首は、硬いから解こうとすると、かえってつらくなることがでてくる繊細な部位なのです。

首、肩が激しい痛みが感じられるとき。
ほんと、耐えがたい痛みを感じるときがあるんですよね。

じゃ、痛みを感じている頭頸部のみを、ぐいぐい圧をかけたり、
マッサージ機を使うなどして。
主訴である首を、まずは解きたくなります。
それは本能的な反応で痛いところに手を当てることもあるはずです。


では痛みのある首のみを解くのでよいのか?

それは場合によるのです。


首が問題で首が痛いとき、
そのときは、単純に首へのアプローチで、(ある程度)かたがつきます。


ですが首の痛みが出る原因が、別の部位から飛び火したものであるときは違ってきます。
そのときに首のみを緩めると、一時的にときんだ時は解放されたかのように感じますが、
そう時を置かないうちに、首の痛みがぶり返します。
そしてその痛みが、先ほど解く前以上に強烈になる場合も出てくるのです。


施術家の方々にはなじみはある方も多数おられるのですが、
以下の3つの状態にわけて状態を当てはめてみることがあります。


(1)頭頸部由来から体のゆがみが生じたとき(首周囲の筋の炎症が初期におこり、悪化し進めば骨盤部等へ凝りや痛みをあたえる)

(2)骨盤のずれから体のゆがみが生じたとき(骨盤周囲の筋の炎症が初期に起こり、悪化すれば頚部等への凝りや痛みをあたえる)

(3)頭頸部と骨盤の両方からの影響から体のゆがみが生じたとき(複合型)
   (頭部周辺か骨盤周辺のそれぞれどちらか、または両方に痛み等の不快感を感じるが、痛みの強さが強い部分が悪い部分とは限らない)





以前の緊急事態宣言は終わりが事前にわかっていましたが、
この度はそうではないという特殊性を強く感じています。
それがあって緊急の施術はアフターフォローであればご予約を受付したほうがいいのではと思い始めていた。
そのように私が考えていたときのことで。
イムリーに緊急の施術のご予約を受け付けさせていただきました。

それにて昨日、緊急で施術のご予約をいただきました。


「頚部と上背部の強く不快な痛み」から、
せっかく始められたすばらしい運動の試みを続けていいかどうか迷っておられました。


その高度な運動の魅力はすばらしいもので続けたい気持ちが強いが、
「頚部と上背部の強く不快な痛み」が相当な強さで襲ってくるから、
痛みに対しての我慢強さがある方ですが、
あわないようだったら辞めるべきか考えるほどの痛みだったのです。


結局は右側の梨状筋というお尻のなかにある安定的に力強く股関節の接合を維持するための筋肉が、
通常のこちらのお客様では観たことがないような硬化し膨れ上がった状態となっていました。
この右梨状筋の影響で骨盤の水平ラインが傾斜して、脊椎をゆがみを作り出してねじりだし、それが上背部と頚部に影響し痛みとして出た。
という流れです。

痛みの源流をたどればお尻の部分の「骨盤の問題」。
首などに痛みがでていましたが、その痛みに見合っただけの硬化委縮が進んでいるわけではありませんでした。
首や上背部が緩いというわけではありませんが、おおよそ本人が感じるほどの痛みを引き出すトリガーポイントにはなっていない状況でした。




ただ本人の感覚として、
主訴となる痛みがある不調部分は「頚部と上背部の強く不快な痛み」であり、
骨盤部分にある不調には自覚的な問題を感じていないようです。

なのでストレッチポールで頚部を緩めるようにしようかと思うとおっしゃっておられました。

私がもし施術の勉強をしていなければ、
やはり同様に痛みが出てしまった部分の炎症を和らげるよう患部へとリリース操作を加えたでしょう。
本能的なものですよね。痛みがあって、そこをまっさきに緩めたくて手を出すということは。


ですがこの度のケースで、首や上背部のみを解こうと、
丹念にセルフワークとして加圧していくような手技を加えていくとどうなるか?


頚部等を解いている瞬間は血行がよくなって気持ちもいいのですが、
徐々に頚部をしこり化させて安定して頭部の重みをささえる部位を取り除かれる。
すると痛みの源流となる骨盤部の問題(この度は右側の梨状筋ですね)が
起立筋群という牽引ロープでもって頚部をゆがませる力を強めることになります。
そうなると首をコリコリ解けば解くほど頚椎の椎骨の環椎部分の骨のずれがあらわれたり、
上部胸椎の骨部といった骨のずれがでてきて固定されるようになってしまいます。



「懸命に解いてるつもりなのに、なぜ、成果が出ないの!?」
という迷宮に入る気持ちに陥る場面です。

私もよくこの状態に陥ってパニックをおこします。
施術をするという形でお客様のカラダを客観視するときは冷静に物が観れて判断できるのですが、
いざ、自分の身体が芯に響くほどの鋭い痛みなどが襲ってくると、、、迷宮に入ってなかなかでてこれなくなります。
徐々に改善してきて精神的な余裕やゆとりがでてくると、「まだまだ愚かなものだな」と、苦笑いをします。
なのでお客様の感じられている身体状況と精神状態は察せられているところなのです。 ^-^;




一生懸命に頚部をストレッチやストレッチポール等で緩めては状態が悪化する仕組みに乗っかると、
セルフワークの成果が実感できず、脳への血行不良を加速させて精神的にきつさを感じるようなこともでてきます。
脳に血流が十分満たされていないときには、自然にリラックスできない交感神経が優位な状態が続くようにできていて、
身体を深く休めたくて休んでも、復活した感じが持てないのです。


ただ骨盤の奥の梨状筋が過度に硬くなったままという状態が抜ければ、
そこが地雷となって被害が飛び火しているわけですから状況は改善します。
このお客様の場合にも、日々の運動を楽しみながらおこなっても、
運動終わりのセルフワークが的を得て骨盤部のピンポイントを射るようなリリースがクリアできていれば、
早々に今日一日の疲れをリセットでき復活できるはずです。


なのでその運動をしてもOKでしょう!

そして梨状筋が凝ったらそこを見つけだして丹念にゆるめる。
それから頚部や上背部もストレッチポールをかける。
このながれで運動後のケアをすれば当面の間は問題なくいけると思います。




施術でしっかりと骨盤部の梨状筋、それに外旋六筋といわれる筋肉のいくつかを適宜リリースを加えていきました。
これでほっとしていただけたはずです。




首を単独で緩めすぎることで、かえって自分の首を絞めているとき。
別の所に首を不調にさせる原因が潜んでいることが多々あります。

首は解くのはほんとうに判断が難しい場合が多いのです。
施術をするものだからこそ、そのことがよくわかります。
十分な注意力と専門的な知識をもっていないと、やっかいなことをたびたび引き起こすのです。
施術をする先生でも、その方の力量が問われる個所といえるでしょう。