『手押し』の続き

『手押し』で筋膜マッサージをすれば、押される側も身体に悪影響があるし、
押す側も自らの呼吸器系に関する筋をしこりと化す。
呼吸器を窮しては次第にワークをすればするほどワーカーとしての能力が低下する。
だからそれだけやってはいけないことですよ、というだけではない。

手は非常に多くの圧感センサーや温度感センサーがある。
どれだけの硬さか、筋の粘り方をみる。
筋表面もわかるのは当然だが、
より深い筋肉の情報をもつかむ。
その情報をつかむために、指先でわずかな凹凸を感じるトレーニングをしたり、
わずかに筋を指先でくにくにっとずらしたりスライドさせ、温度を感じる。
職人芸といえるような敏感さと高精度のセンサーがあればあるほど理解が広まる。
そして深められていく。
だが『手押し』で筋膜マッサージをすれば、すでにその手は硬直し使い物にならない。

毛細血管血流を悪化しているからだ。
神経が働くためには、血液が必要だ。
たとえばしばらく手首を強く握り止血してみればわかるだろう。
ちょっとつねられたくらいでは痛みはしびれてしまって感じない。
腕に力みがはいれば筋硬化が起こり自らの筋肉で血管を圧迫する。
自分では血流が止まっているようには思えないかもしれないが、
十分に血流が確保できなくなっていることは血流計を使った実験でも確かだ。

そのような手には感じ取る能力がかけている。
僕が他の先生のワークを受けるときには、その能力を感じ取る。
手押しされそうなときには実験台になりたくないので逃げる。
生理的に相手の手を知った瞬間に鎧を着るか脱ぐか決める。
昔からそうだった。

それはその知識を持つものであれば、一目で見抜くことができるようなもの。
概念的な問題ではなく、野球のバッティングフォームの分析と同じような感じ。
ワーク中に圧をかけている写真一枚でも、押す側の肩の入り方、肩甲骨の位置がわかればわかる。
よい例と悪い例とは違いがあるのだ。
このような玄人好みの見分け方を理解できればだいぶ先生探しにも役立つだろう。

ただそのようなマニアックなところまで書かれている書籍にはお目にかかったことはない。
ですがとても大切なことだと思います。