排酸棒をもちいてお客様の鎖骨リリース、順調でした。 ^-^

昨日の施術にて。

お客様より胃に関連する部位のリリースを希望していただいております。

そのためには。
胃経上にある経絡線上の筋連鎖を妨げている箇所をみつけ修復を図るというアプローチも。



以前、私が書いたブログに鎖骨を排酸棒で調整するという内容があります。
胃経は鎖骨の真下あたりの位置に、大変重要な経穴があるのですが、
鎖骨という骨がその経穴をふたをするような位置にいるとき。

物理的に圧等をかけて鎖骨の下にある経穴へ適切かつ適量の刺激を加えるのは難しいのです。


2021年04月21日
「コロナ下での大変さ」と「排酸棒を複数使うと鎖骨も解きやすいのですね」
http://bodywise-note.seesaa.net/article/481115974.html



だったら、どうすればいいの?


鎖骨が、鎖骨下の肋骨1番や胸骨柄などの隣接する別の骨と癒着をするときに、
鎖骨を理想的な可動域にまで位置を動かせないため問題が生じるということですから。

鎖骨を、まず、まっさきに動かせるように仕上げていけばいいのです。


鎖骨を動かしていこう.png


これは慢性化した鎖骨の骨どおしの癒着が進んでいるとき。
そちらのリリースは簡単なことではありません。

古典的とはいわないまでも、
やり方のひとつとして、鎖骨の真ん中あたりを鎖骨の骨を施術者が上下を指でつまみ上げて乖離させる。
そのようなやり方がアプローチとしては一般的かもしれません。

もう少し丁寧に視れば、鎖骨が付着点をもつ靭帯部分の癒着による凝りを、
オステオパシー系の手技で靭帯部のリリースを先行しておこない緩める。
そのようなことから始めます。

それで少しずつ鎖骨も胸鎖関節部の拘縮した凝りが少なくなる等により、
鎖骨の動きが改善していくのです。

ただしそのようなアプローチで、鎖骨の関節可動域が理想の半分まで進んだとしても、鎖骨の骨の裏側に位置する胃経の経穴に、
ピンポイントかまたはその周辺ぐるりを緩めようとしても、まだまだかなり鎖骨が患部の胃経の経穴部への圧を拒むかのようです。
これではまだ不十分。



なので先だってブログにも一部書かせていただいた鎖骨へ排酸棒を使ったアプローチをしていきます。

まずは鎖骨を解く前に、腕の末端から肩部(一部肩甲骨や腋下の肋骨部位を含む)を緩めます。
そこを手を抜いて鎖骨のみを胸鎖関節部を瞬間高速加圧でリリースをかけるやり方もありますが、
手の末端部までの筋緊張がゴリゴリで緩まっていないと、早々にそれでは元の鎖骨の変位状態へと戻りやすいのです。

なので、先行して解く部分を先に十分緩めておいてから鎖骨のリリースに映ります。

やり方はシンプルです。

ただ鎖骨は骨折しやすい個所ですから一般の方は、実際に自身ではやらずに、
「そのような緩める作法があるのか」というやりかたの存在を認知していただくにとどめたほうがいいでしょう。
同業者の方は、自己責任の上、このやり方をお試しいただきたたき台としてもちいていただければさいわいです。



排酸棒を2本(~3本)用意します。
まずはお客様が仰向けに寝る姿勢。
(座位では、お客様が急に前後等姿勢を変更なさる恐れがあり、その時点で鎖骨に骨折等の危険が及びます。)
鎖骨の中間位の上下に排酸棒を鎖骨の下に潜り込む方向へ密着させるように設置します。

鎖骨を上下の排酸棒をつかって挟みつつ、上下の排酸棒の当たっている組織の必ず柔らかいほうから詰まりを緩めます。
鎖骨の上下の緩めようとする側の排酸棒を、リズミカルに加圧・減圧を痛みの様子をみながら繰り返します。
「多少の痛みは感じられるが、痛すぎない程度」を目安にしてください。
そのときアプローチ中の側の腕を持ち上げることで、鎖骨を体幹から引きあげ、鎖骨部のリリースが進むようにします。
極力、排酸棒を握る手は、排酸棒をむんずと力を込めて緊張気味に握るのはやめて、
手の小指側を尺骨側に引手を感じ、橈骨を親指側を前へと押し出すように感じながら操作するといいでしょう。
そのように排酸棒を握る理由:患部のこわばりが強いと、握り方が悪いとリリースには歯が立ちません、特に鎖骨下の鎖骨下筋のアプローチはそうです。安定した圧が出せなければ痛みが出ます。

柔らかい側の患部を緩めるよう先行してアプローチすれば、硬さが強かったもう一方の側も緩みだし落ち着いていきます。
そのようにこわばりが強い炎症が激しい側を後からリリースをするほうが、お客様の感じるリリース全体の痛みが格段に下がります。


ある程度のリリースが進んだら、加圧と減圧を繰り返す段から、鎖骨の骨に沿う排酸棒の先端を動かすずり圧(ボウエンテクニックのムーブならなおよし)をかけます。

それからまた加圧と減圧の上下動や、横向きの鎖骨に沿ったずり圧を丁寧に繰り返すことで、
鎖骨の上下の筋が深部まで緩みだします。




このやり方で、昨日のお客様の鎖骨は正常な状態まで可動が現れました。

そのおかげで鎖骨を上方にうまくずらせて、的確に胃経の経穴:缺盆(けつぼん)の横向きの段々になった個所をたやすく解かすことができました。
これで私が見つけたところでは、胃経のラインの体表に現れた経穴部は、すべてツボを消すことができました。 ^-^


ここまでくるまで、「ベン石温熱器でどうにかならないか」とか「ベン石スティックでは?」など、
多くの施術ツールを買って自分に試してはボツるを繰り返し、20ほどのツールを試した感じになります。



そしてそのお客様から、「鈴木さんの施術は、進化ではなく、『深化』だよね」と言っていただけました。
筋膜リリース以外の多くに手を出すのではなく、そこを一点、どんどん深く掘り進んでいく。

ほんとうにうまいこと言うな。 ^-^


笑点の座布団運びのように、座布団を差し出したくなりました。


私が、様々な道具を手を出しているようにみえても、
そうする目的は単純にひとつなのです。

カラダの深部にできた埋設物を掘り出していくこと。
本来はその人にはそれが必要ではなく不要なはずで持っていてはいけないものだった。

そこを呪術でもなければマジックでもない、誰にでも対応可能な再現できるノウハウをつくりだすことに終始しています。

「鎖骨の下を解く」という筋の下ではなく骨の下を探るという部分は人体には他にもいくつかあるのですが、
鎖骨の下は私にとって特にリリース難易度が高いもの。

鎖骨部を通る経絡の「胃経」、「腎経」そして肩甲骨の一端である烏口突起下の「肺経」・「大腸経」なども
鎖骨の不自由な可動制限があれば悪影響をあらわすものでしょう。

なので、ひとまず私が観て鎖骨の可動が完璧な状態にというのはうれしいことでした。
こちらのお客様、非常に研究熱心でカラダのことをメモってくれて貴重な情報をつたえていただいております。
身体操作について、きっちりポイントを把握して身につけていかれてます。

そういった土壌がカラダに備わっておられるから、鎖骨のリリースがより安全かつスムースにいったことと感じています。


また、、、この鎖骨下の経穴がいくつかあるのですが、それらはすべて呼吸器だったり肺に影響が根深いもので、
この部分がネックとなれば花粉症などのアレルギーが現れやすくなります。
逆をいえば、ここがしっかりほどかれて気血の流れをここを順調に通してあげるようにできたら。。。
おおよそ他のお客様たちも、この部位の改善が深化すると花粉症等アレルギーが収まるということをみてきました。

私もときどき花粉症時期の始まりに疲れ果てた体をしていると、目のかゆみや鼻水がでてひどいことがあります。
そんなとき、今だったら排酸棒のお世話になりますが、それを知らなかった当時は鎖骨を骨折させないよう注意を払って、
ぎりぎりのリリースを自身に施して花粉症の症状を消していました。速攻で消えてくれますが、相当に激痛な解き方です。
お客様に私自身にしていたことをすれば、訴えられそうなのでできない、というレベルのものです。

でも排酸棒でうまく順序だててリリースを積めば、私自身に課した激痛な鎖骨部及び胸骨、上部肋骨の腋下などを解くのも、
痛すぎない程度にしても効果が出せそうな気がします。

排酸棒は、私にとって施術に活かせるポテンシャルの高さを読むことができるものの、
それはベースに施術の型を知っているから。
すると、「この患部はこのように排酸棒を応用しよう」と発想がでてくるのです。

排酸棒を買っても、排酸棒の使い方の詳細を教えてくれる教材がない。
それは私の自由な発想で使いこなす上限を削らせずに役立ってくれています。 ^-^