『 技 』 の神秘的なまでの輝き

合気道といっても想像しにくい方がほとんど。

ときにはあまりに合気がかかってしまったとき、神秘的な現象をみているように思われる。
体の小さなものほど有利。
体が柔らかい女性の方が、筋骨隆々の男性よりも上達が速いときもある。
そこでは『力と強さ』の既成概念が崩れさっていく。

筋力に頼らない、『技』が生きる世界。

そのような興味深いものに私が関心を寄せないわけがない。
岡本正剛師範大東流合気柔術六方会にお邪魔させていただくと、
目の前で合気をかけられて大男がバランスを崩されへたり込んでいく。
師範は1925年生まれで78歳。顔色は健康的。

僕はボディワークの手技に、この合気道の『技』のイメージをダブらせている。
合気道の技はワークにも応用が利く。

たとえやり方の型を見てまねても名人に至るには至極険しい道のりだ。
その点も同じように感じる。

大東流合気武術 佐川幸義宗範の貴重な語録がある。
合気道を究めるための姿勢だ。

『合気は技術だから時間がかかるのです。陶器作りだって何だって技術を習得して名人になるには時間がかかるでしょう。今から言っておくが長い時間をかけてやるものなのです。本当に合気ができるようになる為には、血のにじむような死にもの狂いの修業がいる。中途半端にできるようになるのは簡単だが……。合気がわかれば、どんなに強く押さえられたって関係ないのですが……。』

『この体合気は才能ある者でも二十年、三十年やったってとてもできるものではない才能がない者は何年やろうと絶対にできないよ。相手が全く力が入らなくなってしまうんだからね。合気は技術なんだから年とって八十歳、九十歳になつても体さえ動けばできるのだ。むしろ理もわかってくるから益々上手になってくる。年とってできないようでは、それは単に力でやっていたという事になる。みんな年とったらヨボヨボして実際は何もできないと思つているがとんでもない事だよ。体が本当に大切なのだ。体をもっともっと鍛えなければいけない』

鬼のように合気道に情熱を注ぎこんだ様が、見えてきます。
この師範の本を読む事で何度身を引き締めたことでしょう。
同時に賢明な姿勢を学びました。

語録は下記書籍より引用させていただきました。

書名:透明な力―不世出の武術家 佐川幸義
著者:木村 達雄 (著)
価格:1,700円
出版: 講談社