「水やり10年」のごとく 、ひとつのことを考え続け深みを出そうとするときは時間がかかってしまうことがあります。。。

園芸や農業の世界では、
「水やり10年」という言葉があります。

栽培している植物に、
どのタイミングでどれだけの水をあげればいいか。
たとえばバジルを育てるときに、
水をいつも多めにあげておけば枯れないが、
根が育たないため病害虫やちょっとした日照りにも弱くなってしまう。
さりとて水を切らして放置すれば枯れて再生不能に。

それがわかるようになるには、
特別な専門性の高い栽培知識と同時に「鋭い観察力」が必要です。

栽培している植物の状態を多彩な視点で情報をキャッチできなければ、
専門知識という基礎力が活かせません。

観察力をもって栽培をしても、
つい水やりをしすぎて根腐れを起こさせたなど、
かえって人的な操作が過剰にまで入らないほうがうまくいくこともある。

ただ、そうした失敗も観察力をもって意図的になされたものであれば、
まったく同じ事は二度とやることもない。

観察力を活かして体験値を増やせたから、
1から10のうちの2~3がミスっていたからそこを修正すれば成功するということもわかる。
誰かが「それはやっちゃダメ、危険だから」と言っても、
それをうのみにして手を出さないのは施術の初心者です。
まだ経験が浅ければ、そのような忌避事項の通りにする。
それが正解です。

ただそれでは成長戦略上、万年初心者でいたいならそれでもいいのですが、
多くは2~3の驚異的な破壊力をもつ地雷が潜んでるが、
そこを細心の注意力をもって爆破させないようパッチを当てて危険を回避するなら。
「禁じ手」が「画期的なまでの生きた手」に化けることも歴史としてございます。
そこがわかるまでは基本に忠実に理解を深め続けること。


そのような「含み」があります。


そうした観察力に裏打ちされた着想から発展した仕事は、
一見すると力技で押し切ろうとしているように見えても、
鍛えられたものだから危なっかしく見えても着地する地点をめがけて降りることができます。

元気な植物に水をあげるより、
葉色が黄ばみ元気を失った課題を持った植物を持ったときのほうが、水やりが格段に難しくなります。
そのような難易度が高い状態の植物を必死に手当てする気持ちで観察して意図的な人的手出しをする。
ここでは水やりですが、それにもかかわらず幾度も枯らしてしまう。
そうした末に、わかってみればたいていは非常にシンプルな解法が見えてきます。


その技術が身に備わり、ものが見えるのが「水やり10年」。

そういうことでしょう。





「施術」もこれと同様のことが言えます。


最初は基本となる専門知識や経験が身につくことが前段階として必須です。
専門知識を身につけるには「特別な観察力」を磨き「観察した経験」が必要です。
そこで積み上げた知恵や技術をストックすることで対応力の選択肢を増やします。
天才でない限り、地道な行脚となりますが、それでも少しずつ進んできている実感を持てることもあります。




昨日、施術にて。

以前よりお越しいただいているお客様です。
お客様には一回ごとの施術で登ってきた私自身の施術力の成長の歩みです。

課題としていくつか解消すべき点がありました。
ただ上述した「水やり10年」のごとく、
カンタンな決まり事として解けるものではありません。

植物ならば枯れて残念に思い落ち込むこともありますが、
お客様に対してはそれでは済まないのです。

体位により変わりますがうつ伏せにて頸椎部分を観察します。
おおよそ第二頚椎の右への椎骨自体のずれ幅が6ミリほどでしょう。
ただ第二頚椎の棘突起先端部の回旋によるずれは1.5~2センチ弱。
この第二頚椎のずれから環椎(第一頸椎)の水平軸の乱れと位置ずれ。
今まではこれらの部分の状態は硬い閉じられた後頭結節。
だったら、この後頭結節を無理やりでもこじ開ければいいのではと思われるかもしれません。
でもそれは植物の根をダメにしてしまうような人為的な水のあげかたと同じこと。
落としどころをつかめないまま手を出せば、植物が枯れるように、人も同じです。

こちらのお客様もこのもっとも施術上、難易度が高いと言って過言ではない。
第一頸椎は、そのような個所です。


昨今、こちらのお客様の状態が上向き、
必要な筋肉量の増加、呼吸器まわりの開放など、
第一頸椎部分を動かせる土台作りが進みました。

イムリーにベン石温熱器で加熱して緩めて排酸棒でディテールを緩めるというやり方で、
部分への対応ができるだろうというところまできました。

私自身の身体(このときは頭部ですね)で試したのですが、
気を失うほどの激痛が襲ってきたのです。。。
私が相当これらの部分が硬かったためですが、
私以外の方々でも硬い方は少なくありません。

私は自分で自分に激痛アプローチをしているわけですから、
誰かに「いたいじゃないか!」と恨み言を言うわけにもいきません。

私はこの痛みに耐えて3週間かけて解ききりました。。。。。
だがお客様にこれを耐えてくださいというのは、無理だろうなと思いました。
というのも、激痛を感じつつも3週間かけて一日に30分~1時間30分解くと決めて解いたわけです。
それで解けたわけですから。。。
一番痛かったのは、私の場合は、初日から4日目まででした。
痛すぎて涙がでてきましたから。。。
凝りの部分が表面が解けて中層の凝りが出てきて、そして深層の骨膜との癒着部が出てくる。
そしてこの深層の骨膜と筋膜または腱膜が癒着している部分が神経が鋭く痛みを感じ取るようになっております。
激痛が出て、そこのエリアが解けるとリリースを受けても痛みの具合の小康状態となり、やがて骨膜部に凝りのほどかれる部分が出るとまたもや激痛。
そういったところです。


帽状腱膜等頭部の白い部分は激痛.png

ただ、実質、この頭部の絵で赤い色ではなく頭部の上部や後頭部、耳の周りなどの白い色の部分は、
もし頭部の骨膜と癒着が進んでいたら激痛なんです。

だったら、排酸棒を使って軽擦でかるくこする感じで済ませばいいんじゃない?


いや、いや、それでは解けていません。 -.-;
お客様自身がセルフで解くのでは、実際は解き方のスペシャリストではないし、
どのような危険がそこに含まれているかは解き進めなければわかりません。
そのようなリスクも少なくはなく、私が3~4割ほどのある程度の部分を解ける引水役をするかどうかで、
違ってくるでしょう。
そうしてから「この部分をこのようなイメージでご自身でも解いてください」とお願いされたほうが感じがつかめるでしょう。
それがないまま、頑張って解きましょうといわれても、、、「?」と不安が脳裏によぎるでしょう。
不安感は継続の手を止めることになるでしょう。
どこをどうやればいいか、そして、そうすればどうなるのか?
改善する実感がなければ、ただただ、痛みのサインに耐えるなどできません。
そして少しでも気になることが出てきたら、自身の今の身体状態を熟知して助言をもらえなければ、
解き進めて頭部の形が変わるような夢を思い描くなどできないでしょう。
それに私が見立てたところのポイントの指摘もなければ、、、。


そこをしたいわけじゃなくて、しっかりとほどく方法を知りたくて、
ベン石温熱器で加熱してから排酸棒を使うと、表層の皮膚近くにある張りがあれば表皮や真皮エリアのきつい痛部分は回避できて、
その奥のより硬さがあるところの深部にアプローチの層を深めることが容易になりました。

だが本格的な痛みが骨膜部への癒着が進んだ個所にあります。



そんなところのリリース法をどうすればいいかという難題が課題として頭から寝ても覚めても離れないでいました。

ですが江の島弁財天に参拝に行った時の帰りの階段を下るときに、
こころより感謝してしたりないことですが、
重要なそのような部位のリリース法のヒントをいただきました。m__m

以前、トントンとショックレスハンマーを使って、真鍮製のツールやホットストーンを軽打して患部を緩めるということをしていました。
ただ頭部でそれを直接やろうとしても、、、どうしても、結果がでないのです。
結果が出ないどころか、頭部へのトントンをすれば激痛が5倍ほどに増していく感じです。
それで解けるには解けるのだが、これでは無理。
特に頭部の側頭筋あたりのリリースが危険すぎます。。。

そこをクリアするための方法です。

まだ試行錯誤は続けている段階ですが、
昨日のお客様のリリースでは現状から鑑みて私は後頭結節が緩めば上々だと落としどころを決めていたのですが。
第二頚椎が、そのとき一時的なのかもしれませんが、大幅にずれた状態に見えたところが、まっすぐにうまく修正されて頭部を乗せています。
そのときの修正は、第二頚椎をまっすぐな位置に行くようにぐいぐいと押すような加圧はせず、
その第二頚椎をずらしてしまう要素部分を徹底的に微調整をつけながら解いていきました。

上部頚椎に加圧や瞬間スラストを加えて調整をする方法もありますが、
それは私がやるには危険な行為ですので避けています。
関節部にかかわるスラストは硬く固形化した筋膜部が棘のようにはがれて悪さをすることもあります。
いっときは瞬間加圧させられると、筋組織が硬いままではダメージを負うのが必至というときは、
強制的にその部位の塊を緩めるという反射に似た反応を起こす作用があります。
それで目的の頚椎部位が緩むかもしれません。
ですがそうしても、
元よりあった頚椎部分をずらしてしまう周囲の筋肉等は硬いまま残っている影響から、
元のずれた状態に必ず早々に戻ってしまいます。
関節部のスラスト操作での事故リスクをとりたくないということと、
早々の戻りがあるなら筋膜リリースとしての意味を見出せません。
そのような考えもあって、そのような矯正方法はしておりません。


このたびの外堀を埋めて本丸をとるような、周囲の頚椎のずれを起こす首や頭部、その他の関連部分を処理することで目的の頚椎がまとまった状態に位置が整えられたときには。
頚椎の一点に大きな負担がしいられ変更を受けるときの、周囲のずれを生み出す要素との温度差から、
お客様が感じる修正後の急激な状態変化により生じる悪影響が抑えられる。
その点も大きいですし、カラダの整えられた状態が外堀をしっかり埋めてあげておくと長く改善した状態が継続できます。
その調整のついた調子いい状態のときに、本来の身体のバランスはどこに位置すべきか、どのような身体操作がよいのか。
などの観察が進むタイミングです。


そのような観察がうまくなされておれば、その調子のいい状態が、その後に継続し、
ときにはさらに自己のバランスを修正し続ける調整力で体内の芯から体が変わりだす人もいるのです。



こういった外堀を埋めることで第二頚椎が正しい位置に修正できたら、環椎の位置ずれへの好転も起きているでしょう。
環椎は指先で外側から触診できない骨ですから、そうなっているのでは?という推測となりますが、
後頭骨のずれがねじれとして、まだかなり気になる量があるにせよ、後頭結節の部分が今までにない柔軟度を示してくれたことで、
第二頚椎が自己調整してちょうどいいところに収まったのと同様な調整が環椎にも起きています。

これだけ環椎がずれておられれば頭部内部に送り込めていた血液量は大幅に低減化されつづけてきたことでしょう。
それは環椎部分が頭部、または脳内へ血液を通すための調整弁の役割をもっているからです。
そこがずれて動脈管が圧迫を受けていると、どうしても脳内への血流量が削られることになります。







お客様曰く、
「私が、体調が思わしくなくなった学生時代のころ。まさに、この首の後ろ!ここから悪く成ってったのよ」と。


以前、その言葉はお客様から一度だけ聞いた記憶がります。
ただそのときは重いブロックのようなものを使って強いずり圧でといていたとき、
また真鍮製の握り棒みたいなものを使ってトントンと衝撃圧でリリースを図っていたときかもしれません。

いずれにせよ、そのお客様の以前に体調を根本から変調をきたす始まりがこの上部頚椎部分だといわれて、
そのときの私の施術技術ではカウンターストレインオステオパシーの技術や他の多くの手技を研究して取り組んだものの、
容易には状態が改善する兆しはみてとることができないものでした。
相当に根深いものをその体の奥にしまい込んでいるため、
他のお客様方よりも相当な手を尽くした記憶があるものの少しずつの歩みでした。

それがホットストーンを使い、ベン石の温熱器を使い、そして排酸棒を使い、、、など、
ここ最近のリリース方法での改善成績はかつてよりも大きなものと、私は実感しています。



ひたすらお客様のカラダへの観察の眼を尖らせて、
同時にどのようにすればうまくリリースが可能となるかの試行錯誤や情報収集という観察にも膨大な労力を使い続けてきました。

それがようやくこちらのお客様の課題の解法に、ひとつ近づけたような気がしました。


ただ、もちろんこの課題に取り組んでいるのはお客様ご自身もがんばっておられます!


施術でお客様と話をしていて「『観察力』が大事だよね~」という話をしていました。

お客様は、自身の身体についてどれだけしっかりと観察をしていって、そこから得た理解に基づいて身体を再構築するか。
または最適なケアをするか。
そのような意図で「観察力」をもっとパワーアップしようと考えているんですと申されていました。


お客様の持つ、真剣なまなざしの観察力、そしてそれに基づいた自身の身体を底上げからステップアップへと導くことへ繋がるでしょう。




そのようなことを感じさせていただける、私にとって意義深い施術でした。



ですが今回の施術では頭部のリリースはお客様がかなり痛みに頑張って耐えてくれたから、
という献身的かつ協力していただけたおかげでもあります。

私が自分自身の頭部を解いたときの痛みとくらべれば、
私は黙ってても腱膜の神経に響いて痛みで涙がぼろぼろ出てました。
お客様の得た痛みは私と比べておおよそ1/5ほどの痛みに減じられた状態にまで工夫していけてアプローチしたのですが。。。
また頭部の筋肉は、側頭筋、咬筋、後頭骨につながる首の筋以外は薄い部分が大半を占めており、
その解剖図で色が白く見える部分は初回は非常に痛みが強く出て驚くものですが、
早々に薄さが際立つ組織であるがゆえにざっくりとごっそりと筋膜等の癒着がはがされるときの痛みがどーんとくるものです。
なので何度かこの部分はコリコリとしっかり解いていく、頭部の頭骨の骨膜に癒着して身動きが取れなかった頭皮が緩みだし、
それと同時に痛みの質が不安になるほどのものではなくなります。
個人的に、この操作を丁寧にして日々頭皮への血行を促進できるよう計算しながらおこなえば、
・・・年齢が進んで毛が薄くなるところがある人の時は、生えてきそうな気が、ふつふつとしています。

実は、この方向性でちゃんとした成果が、私以外の第三者で数名出るようなことがあれば。
「頭皮が硬くなって薄毛になったとき(※)」には、頭蓋骨が締め付けられる状態で骨が縫合部分で開閉がおきづらくなり、
脳脊髄液の脊髄への送り出しが減少気味となって自律神経系の機能に悪影響を与えている証拠にもなるのです。
なので自律神経系のネックが頭皮での見た目が改善することでわかるというもの。
そこはお客様自身も、体調変化を感じ取れることになるはずで、個人的に興味あります。
(※)遺伝的に薄毛になるというものであれば、この限りではありません。





実際問題、成果はでて、お客様の顔かたちをシンメトリーに変えるイメージは得られたものの、
これはまだ痛みの度合いがハード過ぎて万人受けするものではありません。
小顔矯正にも匹敵する顔の造作を変えられるため、
我慢強さのある女性は耐えられる方もおられますが。
男性は、果たして耐えられるのだろうか。。。。?

そこをクリアするためにも、リンゴが落ちて気づいたようなヒントを見つけられるよう、
さらに世の中にある私には未知のものにも深く関心を示して縁あるものから汲み取っていこうと思っています。

当面の目標は、「排酸棒の持ち手部分の細工をさらに加える」必要がでてきました。


施術上の課題は、尽きるようなことがあるのでしょうか。 ^-^;