に「守破離」と原型をさらに発展させ見抜く力を増していくそうです。
そちらのほうが大事なんでしょうね。
(すいません、横道にそれました m__m)


腹部を触る診断法は、すぐれてその消化器に関する現状をあらわしております。


ただ私の施術中に腹部の状態を筋膜を緩めるときに知ることがあります。

たとえば、背中の起立筋を緩めたらお腹がごぼごぼと言い始める、とか、
たとえば、腕の肘の内側の凝りやひざ周辺の凝りを緩めるとお腹がぎゅるぎゅる言い始める。
それは四肢や筋硬化が著しい部分を緩めたときのように、お腹からはだいぶ離れた部位を緩めているにも関わらず、
かなり容赦なく腹部からその内部の緊張が解放されたときの音がしてくるのです。

腹部から離れた筋肉であっても、
腹部まで硬化した筋肉の引き連れが幾本もの筋連鎖の作用で引きつりの影響が及びます。
腹部内部にも引き連れが起きてしまうのです。
もともと腹部の消化器、特に小腸や大腸、胃や女性では内性器など位置が動きやすい設定の臓器は、
四肢等の遠方からきた筋連鎖上の引き連れによって位置をずらされて硬く張りがでたままにされやすいのです。

本来のそれら臓器の流動的に動ける遊びの可動性が制限されると同時に、
そのところにガスや酸化したお血やリンパなどの老廃物が蓄積してそこに停滞して場を汚しやすくしてしまう。


体の隅々の筋膜(ファシア)の強さのある引き連れの影響で、
気づかぬうちにお腹の奥に酸化した毒、つまりお血が貯まりだします。


上述でみてきましたように、
「腹部はその場所にある臓器の状態だけではなく、腹部から離れた個所によって生じたトラブルにも影響を受けやすい繊細な個所」です。
だからこそ、腹部を見ることで様々な体の表面上にあるトラブルではなく、
深部の様子もお腹の状態に鏡に映すように反映して、深い読みがかなうのです。
優れた体の内部情報を読み取ることができるのです。




ちなみに。
先に申しましたように、腹部には腸管や臓器との隙間などには老廃物やガスがたまるスポットができやすいのです。
健康を害したときには、知らぬ間に陥っているお血溜まりが進行しやすいスポットとも呼べるでしょう。

私自身も、そのような印象が強いため、自身の体調が悪くなっていると自覚するときには、
内臓部の奥にため込んだコールタール状に粘って臓器同士を癒着させて身動きを停滞させる原因になるお血を流していく施術を。
非常に長い時間をかけて丁寧にしていきます。

体の四肢の末端のその場の悪影響は、最初はその患部に痛みや不快感などの症状をだしてくれるわけですが、
それがやがて慢性化してしまえば。
内臓の奥にその影響が病化するようなダメージを蓄積させて、
様々な疾患やトラブルのもととなるのです。

自分が不調のとき、自身の身体をよくみることで、
手で触る腹部の異常と、それを緩める操作の時どういった不快感を感じるかを観察しています。
これも大事な腹診の勉強だと思っています。



ただし多忙で2時間~4時間と、時間が取れないようなときは
吸い玉療法でもちいるカッピングで腹部の問題個所を吸引して瘢痕状にあらわれるお血の色をみます。
赤なら疲れがたまってるな、紫なら少し奥まで病位が進んだなとか、黒々していたらこれややっかいなところまで落ちたなとわかります。
カッピングであらわれた痕をみて、腹部の様子を視覚的な判断もしやすくすることができます。
そしてカッピングでお血を排泄するために必要な量の代謝を患部にあたえることにより、
徐々にそこに含まれたガスを含め酸化した物質を排泄していけることとなります。